錆止め塗料の選び方とは?それぞれの特徴からメリット、デメリットを詳しく解説!

住宅にはシャッター、ベランダの手すり、配管、屋根など様々な金属部分があります。金属部分の錆というのは特に気になる部分です。ただ、劣化を恐れて錆止め塗料を塗りたいけれど、どの錆止め塗料を選べば良いかわからない人も少なくありません。

そこで、さび止め塗料の特徴からそれぞれの種類別の特徴やメリット、デメリットなど、まとめて解説していきます。

錆止め塗料とは?

錆止め塗料とは、住宅などの建造物の中で使用されている金属部分を錆や腐食から守る役割を持つ塗料のことを指します。錆は水や酸素に触れることで起こる劣化現象の1つですが、錆止め塗料を塗ることで金属の表面に塗膜を形成し、錆や腐食が起こるのを防いでくれます。

錆は風雨の影響によって屋外で起こる現象のように思えますが、空気に含まれている水蒸気でも錆やすくなります。このことからも屋内外に関わらず、住宅には錆の発生が多数潜んでいることになるでしょう。

特に日本では湿気が多い地域が多く、住宅も錆びやすくなっており、錆止め塗料はとても重要な役割を果たしてくれることになります。

錆を放置することのデメリット

住宅などの建築物の錆を放置してしまうと、さまざまな問題が生じてきます。住宅の価値にもつながりますので、知識を持っておくことは重要です。ここからは錆を放置することで起こりうるデメリットを、3つに分けて紹介します。

機能性が低下し建物の劣化が進む

錆を放置することで、発生箇所からさまざまな問題が生じてきます。

例えばシャッター部分に錆ができて腐食や変形が起こってしまうと、シャッターの開け閉めができにくくなり、本来の機能を十分に発揮できなくなります。開閉時に軋むような騒音が発生して耳が痛い経験をしたこともあるでしょう。無理に開閉を続けていると、終いには故障してシャッター自体が動かなくなってしまいます。

またベランダの手すり部分に錆や変形が起こると、布団や洗濯物を干していると錆の汚れが付着してしまいます。さらに錆で手を切ってしまうこともありますので、大変危険といえます。

雨漏りの原因になる

錆というのは発生すると、どんどん浸食していきます。表面上は分かりづらいですが、顕微鏡なので見ると、錆が浸透している部分は穴が開いているのが分かるものです。これは住宅に使用している場合にも同じことがいえます。

屋根に金属を使用している住宅の場合、気づかないうちに錆が進行してしまうと屋根に穴が開いてしまい、雨漏りの原因となる場合があります。雨水が建物内部に侵入してしまうと、住宅の劣化を早めてしまう恐れがあるでしょう。

美観を損ねてしまう

住宅の塗装が劣化して錆が発生してしまうと、金属部分が錆で赤茶色に変色してしまいます。そうなると住宅の美観を損ねてしまい、住宅の価値にも影響を及ぼしかねません。住宅を美しく保つためにも、定期的に錆止めメンテナンスを行う必要があります。

錆止め塗料の種類

錆止め塗料は大きく分けて油性系とエポキシ樹脂系があります。さらに油性タイプはJIS規格により油性系(1種油性系)と合成樹脂系(2種合成樹脂系)に分けられます。

ここかはそれぞれの特徴についてご紹介していきます。

油性系(1種油性系)

乾燥に時間がかかる1種油性系ですが、膜が厚いため防錆性に優れています。しかし夏場の施工で3~4時間、冬場の施工で6~8時間と乾燥時間がかかるため、作業効率も悪いうえに人件費もかさむなどのデメリットが大きく最近では使用されなくなってきました。

油性系(2種合成樹脂系)

紫外線に強く速乾性に優れているため乾燥が早く仕上がりも良いですが、1種油性系に比べて防錆性はやや怠るというデメリットを持っています。

エポキシ樹脂系

エポキシ樹脂系はエポキシ樹脂に錆止め顔料を入れたものです。水に強く耐久性に優れ、速乾性も高く付着性、防錆性も高いです。エポキシ樹脂は素地の内部に浸透し、脆弱な部分もしっかり補強してくれるため、昨今では塗り替えや新築工事で最も使用されている錆止め塗料となっています。

錆止め塗料のカラーバリエーションについて

以前の錆止め塗料には色の種類が少なく、鉛系やクロム系の原料が主流となっていました。しかし鉛系は海洋汚染などの公害問題への配慮もあり、クロム系は人体への悪影響が懸念されたため、鉛やクロムを含まない塗料が多く開発されるようになりました。近年さまざまな錆止め塗料が登場したことに伴い、錆止め塗料の色の種類も豊富になっています。

昨今ではホワイト、アイボリー、ブルー、グレー、グリーン、赤さび色、チョコレート、ブラックの8種類の色が一般的となっています。

錆止め塗料の使用方法

錆止め塗料はシンナーや水で薄めて使用していきます。その中でもシンナーで希釈したものを溶剤系、水で希釈したものを水性と呼び、溶剤系は強溶剤と弱溶剤の2つに分けられます。ここからは各タイプの使用方法について紹介していきます。

