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火災に強い!サイディング外壁の防火耐火性能について解説

現在の戸建ての多くは外壁がサイディング系といわれています。耐火性や耐久性に優れている商品が人気となっている外壁素材ですが、サイディングと聞いてもいまいちピンと来ない人も多いといえます。今回はサイディングの中でも耐火性に優れた窯業系サイディングや、その他の種類の特徴、サイディング外壁に塗装が必要な理由まで詳しくご紹介します。

そもそもサイディングとは?

サイディングとは建物の外壁に使用する外壁材のことで、セメントや樹脂、金属などが原料として使用されています。工場で板状に仕上げられるサイディングは、品質も安定しており非常に扱いやすい外壁なのが特徴的です。

釘や金具を使用して外壁に張り付け、板と板の間をシーリング材で繋ぎしっかりと固定するだけと施工しやすいもので、サイディングボードは外壁に適した素材といえるでしょう。

サイディング外壁は、モルタル外壁やALCとは異なり施工方法が簡単なため、工期が短く済むうえに安価であるため、昨今の戸建て住宅の80%ほどが、サイディング外壁といわれています。また、デザイン性やカラーバリエーションも豊富なため、新築住宅だけでなくリフォームする際にも人気となっています。

サイディングは4種類

サイディング外壁は使用する素材によって窯業系、金属系、樹脂系、木質系の4種類に分けられています。後述しますが、それぞれの素材により特徴はさまざまですので、ご自身の目的に合わせて選ぶことが重要となってきます。

サイディング外壁の種類別メリット・デメリット

サイディング系の外壁を選ぶためには、個々の特徴を知ることはとても大事になります。ここからは、それぞれのサイディング外壁の特徴やメリット、デメリットをご紹介していきます。

窯業系サイディング

窯業系サイディングは、セメント80%に繊維質原料と増量材20%を混ぜ合わせ板状に成形した外壁材のことで、国内で使用されるサイディング外壁のほとんどが窯業系といわれています。

窯業系には工場で塗装してくる「塗装仕上げ」と現場で塗装する「無塗装板」がありますが、どちらもボードは工場で生産されるため品質自体に違いはありません。メリットとしては、セメントが主な材料であるため、衝撃や地震などの激しい揺れにも強くて丈夫な外壁となります。また優れた防火性能を兼ねそろえているため、火が燃え移りにくく密集地に住宅を建てる際にもおすすめです。

デメリットとしては、窯業系サイディング自体に防水性はなく、表面を塗装することで防水機能を高めているため、表面の塗膜が劣化するたびに都度メンテナンスが必要となります。

金属系サイディング

金属系サイディングには、塗装ガルバリウム鋼板、塗装溶融亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム合金塗装板、塗装ステンレス鋼板の4種類のいずれかが使用されています。裏に断熱材を入れた金属サイディングは断熱性や、耐凍害性に優れているため、寒冷地域でも多く使用されている外壁材です。また他の外壁サイディングと違い、ひび割れに強いという特性も持っています。

デメリットとしては、衝撃には弱いため物がぶつかったりするとへこんでしまったり、塩害によるサビの心配もあるため、海岸沿いでの使用には注意が必要となります。

樹脂系サイディング

プラスチックの1種である「塩化ビニル樹脂」を使用した薄い外壁で、シーリングを使用しない施工ができるため、他のサイディング系に比べメンテナンスいらず、というほどの高耐久なサイディングです。

シェアナンバーワンの窯業サイディングは、10年に1度は塗装のメンテナンスが必要になりますが、樹脂サイディングの場合は材料が高耐久であるため、20年以上は塗装のメンテナンスが要りません。また、樹脂サイディングは凍害や塩害に強いため、寒冷地や沿岸地域で重宝している外壁材となっています。

デメリットとしては、樹脂サイディングを施工できる業者が国内では少なく、工事費用も割高になってしまいます。長期的なメンテナンスを省きたい人にはおすすめですが、業者選びに手間がかかるでしょう。

木質系サイディング

木質系サイディングは、ヒノキやスギといった無垢な木材の表面を加工し、耐火性の機能を加えた外壁です。木材をそのままで使用してしまうと、雨水での腐食が起きて、燃えやすいといった不具合が生じてしまいます。

そこで木材を加工することにより、天然木の暖かみはそのままに、防火性や防水性を高めています。また木質系サイディングは断熱性にも優れているため、日当たりがよすぎる立地や気温差が激しい地域に適しています。

デメリットとしては、天然木を使用しているため、窯業サイディングのように大量生産できる外壁材よりも、2倍ほど価格が高くなってしまいます。

防火構造と耐火構造について

住宅を建てる際に気を付けることの一つとして「防火構造」と「耐火構造」がありますが、2つの違いが分からない人も多いものでしょう。両者には明確な違いがありますので、内容を知っておくことはとても重要となります。

・防火構造

防火構造は、隣接する建物への燃え移りを防いでくれるもので、外壁や軒裏に燃えにくいような材質を使用している構造です。窯業系サイディングなどもこの1つとなります。昨今は防火性の高い塗料も販売されているため、外壁に対しては機能を発揮できる反面、建物の内側からの出火に対してはリスクがあります。

・耐火構造

耐火構造は、建物を構成している柱や床、壁の部分に燃えにくい性能を持った鉄筋やレンガといった素材を使用した構造です。建物の内側で火災が起きた場合でも、近くの建物へ炎が燃え広がるのを防ぐ反面、耐火性のある鉄骨やレンガは重さもあるため、硬い地盤の上に建設しなければなりません。

防火性能を上げるなら防火塗装は必須

万一の火災に備えるためにはサイディング外壁に防火塗装することはとても重要なことです。防火塗料の働きとしては、火災が発生した場合に生じる火柱から建物を守り、火災の成長や延焼も防止してくれます。

防火塗料には「発砲形防火塗料」と「非発砲形防火塗料」があり、木材や金属といったサイディングに塗装するには「発砲形防火塗料」が使用されます。塗装面に高温の炎が触れると、塗膜が膨張し、スポンジ状の断熱層を作り出すことで、外壁への炎の広がりを遅らせてくれるのです。

サイディング外壁の耐用年数と塗り替え時期

サイディングの耐用年数は種類によって異なります。セメントを主な材料とし、防火性を上げている窯業系の耐用年数は約40年となっています。その間にも塗装が劣化すれば定期的なメンテナンスが必要です。

金属系も40年ほどとされておりますが、塗装面にチョーキング現象が発生した場合にはその都度塗り替えが必要となります。樹脂系は30年ほどといわれていますが、他のサイディングと違い基本的にメンテナンスは不要です。木質系は15~30年ほどといわれています。吸水性が高い分、劣化が早く他のサイディングに比べて耐用年数は短いです。

素材耐用年数と特徴
窯業系サイディング約40年で定期的なメンテ必要
金属系サイディング約40年でチョーキング現象時は塗り替え必要
樹脂系サイディング約30年でメンテナンスは基本不要
木質系サイディング約15~30年で吸水性があって劣化が早い

DIYで塗装は張り替えが厳しい

サイディングは施工しやすい特徴から、素人でもDIYでリフォームできるのでは?と思う人もいるでしょう。ただ、張り替えは専門技術が必要になってきますので、自分で行うことは難しいです。しかし、塗装のみなど、防火性能が落ちてきているような劣化が見られる箇所への、簡単なメンテナンス程度でしたら行うことも可能です。

素人は足場を組むのが危険

塗装には足場の設置が必要です。室内の壁や天井程度なら脚立で行えますが、風や雨がある屋外ではそうはいきません。特に2階建ての住宅などは脚立で作業するのはもってのほかです。必ず足場を組んでおかなくてはなりません。

この足場は素人ができるものではなく、時間もかかりますので専門業者に依頼するのが正しいといえます。基本的に塗装業者に依頼すればすべて対応してくれますが、足場だけの設置を発注することも可能です。

足場はプロの塗装業者でも必ず設置しなければなりません。安全対策はもちろんですが、足場を設置したほうが塗装自体もスムーズに行えます。

サイディング外壁にリフォームするなら専門業者に任せよう

重ね張りや;張替え工事を行いたい場合ですが、サイディングの外壁リフォームはすべての業者が施工できるわけではありませんので、施工経験豊富な専門業者に依頼することをおすすめします。また、高額な請求や手抜き工事のような悪徳業者の被害に遭わないためにも、少なくとも3社ほどで相見積もりをしておきましょう。

まとめ

サイディング外壁の種類や特徴から、防火性能が上がる塗料についてなど解説してきましたがいかかでしたでしょうか? 住宅の外壁は、雨風から私たちを守ってくれる大切な部分です。

サイディングの性能を長持ちさせるには、防火塗料などを定期的に塗装し、危険な火災などの被害から住宅を守れるようにする必要があります。外壁材のメリット、デメリットを理解し、ご自身の希望に合った理想の外壁に出会えるように、しっかりポイントを押さえておきましょう。

リフォーム前に知っておきたいカラーベストの特徴やメンテナンス費用についてご紹介

カラーベストとは屋根材の1種で、新築住宅からリフォームにまで幅広く使用できるもので、自宅屋根のリフォームを考えている人なら、1度は聞いたことがあるかもしれません。さまざまなデザイン性もさることながら、軽量で住宅への負担も軽減されるとあって、昨今では非常に多く使用されている屋根材です。今回はカラーベストの特徴から、リフォームする際の費用まで詳しく解説していきます。

カラーベストとは?

カラーベストはストレート屋根のひとつである「平板ストレート」というものです。セメントやケイ石を原料にしたものを繊維で補強して作られているのが特徴です。薄い板状に成形できるカラーベストはデザイン性も豊富で、さまざまなタイプの住宅にマッチすると、現在では1番多く使用されている屋根材となっています。また、カラーベストはコロニアル、ストレート瓦とも呼ばれています。

カラーベストは建材会社の商品から普及

昨今では、ストレート屋根と言えばカラーベストと浸透していますが、元々は建材メーカー「ケイミュー株式会社」が販売するストレート屋根材の製品名だったものです。ストレート屋根が多く普及していったことで、ストレート屋根=カラーベストというように浸透していきました。

健康被害を及ぼすアスベストについて

近年、健康被害の観点から問題視されているアスベストは、石綿とも呼ばれる繊維状をした、ケイ酸塩鉱石のことです。安価なうえに耐久性や断熱性、防音性まで優れていると1960年代の高度成長期から多く使用されてきました。2006年にアスベストは全面禁止されていますので、それ以降に建てられた住宅であれば、屋根材にアスベストは含まれておらず安心ですが、それ以前にストレート屋根で建築された住宅の場合は、アスベストが含まれている可能性があるため注意が必要です。

知っておきたいカラーベストのメリット・デメリット

カラーベストには色々なメリットがあり、近年では一番使われている屋根材となっていますが、デメリットも存在します。ここではカラーベストのメリットとデメリットを詳しく解説していきます。

カラーベストのメリット

カラーベストを使用する際のメリットをみていきましょう。

①さまざまなデザインや色の種類が豊富

カラーベストは種類が豊富なため、自分好みのデザインを選ぶことができます。

形状としては直線的なデザインやオシャレな波型のデザイン、表面は木目調、レンガ調、石材調などがあります。

カラーバリエーションは、赤色やオレンジ色といった暖かさを与えてくれる暖色系から、青色や黒色といった涼しげな寒色系まで取り揃えているので、和風洋風問わずにどんな住宅にも合わせられます。

またカラーベストの種類によっては、2~3色の違う色を組み合わせて使用することもできますので、デザイン性を重視したい人にもピッタリです。

② 他の屋根材に比べ価格が安い

カラーベストは、瓦屋根やガルバリウム鋼板のような金属屋根よりも安価な屋根材です。

材料費が安くコストパフォーマンスが高いため、カラーベストは工事費用を抑えたいと考えている人におすすめです。

③ 軽量で住宅にかかる負担の軽減できる

カラーベストは屋根瓦の半分ほどの重さと軽量で、建物全体への重量を軽減することができるため耐震性に優れており、地震大国の日本に非常にマッチした屋根材と言えます。

また屋根材が軽く扱いやすいことは作業するのにも最適で、カラーベストは施工してくれる業者さんの負担も軽減されるため、工期を短くすることにも繋がります。

カラーベストのデメリット

一方、カラーベストを使用すると起こるデメリットも解説していきます。

  1.  劣化しやすくメンテナンス必須

カラーベストの主成分であるセメントは防水性が低いため、防水機能を出すために表面を塗装して防水性を上げています。カラーベスト単体には防水機能がありませんので、塗装した部分が劣化してきたらその都度メンテナンスが必要となります。

防水機能が低くなったまま放置してしまうと、雨漏りの原因になってしまうほか、カビや藻が発生してしまい、見た目も悪くなってしまいます。一般的にはカラーベストのメンテナンスは10年ごととされています。

  1.  凍害に弱いため寒い地域には適さない

凍害とは気温差が激しいときに屋根材がひび割れてしまう現象で、カラーベストは凍害に弱いとされています。理由としては主成分のセメントは、水分を非常に含みやすく含んだ水分が気温差によって、溶けたり凍ったりする過程で膨張しひび割れてしまうのです。

凍害が起きにくいとされる商品も出ていますが、北海道や東北といった寒冷地での使用には注意が必要となります。

気になるカラーベストの耐用年数

カラーベストは屋根材の中でも軽量で価格も安く優れた屋根材ですが、耐用年数は他の屋根材と比べて短く、一般的な平均で20~30年となっています。カラーベストは耐用年数30年だから安心という意味ではなく、定期的にメンテナンスを行っていることを前提とした耐用年数です。

カラーベストを扱っているメーカーも10年に1度は屋根材のメンテナンスを実施するように推奨していますので、目に見えた劣化がなくとも10年過ぎたら塗装や部分舗装は行うようにしましょう。また、目安となる耐用年数を超えてきたら、屋根の葺き替えが必要となります。

カラーベストはリフォームに使える?