溶剤系(強溶剤)

溶剤系である強溶剤は強溶解度シンナーで希釈して使用していきます。密着性や対候性が高い反面、臭いや刺激が非常に強い特徴を持ちます。慣れが必要な塗料といえるでしょう。

溶剤系(弱溶剤)

弱溶解度シンナーで希釈して使用する弱溶剤の密着性や対候性は、強溶剤ほどではありませんが高めです。強溶剤ほど臭いや刺激は強くないため、使用しやすいのが特徴的です。

水性塗料

水で希釈して使用する水性塗料は、溶剤系塗料に比べて密着性や対候性はやや怠ります。しかし溶剤系塗料に比べて臭いや刺激が少なく、環境に優しいという特徴を持っています。一般的に使いやすい塗料といえるでしょう。

錆止め塗料の費用について

住宅の鉄製部分の錆や腐食を抑えるために、錆止めを使用したいと考えている場合、気になることの1つは費用がいくらかかるのかではないでしょうか。多くのメーカーからさまざまな種類の錆止め塗料が販売されているため、種類や機能によって違いはありますが、15~20kgの量で、10000~50000円ほどとなっています。

そこに工事項目別の金額が追加されます。また足場組立が必要な場合は、別途足場組立費用が追加されます。

業者によってまちまちになりますので、事前にしっかりと合い見積もりなどで確認しておきましょう。

錆止め塗料を塗るタイミングと施工手順

住宅の金属部分にどのような劣化症状が起これば、錆止め塗装を行なう必要があるのでしょうか。そこで、塗料を塗るタイミング時期と、実際に錆止め塗料を塗る場合の具体的な施工方法を手順別に詳しく紹介します。

錆止めを塗るタイミング時期

住宅の塗装に劣化がでてくると、さまざまなデメリットが生じてしまうため定期的なメンテナンスは大事です。

塗り替えのタイミングとしては、塗装部分の光沢がなくなることや、白い粉が発生するチョーキング現象が見られるようになったら塗り替えのタイミングとなります。

錆止め塗料の耐用年数は、屋外の場合で3~4年、屋内で5~6年ほどとなっています。

定期的なメンテナンスは必要不可欠ですので、時期が来たらきちんと塗り替えを行うようにしましょう。

塗装部分の洗浄

最初の手順としては、塗装を行う部分を高圧洗浄機で洗浄することです。金属部分の錆などの汚れやゴミを落とすことができるため、塗膜の密着を高めてくれます。高圧洗浄機で洗浄をした後は、しっかりと乾燥させることが大事です。

汚れやゴミが残ったままだと、その上から塗料を塗ることになるので、錆止めの効果が発揮できなくなります。

ケレン作業

高圧洗浄した後に行うのがケレン作業と呼ばれる下地処理となります。高圧洗浄で落とせなかった錆や汚れなどを、職人さんが電動ブラシややすりなどで削り落としていく作業となります。

またケレン作業は錆や汚れを落とすだけでなく、次に塗る錆止め塗料が密着しやすいように、あえて表面を凹凸にするといったことも兼ねており、錆止め塗装の中でも非常に大事な作業の1つとなっています。

ここではしっかりと汚れを落とすことが大切です。

下塗り

塗装の工程には、下塗り、中塗り、上塗りの3つにわけられ、最初に行うのが錆止め塗料を塗っていく下塗りになります。油性系とエポキシ樹脂系のどちらかを使用し、塗膜の密着を高めるように丁寧に作業していきます。錆の目立つ箇所は2度塗りすると効果的です。

中塗り・上塗り

錆止め塗料を塗り終わりしっかりと乾燥したら、仕上げの塗料を塗っていきます。一般的に仕上げ塗料を塗る際は、中塗り、上塗りの2回に分けて作業を行っていきます。この時中塗り、上塗り共に同じ仕上げ塗料を使用しても構いません。

錆止め塗料の上に何回も塗装する理由ですが、エポキシ樹脂系は錆に関しては高性能ですが、紫外線に弱いといったデメリットがあります。錆止め効果を高めるためにも対候性の高い塗料で上塗りすることで、錆止め以外の効果を高めてくれるので非常に大事な作業となります。また仕上げ塗料には錆止め塗料との相性が良くないものもありますので、組み合わせをよく確認するようにしてください。

まとめ

今回は錆止め塗料の特徴から、メリット、デメリット、塗装費用などについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか?錆止め塗料は住宅の金属部分が劣化した場合のメンテナンスに非常に有効な作業です。

錆などの劣化の進行を遅らせることで、住宅や建造物の外観を守り、雨漏りなどの大きな劣化に繋がる可能性も低くなりますので、錆止め塗料をうまく活用して大切な住宅を守りましょう。

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