現在お住まいの住宅の屋根材をカラーベストにリフォームすることは可能ですが、アスベスト全面禁止になった2006年以前に建築されたストレート屋根の住宅の場合は、アスベスト対策が必要になる場合もあります。

アスベストは通常の状態なら飛散しませんが、リフォームに伴う解体工事中に飛散する可能性があるため、アスベスト対策として「カバー工法」がお勧めです。

カラーベストの施工方法

カラーベストを使用した施工方法は塗装工事、葺き替え工事、重ね葺き工事があります。

ご自宅の屋根の劣化状況に応じて工事の種類がかわりますので、専門業者に建物調査をきちんとしてもらい、どのタイプの工事が適用できるかを確認しながら進めるようにしましょう。

カラーベストの施工タイプの各費用

カラーベストの施工タイプ別の費用をみていきます。

・塗装工事

カラーベストの塗装工事では、既存の屋根を洗浄し、ひび割れた箇所があれば部分的に補装していきます。塗装に使用する塗料には紫外線による劣化や、雨によるカビや藻の発生を防ぐ効果がありますので、塗装して保護することが大切です。費用としては塗料のグレードにより変わってきますが、人気のシリコン塗料で、1㎡あたり1800円~となっています。

・葺き替え工事

葺き替え工事は耐用年数が30年を超える住宅で行われる工事です。古くなった屋根材をすべて取り外すため、中の下地や防水シートの確認もでき、必要があれば交換することも可能ですので、住宅を長持ちさせることができます。すべての屋根を撤去して新しい屋根材を取り付けるため、工期期間は長くなります。気になる費用ですが30坪の住宅の場合、70~200万円です。下地の交換が必要な場合や、選ぶカラーベストの種類によって価格の変動があるため、価格の相場は広くなっています。

・重ね葺き替え工事

重ね葺き替え工事はカラー工法とも呼ばれており、古い屋根材の上に新しいカラーベストを取り付ける工事です。2006年以前に建てたストレート住宅の場合はアスベストの心配があるため、この施工方法が有効ではありますが、屋根が二重になる分、重量が上がり住宅に負担がかかる場合があります。

また屋根の下地が劣化している場合は施工できませんし、下地が傷みかかっているのに重ね葺き替えしてしまうと次の工事の際に、屋根材を撤去する費用が2倍になりますので、重ね葺き替えが適しているかどうかを、専門業者に見極めてもらうことが大切です。

施工前に知っておきたい業者選び

いくらカラーベストが他の屋根材に比べて安価だとはいっても、屋根のリフォームは決して安い費用ではありませんので、後悔しないためにも業者選びは慎重に行ってください。

まず大切なのは、1社だけで決めるのではなく相見積もりを取ることです。

同じ内容の工事なのに極端に高額な金額を提示された場合でも、複数社に見積もりを出すことで、比較することができるためです。また、見積書が内容別に細かく記入されているかも確認できるため、相見積もりはとても大事なポイントとなります。

次に、施工実績が豊富かどうかを確認しましょう。屋根工事の実績が少ない施工業者を選んでしまうと、適正な診断をしてもらえず、見積金額も不明瞭になりかねません。ホームページで過去の施工実績を提示している業者ですと腕に自信があり、塗装経験も豊富なことが多いですので、そのあたりも確認してみてください。

信頼できる業者を選ぶことは非常に難しいですが、いくつかのポイントを押さえておくことで、悪徳な業者に引っかかるリスクも軽減されますので覚えておきましょう。

まとめ

今回はカラーベストについて紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?カラーベストは安価で施工しやすい屋根材ですが、デメリットも存在します。

コストパフォーマンスや耐久性、デザイン性といったご自身が何を重視するかでカラーベストの種類を選ぶポイントは変わってきますので、最適なカラーベストを選べるように、事前にしっかり特徴を押さえ、後悔しないリフォームを実現してください。

スレート屋根の特徴からメンテの時期まで、知らなかった基礎知識を徹底解説します!

住宅の屋根材といえば、瓦屋根や金属屋根、スレート屋根がありますが、国内で最も流通しているのはスレート屋根材です。人気の屋根材ですので、多くの住宅で使用されていますが、スレート屋根の劣化を放置してしまうと雨漏りや浸水が起こり、屋根材の寿命を縮めてしまいます。ここでは、スレート屋根の特徴やメンテナンスのタイミングなど、知っているようで知らなかった基礎知識を解説していきます。

スレート屋根とは?

スレート屋根は、主成分がセメントの素材を薄い平状の形に成形した屋根材です。カラーベストとも呼ばれることもありますが、カラーベストはケイミュー株式会社が出しているスレート屋根の製品名になります。

スレート屋根が国内に広く普及されたことによって、スレート屋根=カラーベストというように知れ渡っていきました。スレート屋根には人工タイプと天然タイプがあり、人工タイプのなかにはさらにいくつかの種類があります。

スレート屋根の構造

スレート屋根は主成分がセメントですので表面に塗膜が必要となります。厚さは5ミリ程度と非常に薄いため、他の屋根材よりも軽量です。粘土瓦の半分ほどしか重さがないため住宅にかかる負担も少なく耐震性に優れた屋根材です。

スレート屋根材は価格が安価なうえに、デザイン性が高くカラーバリエーションも豊富なため、近年ニーズが高まり人気となっています。スレート屋根材がここまで全国的に普及した背景には、阪神淡路大震災での住宅の倒壊が多かったことがあり、軽量で耐震性の高い屋根材を製品化するという動きに繋がり誕生したといわれています。

スレート屋根は大きく分けて2分類

スレート屋根は「天然スレート」と「人工スレート」に分類されます。「人工スレート」は化粧スレートとも呼ばれ、平板スレート、厚型スレート、波型スレートの3種類に分けられます。

「天然スレート」は自然の岩を薄平に切り取って使用するので劣化は少ないですが、「人工スレート」よりも高級品となるため、安価な「人工スレート」のほうが、一般的には広く流通しているのが特徴的です。

ここからは各スレートの特徴について説明していきます。

・平板スレート 

セメントと繊維素材を混ぜ合わせたものを、薄く平らに成形した屋根材です。厚さは5ミリほどしかなく、現在国内で使用されているスレート屋根材の中で、1番の普及率と言われています。

平板スレートのほかに、化粧スレート、カラーベストなど、地域や人によって呼ぶ名前が変わりますが、商品としては同一のものとなります。デザインやカラーバリエーションが豊富で選ばれやすく、人気となっています。

・厚形スレート

平板スレートに厚みを持たせたのが厚型スレートで、瓦の形に成形し厚みを持たせた屋根材となっています。セメント瓦とも呼ばれる本商品は、瓦の素材よりも安価で作れるということで、一時期は非常に普及しましたが、瓦ほどの耐震力がなく、平板スレートよりも高額なことから、最近では使用されなくなってきました。

・波形スレート

文字通り波型の形状をした化粧スレートの1種で、大判サイズの屋根材となっています。屋根材の下に野地板が必要でないことから、住宅用ではなく体育館や倉庫、工場といった大型建造物で使用されています。

・石綿スレート

石綿スレートは、かつて住宅用の平板スレートや、大型建造物用の波型スレートに使用されてきました。しかしアスベストを吸い込むと健康被害が起きる恐れがあるとして、2006年にアスベストの使用が全面禁止になったことで、生産されなくなりました。2006年以降に建てられた住宅は大丈夫ですが、それ以前に建築された住宅の場合、アスベスト入りの屋根材が使用されている可能性があります。

そこで屋根材の劣化が見られた場合、自分でDIYするのではなく、専門業者に相談するようにしてください。

スレート屋根のメリット・デメリット

スレート屋根のメリットとデメリットをみていきましょう。

スレート屋根のメリット

スレート屋根のメリットとして1番に挙げられることは、価格が安いことです。工場で均一に大量生産できることで安価に手に入るため、初期費用が抑えられます。また全国的に普及率が高く、施工技術にも差が出ないため、施工不良や業者選びに悩む心配も少なくなります。

スレート屋根は厚さが薄いため重量が軽く、住宅への負担がかかりにくいことで、耐震性にも優れていることもメリットの1つと言えます。

スレート屋根のデメリット

スレート屋根のデメリットとしては、厚みが薄い分、衝撃には弱く割れやすい面があります。瓦など他の屋根材は平均で30年の耐用年数があるのに比べ、スレート屋根は15~25年と耐用年数が短くなっています。そのため、初期費用は安価でもメンテナンスや補修に費用が多くかかってしまう場合がありますので、トータルコストを重視する人にとっては注意が必要です。

また、スレート屋根は防水性が低いため、カビや藻が発生しやすい面もデメリットといえます。

スレート屋根の耐用年数は?

平板スレートの平均的な耐用年数は、15~30年、厚型スレートでは25~40年といわれています。しかし、この耐用年数は定期的なメンテナンスを行った場合であり、ひび割れや塗装の剥げなどの劣化を放置してしまえば、耐用年数も短くなってしまいますので、注意が必要となります。

きっちりとメンテナンスができていると、住宅の寿命も伸びていくものです。

メンテナンスが必要になる症状とは?

スレート屋根は安価で扱いやすい反面、10年に1度のメンテナンスが必要となります。屋根材は普段からこまめに目視できない場所ですので、症状に気づきにくいものです。まだ大丈夫だろうと思っていても劣化が進行している場合もありますから、劣化が進んでいない段階でメンテナンスを行うことが重要となります。

スレート屋根のひび割れや表面のゆがみ

長年の雨風により塗膜が剥がれてしまうことで、スレートが水分を吸ってしまい、屋根材が浮いたり反ってしまったり、ひび割れが起きてしまう場合があります。このような場合は、

屋根材の中に雨水が侵入している恐れがあるため補修が必要です。

部分的であれば部分補修で済みますが、雨水の侵入による雨漏りやシロアリの発生等、二次被害が起きてしまう場合がありますので、そのような心配があるときは、葺き替えやカバー工法をおすすめします。

塗装が剥げることによる色あせ

雨水や紫外線により塗装が剥げてしまうことで、色あせが起きたり、表面にカビや藻が発生してしまい見た目が悪くなってしまうことがあります。屋根材の反りやひび割れがおきておらず、カビや藻の発生のみでしたら基本的には塗装のみで大丈夫です。

スレート屋根のメンテナンス費用

初期費用が安いといっても定期的なメンテナンスにはいったいいくら必要なのか不安な人も多いと思います。ここからは、カバー工法、葺き替え、塗装の一般的なメンテナンス費用の相場をご紹介します。

カバー工法」や「葺き替え」といった補修や修理の場合

「カバー工法」は既存の屋根材はそのまま残し、上から新しい屋根材を覆いかぶせる工法です。既存の屋根材は残したままなので断熱性や防音性が上がりますが、屋根材が2重になることで重さが増し、住宅への負担が高くなってしまうデメリットもあります。費用の相場は50万円ほどとなっています。

「葺き替え」はひび割れなどの劣化が進行してしまい、屋根材の中の防水シートの交換が必要になる場合に行う工法です。古い屋根材をすべて撤去して、防水シートの張替えなどが必要となりますので、カバー工法よりも費用は高くなり、100万円が相場となっています。

既存の屋根はそのままで塗装のみ行う場合

スレート屋根の塗膜が色褪せしてきたら、チョーキング現象が見られ始めたら塗装を行いましょう。塗装する塗料によって価格は変わってきますが、25万円ほどと費用が安く済むうえに、他の施工方法より工期が短く済むメリットがあります。

まとめ

スレート屋根材について説明してきましたがいかがでしたか?スレート屋根はデザイン性があるうえに耐震性も兼ねそろえていることから、国内での多く使用されている人気の屋根材です。

初期費用も安価なため費用を少しでも抑えたい人には適している反面、定期的なメンテナンスが必要となるデメリットも存在します。スレート屋根材はメリット、デメリットを正しく理解し、適切なメンテナンスを行うことで、十分に長持ちしてくれる優秀な屋根材の1つです。スレート屋根は定期的なメンテナンスを怠らないというポイントをしっかり抑えておくようにしましょう。

瓦屋根の種類や特徴とは?マイホームを建てる前やリフォーム前に知っておきたいことを徹底解説!

一生に一度の大きな買い物であるマイホーム建築ですが、たくさんの素材や形状がある瓦屋根の違いが今一つよく分からず、どうしようかと悩んでいる人もいるのではないでしょうか。また、現在瓦屋根に住んでいて、リフォーム時期が気になる人もいるでしょう。ここでは瓦屋根の種類や特徴の違いに加え、瓦別のメリット・デメリット、リフォーム時期まで詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

瓦屋根とは

瓦屋根とは古くから日本で使用されている歴史のある屋根素材です。歴史の教科書やテレビドラマ、映画、漫画などにもよく使われ、日本家屋といえば瓦屋根というイメージは令和の現在まで続いています。

また、粘土瓦は1000℃~1300℃という高温で焼かれるので耐火性に非常に優れています。自然災害の多い日本では、瓦が落ちてくるのが心配と思われるかもしれませんが、近年では震度が大きい地震であっても崩れない防炎瓦という施工方法が指定されているため安心です。

屋根瓦の特徴

日本の粘土を使用して作られた日本瓦は高温多湿な日本にもピッタリとマッチした機能を兼ねそろえています。お寺や神社には古くから瓦が使われており、日本の建物の象徴でもあります。初詣や参拝などの寺社巡りをする人や遠足などでも訪れた人が多く、むしろ屋根瓦を見たことがないという日本人はほとんどいないでしょう。それだけ生活の一部として目にしているものです。

また、瓦には日本で作られている日本瓦と、海外の建物で持ち入れられている洋瓦があります。日本瓦は趣のある色合いが主流ですが、洋瓦はカラフルな色合いの商品が多いのが特徴です。外国人の中にも日本独特の瓦を好む人は多いですが、一風オシャレで洋風なデザインの瓦も愛用されています。

近年では洋瓦も日本で製造されており、マイホーム以外のオシャレな建造物にも使用されるようになりました。ご自宅の日本瓦をカラーバリエーションの豊富な洋瓦にリフォームする人も増えてきており、屋根瓦は人気のアイテムとなっています。

瓦屋根の種類は素材別と形状別に分けられる

昔の瓦と言えば、粘土を焼いたものしかなかったのですが、最近ではさまざまな素材を使用して作られるようになりました。瓦は素材や製造方法によるものと、形状や使用する用途によるもので分類されています。

瓦屋根は日本家屋の顔といっても過言ではありません。その種類だけで歴史ある建物だと実感できますし、遠くから見ても圧倒的な重厚感の雰囲気を醸し出しています。

屋根瓦の種類ごとのメリット・デメリット

屋根瓦に使用されている素材はいくつかあり、各素材によってメリット・デメリットが存在します。瓦選びを失敗しないためにも、それぞれの性質を知り比較することで、ご自身の住まいに合った瓦を選ぶことができるでしょう。

粘土瓦

粘土を原料にして作られた粘土瓦は、日本では1番ポピュラーな瓦と言えます。時代劇にも登場するお馴染みの瓦です。粘土瓦は粘土をそれぞれの形に成形し、1000℃~1300℃ほどの高温で焼きあげるためとても頑丈で、耐久性や遮音性にも優れ、基本的には塗装のメンテナンスも必要ありません。昔から日本で使われており、日本の風土ともいえる高温多湿にも適していますが、重量が重いため建物全体に負荷がかかりやすく、他の瓦屋根に比べ耐震性は劣ります。

また粘土瓦には、粘土を成形して素焼きにする「無釉薬瓦」と、成形した粘土に釉薬をかけて焼き上げる「釉薬瓦」があります。釉薬瓦は釉薬で表面をガラス質にコーティングしているので光沢があり、カラーバリエーションも豊富なことから陶器瓦とも呼ばれています。

陶器瓦は耐用年数も長く、50年以上にも及ぶ耐久性を誇り、長年日本を支えてきた屋根瓦として今後も君臨していくでしょう。

セメント瓦・コンクリート瓦

セメントと砂を原料にして作られたセメント瓦は、コンクリート瓦とも呼ばれています。粘土瓦と見た目や性質は似ていますが、セメント瓦の方が粘土瓦よりも形が揃えっているため、施工のしやすさがあります。セメント瓦は粘土瓦より安く仕上げることができるため、一昔前には需要があったのですが、粘土瓦よりも耐久性が低いこともあり、最近では製造されなくなってきています。また苔などの発生も起きやすく塗装メンテナンスが欠かせないことも欠点の1つとなっています。

最近では軽量セメント瓦も登場しており、こちらはセメント特有の趣やデザインはそのままに耐震性を向上させたものです。金属よりも軽くて揺れ幅を抑える効果が見込め、錆びにくいという特徴も兼ね揃えています。また、防火・耐風・防水といった観点から耐候性にも優れ、雨音も気にしない防音性もあります。それだけに軽量セメント瓦は様々な点から、需要も高まってきています。

プラスチック瓦

プラスチック瓦は、繊維強化プラスチックなどの樹脂系の素材を瓦型に成形した屋根材となっています。従来の粘土瓦よりも重量が大幅に軽量化されたことで、住宅の屋根への負担が軽減されます。また、軽量化により地震などの災害に対しても耐震性も高くなりましたので、地震大国である日本においても安心の製品といえます。

ただし素材が繊維強化プラスチックのような樹脂系ですので、メンテナンスの頻度としてはやや高くなる傾向にあります。

ガラス瓦

ガラス瓦は、透明なガラス素材を瓦型にして使用するものです。ガラス瓦は粘土瓦やセメント瓦のように、住宅の屋根全体に使用するというわけではなく、天窓の代わりのように部分的に使用するのが一般的となっています。

日光を直接室内に送り込むので、耐熱性に優れており、室内にいながら自然な陽の光を感じられます。

瓦屋根のメンテナンスやリフォーム時期

気になる瓦の耐用年数ですが、種類によりそれぞれ違いがあります。粘土瓦の耐用年数は、50~100年といわれています。粘土瓦の中にも種類があり、釉薬を使用した釉薬瓦はガラス質でコーティングされていることもあり、60~100年で他の瓦と比べても高耐久であることが分かります。メンテナンスが不要な粘土瓦ですが、棟瓦を支える漆喰の補修は随時必要となるでしょう。

セメント瓦の耐用年数は、20~30年といわれています。セメント瓦は粘土瓦より安価で入手できる反面、耐久性は怠りますので耐用年数も短くなっています。また塗装をして使用されるため、変色などがおきたらメンテナンスが必要となるでしょう。

プラスチック瓦の耐用年数は、20~30年といわれています。素材がプラスチックのためメンテナンスも高くなる傾向にあり、ヒビや欠けが見つかれば葺き替えが必要になる場合もあります。

これらの耐用年数はメンテナンスや土地や気候変動によって変わってきます。局地的なゲリラ豪雨が続いてしまった場合や台風が連続して訪れた地域、例年以上に豪雪の影響がでてしまった場合など、従来の風土と異なる気候になった場合には耐用年数も変化が出るといえます。

瓦屋根の施工方法

瓦屋根をリフォームするには主に2つの施工方法があります。

・葺き直し

1つ目は既存の瓦を再利用する「葺き直し」で、下地の板の劣化部分をメンテナンスし、ルーフィング(防水シート)を交換するだけで、既存の瓦は再利用する方法です。

全取り換えするよりも施工期間が短くなりますし、コストも削減できます。ただし古い瓦をそのまま使用するため、デザイン性で物足りなさを感じることがあります。また、築年数の古い瓦ですと、瓦自体の取り扱いがなく葺き直しできない場合もあるので注意が必要です。

・葺き替え

2つ目は下地の板を丸ごとまとめて交換する「葺き替え」で、屋根全体を補修して、屋根の劣化やゆがみが起きている場合に持ち入れられる方法です。葺き替えすれば、屋根の劣化は回復しますので、家の耐用年数を長持ちする効果も期待できます。

また瓦自体を新しくすることで機能性もあがりますから、耐震性も向上され安心感が違います。ただし屋根丸ごと葺き替えるので、施工期間は大幅に長くなり、コストも上がってしまうデメリットもあるでしょう。

気になるリフォーム費用は施工業者次第

気になるリフォーム費用は、使用する屋根材や住宅の形状によって異なりますが、葺き替え工事の平均相場は、60~250万円となっています。しかしあくまでも目安ですあり、施工業者によって違いがあることは把握しておきましょう。

リフォームの知識に疎い住人を相手取り、安い材料費で高額な費用を請求する悪徳業者も懸念されます。騙されないためにも施工業者はしっかりと選択しないといけません。

瓦屋根リフォームに実績のある専門業者を選ぶポイント

さまざまな種類のある瓦を自分だけで決めるのは簡単なことではありません。施工経験が豊富な専門業者に依頼することが最大のポイントとなります。

業者に依頼するときは1社だけで見積もりを出すのではなく、相見積もりは必ずするようにしましょう。屋根の状態を確認するのに短時間で終了するような業者は信頼できません。そこで複数の業者に現地調査を依頼すれば、入念にチェックしてくれる業者かわかります。

また、見積書に高額な費用を請求されたとしても、複数社の見積書があれば比較ができ安心です。

日本の文化の象徴ともいえる瓦屋根

瓦屋根は日本家屋に多く使われています。中でも歴史ある建築物には瓦屋根が使用されているのが特徴的です。古くから都として栄えてきた京都や奈良には由緒ある寺社がたくさんあり、屋根瓦が象徴的といえます。また、日本の象徴ともいえるのがお城です。姫路城や大阪城、熊本城など日本には数々の名城がまだまだ残されており、瓦屋根を堪能することができます。

日本の文化の象徴ともいえるのが瓦屋根であり、まだまだ需要は続くことは間違いありません。

まとめ

知っているようで知らなかった瓦について、解説してきましたがいかがでしたでしょうか?屋根は住宅の中で、とても大切な役割を果たしてくれている場所です。最新の機能を果たした瓦なら耐震性も上がるうえに、外観も一新できます。屋根工事は決して安いものではありませんので、後悔しないためにも瓦屋根の特徴を理解し、ポイントを抑えることで快適なマイホーム生活を実現してみてください。

木造住宅の外壁に適した塗料とは?ピッタリな塗料の選び方を徹底解説

木造の外壁は木の温かみが感じられ落ち着くとの理由から、ここ数年外壁に使用する人が多くなってきました。素朴で温かみがあり人気な面はありますが、それと同時に木の外壁は細かなところまでメンテナンスが必要なのでとても大変です。

また昔ながらの木造住宅ですと、長年にわたり大雨や強風に晒され、劣化が激しくなり見た目も悪くなってしまいます。今回はそんな人の悩みを解決できるよう、木造外壁に適した塗料の選び方から使用方法、外壁の劣化のサイン、信頼できる専門業者の選び方まで、詳しく解説していきます。

木造住宅の外壁の特徴とは

古くから日本では、木造住宅など多くの建物が木で作られてきました。柱や梁など住宅の基礎となる部分から、外壁までのすべてに木を使用している木造住宅ですが、耐震性が大丈夫なのか気になるところでもあります。

昨今の木造住宅の人気により耐震性能やシロアリ対策など、さまざまな対策をされ長期優良住宅に認定された木造住宅も登場してきており、100年以上耐用年数があるものも存在するほどです。しかし基礎部分だけではなく、外観も綺麗に保とうと思うと、木造外壁には細やかなメンテナンスが必須となります。

木造住宅の外壁の種類

木造住宅の木造外壁は主に、ヒノキやスギといった天然木を塗装した塗装羽目板、ウッドロングエコ、パーチクルボードなどがあります。最近では木造住宅の外壁材としてモルタル、窯業系、金属系、樹脂系、木質系の各種サイディングボード、ALCボードなどを使用することも多いのが特徴的です。

また、国内でポピュラーに使用されている木造住宅の外壁素材には、天然木以外にもさまざまな種類が使用されているので、それぞれの特徴を知っておくと便利です。

木造外壁の良い点悪い点

木造外壁の良い点は、やはり何といっても木の温かみが感じやすいことではないでしょうか。シンプルで素朴な色合いは落ち着きを与えてくれますし、木は年月をかけることで深みが増していき、年数がたっても飽きずに過ごせます。

また、木造外壁は太陽の光を遮ってくれるため、断熱性にも優れています。自然本来の温かみだけでなく、寒さを和らいてくれるので、木造外壁は日本古来の優れた技術や知恵を用いているのが分かります。

ただ、木造外壁の悪い点は、水には弱いことです。高温多湿によって腐食が起きやすいため、他の外壁よりも細かなメンテナンスが必要となります。シロアリやネズミといった害虫は兼ねてから悩みのタネともいえますし、日本家屋の天敵ともいえる存在で今日でも脅威となっています。

木造住宅に外壁塗装が必要になる理由と劣化のサインとは

木造外壁のメンテナンスが必要になるサインは、目に見えるものが多くてわかりやすいといえます。主な特徴としては、外壁にカビや苔が付着している場合や変色やふくらみがある場合です。

また、シロアリに侵食されている場合や外壁塗装が剥がれてひび割れている場合もメンテナンスが必要となっていきます。このよう箇所を見つけたら、後々劣化してきていますので早めの対応が求められます。外壁塗装は、家を長持ちさせるために大事な役割を果たしていますので、劣化のサインを見逃すことなく必要に応じて対応しましょう。

木造住宅に使用できる塗料の種類

木造外壁に使用できる塗料は、2種類に分けられています。浸透型塗料と造膜型塗料です。

浸透型塗料

浸透型塗料は素材の中に浸透していく塗料で、木材の表面のみならず、中まで深く浸透していくため、木材全体を保護することができます。

この塗料はステインと呼ばれ、複数回重ね塗りすることも可能です。浸透型塗料は木材の伸縮を妨げないので、木の持つ本来の良さをそのまま感じられるのが特徴的といえるでしょう。ただ、後述する造膜型塗料よりも、耐久性が劣ります。

造膜型塗料

造膜型塗料は、下塗り用と上塗り用がありそれぞれ役割が違います。下塗用塗料で素材への吸い込みを防ぎ、上塗り用塗料で木材や下塗り用塗料を保護するとともに、色を出すことも可能です。造膜型塗料は、木材を外から保護できるため耐久性は高くなりますが、ひび割れなどの不具合が起きる場合があるので注意が必要です。

外壁素材にあった塗料選ぶ

木造外壁を塗装するには、下塗り用と上塗り用のどちらにも共通なことですが、木材に使用できる塗料を選ばなくてはいけません。塗料は「木部用」や「鉄用」といったように種類分けされていますから、「木部用」と書いてあるものを選びましょう。

また塗装する場所によって「屋内用」と「屋外用」で製品が分かれています。両者は成分が異なる塗料ですので、塗装前にしっかり確認しておいてください。

木造外壁を守るポイント

木造外壁を塗装するうえで大切なことは、前回使用した塗料が何かを確認することが大事です。浸透タイプを使用していたならば、造膜タイプではなく浸透タイプを選ばなくてはいけませんので注意しましょう。

また、木造外壁はどうしても風雨にさらされるのでカビや腐食が発生してしまいがちです。そこで、腐食を防ぐ防腐塗料、紫外線による変色を防ぐ紫外線吸収剤を含む塗料、シロアリなど虫の被害を防ぐ防蟻成分が配合された塗料なども販売されています。

ご自宅の立地や気候に合わせて選ぶことで、メンテナンスの多い木材外壁でも長持ちさせやすくなるので、ポイントをしっかり押さえておくようにしましょう。

DIYでも可能?木造住宅の外壁塗装の手順と注意点

外壁塗装を行う手順としては、外壁の劣化場所を確認するとともに雨漏りなどの二次被害がないか確認します。2階以上の建物の場合、足場を組む必要がありますし、養生テープや養生シートで建物を覆う作業も必要となってきます。外壁の洗浄や古い塗料の除去など、塗装以外にも多くの工程があります。

木造外壁は一般的な外壁よりも短いスパンでメンテナンスが必要になるため、コストがかかります。そのような時にはご自分でDIYしようと考えている人もいるでしょうが、ただペンキを塗るだけではなく、上記で説明した工程にプラスして、ご自宅に合った塗料のタイプを選んでおき、道具も揃えなくてならないことを覚えておいてください。

ご自身でDIYする場合

時間をかけて作業をするのが好きな人にとってはDIYも1つの選択肢となりますが、上記でも紹介した通り、塗装するためにはただペンキを塗るだけではなく、さまざまな工程があります。小さなキズなどの細かい補修でしたらそこまで時間はかからないので、DIYでメンテナンスすることでコスト面カットとなりおすすめです。

ご自身でメンテナンスをするメリットとしては、天候に左右されない点です。雨が降りそうで風も強い日を避けることは容易といえます。ただ、本業のお仕事が休めないからといって無理にスケジュールを決めて敢行するのは止めておきましょう。焦るあまりにせっかくの塗装が仕上がり悪いと、メンテナンスをしても余計に悪化してしまう恐れがあります。

こうならないように、次週に予定をずらすことや有休を消化しておくことも心がけておくのが大切です。

足場を組む必要がある場合は専門業者に依頼

細かな補修やウッドデッキなどでしたらDIYで作業できますが、2階以上の建物で足場を組まなくてはいけないなど大きな塗装工事が必要な場合もあるでしょう。慣れていない素人では大変危険を伴いますので、専門業者にお任せするのが最善です。

手の届かない外壁などは、足場を組んで行います。ただ、このような作業は高所作業にもなるので、プロでも慎重な作業を心がけています。基本的に自宅で作業する場合は脚立に乗る程度でしょうが、それでも十分危険な姿勢を継続しなければなりません。

しかも、脚立でも届かない2階以上の外壁では、足場を素人で組むのは難しいので、窓やベランダの手すりから乗り出して作業しようとする人もいるでしょう。大変危険ですので絶対に止めてください。

さらにDIYの場合、コストカットできるので安く抑えたい時にはおすすめですが、忙しい人では工期が長くなったり、慣れない塗装では色むらができたりとデメリットもあります。その点、実績ある専門業者ならば短期間で工事が完了しますし、素材に合った塗料を使ってムラなく施工してくれるので、心配がありません。費用が高いことをデメリットと捉えるかもしれませんが、万が一保証期間に塗装が剥げてしまった場合など、塗り直ししてもらえる場合もあり、自分でやるよりも安心感が違います。

木造住宅の外壁塗装にかかる費用

木造外壁の塗り替えにかかる大まかな費用ですが、DIYで塗装をする場合、目安としては15~50万円ほどはかかるといわれています。またDIYですと塗装が甘くなってしまい、短いスパンでの塗り直しが必要になるケースもあるためさらに費用が掛かる場合もあります。

専門の業者に依頼した場合の金額は、坪数や塗装面積によって変わり、20坪で40~100万円ほどかかります。その他に雨漏りなどの劣化が見つかればその費用もプラスされますし、足場を組んで作業する場合にも、別途足場を組む代金を請求されます。

普通に考えても高い出費ですので、気を付けておきたいポイントとしては、1社だけでなく複数の業者に相見積もりを依頼することです。業者との打ち合わせは念入りに行い、あまりに安すぎる業者には注意しましょう。

業者サイトを利用した口コミなども参考にしながら、他の業者との金額を比較してあまりにかけ離れた数字の場合、高くても低くても信用できないケースがあります。

まとめ

今回は木造住宅における木造の外壁を塗装する際に抑えておきたいポイントを、さまざまな角度から掘り下げてお伝えしました。一生に一度のマイホームですから、しっかりとメンテナンスをしたいものです。

この記事でも紹介したように、DIYで自身がメンテナンスをやるのもいいですが、ムラが出て塗装が剥がれる恐れもあれば、高い場所は危険が伴います。高額の出費となる木造住宅の外壁塗装ですから、後々に後悔しないためにも信頼できる専門業者に依頼しておき、長く快適なライフスタイルを実現していきましょう。

フッ素塗料を使う前に知っておきたいメリット・デメリットを詳しく解説!

ご自宅の外壁リフォームを計画する際に、どのような塗料を使用したら良いか悩む人も多いのではないでしょうか。塗料の種類は、アクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料の4種類があり、フッ素塗料は4種類の中でもグレードが一番高い塗料です。

コスト面を重視したい人や、初期費用は高くても耐久年数を長くしたい人など、それぞれに重視したい事、不安や悩みがあると思います。今回は外壁塗装に使用する塗料の中で、高耐久塗料と位置づけられているフッ素塗料について、さまざまな角度から詳しく解説していきます。

フッ素塗料とは

フッ素塗料とは、外壁や屋根などの塗料としては耐久性がとても高く、高級塗料として有名です。フッ素塗料は蛍石というフッ化カルシウムが主成分の鉱石を原料としています。蛍石は中国やメキシコで主に生産されており、美しい七色の外観でフローライトとして人気の天然石です。

フッ素塗料はフッ素樹脂を配合しているためとても高価な塗料ですが、優れた耐久性があるので一般住宅だけでなく、高層ビルなど大型建造物にも使用されています。またフッ素塗料に配合されているフッ素樹脂塗料は、住宅や建造物以外にも航空機や半導体、身近なものでは炊飯器、フライパン、アイロンなどの家庭用品にまで幅広く使用されています。

フッ素塗料を使用するのにおすすめできる場所

外壁塗装をするときに家全体をフッ素塗装しようと思うと、予算がオーバーしてしまうこともあるでしょう。確かに他の塗料と比べると費用はかさみます。そのような場合は、家の劣化しやすい場所から塗装するのがおすすめです。

一般住宅の場合、もっとも劣化しやすい場所は屋根です。屋根は紫外線や酸性雨などが一番当たる場所であり、劣化が進みやすいポイントといえます。地上からの見た目では劣化がどのくらい進んでいるのかわかりづらい場所でもあるため、知らないうちに劣化が進んでしまうことも少なくありません。屋根にフッ素塗料を施工し保護することで、親水性と耐薬品性にも強い効果を発揮してくれます。長年風雨にさらされてきた屋根には耐久性の高いフッ素塗料は最適といえるでしょう。

またフッ素塗料は外壁にも適しており、サイデイング、コンクリート、モルタル、トタンなどさまざまな外壁にも対応できます。ただし、モルタル外壁に塗装する場合は、よりヒビ割れが発生しやすくなることもあるので、フッ素塗料の中でも弾性の高いタイプを使用してください。

フッ素塗料のメリット5つを紹介

フッ素塗料の最大のメリットは耐久性ですが、それ以外にもいくつも良いところがあるので、主なメリットを5つに分けて詳しく説明します。

フッ素塗料は耐久性抜群

フッ素塗料は紫外線や、酸性雨など酸化したものに強く耐久性が抜群です。紫外線などの大気の汚れは人間だけでなく家屋にとっても天敵といえます。強いコーティングがあれば長年の天敵から身を守ることが可能となるのです。またフッ素塗料は温度変化にも対応できるため、昨今の温暖化に伴う気温の上昇にも対候性があるため安心な塗料といえるでしょう。

フッ素塗料を使用すれば建物の耐用年数があがる

建築業界で一般的に使用されているシリコン塗料の耐用年数が10~15年ほどといわれている中、フッ素塗料は12~20年とされており、劣化の進行を遅らせる効果があります。昨今の日本では前線が待機して長時間の大雨が降ることもあり、瞬間的なゲリラ豪雨で局地的な災害も多く見られます。

しかも、6月でも日中の最高気温が更新されるといった異常気象が多く、人間だけでなく外壁や屋根といった住宅もかなりの被害を受けています。そのように長期的に雨水や紫外線に晒されてしまうと、劣化スピードも速まってしまいますが、フッ素塗料はしっかりと屋根や外壁に密着しますので、色あせや劣化のスピードを遅らせる特徴があります。

汚れが付着しづらく耐摩耗性に優れる

フッ素塗料は耐摩耗性にも優れており、光沢が長持ちしやすいため外壁の塗装にもおすすめです。一般的に使われているシリコン塗料の光沢は、施工してから8年ほど経つと光沢が約20%減少するといわれていますが、フッ素塗料では20年経っても10%ほどしか減少しませんので、この差は歴然です。フッ素塗料の耐摩耗性は優れた効果を発揮するので、長期間光沢を守ってくれることから、スカイツリーなどの大型建造物にも使用されています。

防カビ性や防藻性があり安心

住宅の悩みの1つであるカビですが、フッ素塗料にはカビや藻の発生を抑える効果もあります。住宅の立地場所や北側の壁などには陽の光があまり当たらない部分もあるはずです。

そのような場所にはカビや藻が発生してしまうことがあります。カビの発生は人体にも影響を与えますので、小さなお子様がいる場合には注意が必要です。そのような場合でも、カビや藻の発生を抑えるフッ素塗料なら、建物の美観を損なうことなく長期的に外観を綺麗に保ってくれる効果が期待できます。

フッ素樹脂塗料を使用するとLCC削減に貢献

フッ素塗料に配合されているフッ素樹脂は対候性に優れているため1度塗装すれば長期間にわたり塗り替えを行う必要がないとされています。大型商業施設やビル、タワーなどの建造物では塗り替えを行う際、大掛かりな足場を組んでしまうと施工期間も長期間になるなど、多額の費用と時間がかかります。

そのような場合にもフッ素塗料を使用していれば、耐久年数が格段に上がるので、大型建造物の塗り替え頻度も少なく済み、建造物へのLCC(ライフサイクルコスト)を削減する効果があるとされています。経済性にも優れたフッ素塗料は、環境負担の軽減にも役立つものとして最近では幅広い場面で使用されるようになりました。

一般の住宅レベルではこれらのような施工期間が長くなるケースは想定できませんが、マンションやビルなどを所有している家主や企業の自社ビルの塗装を検討している担当者の場合、フッ素塗料を使用することで長期的なコスト削減が見込めます。

フッ素塗料のデメリット3つとは

ここまでフッ素塗料のメリットをご紹介してきましたが、高い耐久性がゆえにデメリットも存在します。特に大きなデメリット3つを紹介します。

コストが高い

塗料の中でグレードが一番高いフッ素塗料は高耐久性が優れているため、どうしても価格が高くなります。一般的に使用されているシリコン塗料でも耐久性は備わっているものも多いため、フッ素塗料のコストパフォーマンスは必ずしも高いとはいえません。

フッ素塗料で自宅のリフォーム工事する場合、住宅全体をフッ素塗料で塗装するにはコストがかなりかかります。そのような場合に安く抑えようと屋根と外壁を分けて施工しようとすると、そのたびに業者に依頼しなくてはならず、足場の設置費用も2回かかりますので余計に費用がかさみます。1回の金額は高くなりますが、長い目で見ると屋根と外壁は同時に施工することで、トータル費用を安く抑えられるのでおすすめです。

塗膜が硬い

フッ素塗料は他の塗料に比べて塗膜が非常に硬いので、追従性がありません。地震や自然災害などで外壁にヒビが入ると塗膜も一緒に割れてしまう可能性があります。特にモルタル外壁で使用している場合には注意が必要です。

ツヤ有りしか選べない

フッ素塗料以外の外壁塗料では、ツヤありとツヤなしが選べますが、フッ素塗料ではツヤありしか選ぶことができません。光沢のある外観に仕上げたい人にはおすすめですが、マッドな外観に仕上げたい人には向いていないといえます。

フッ素塗料の種類

フッ素塗料には水性1液型、水性2型、ターペン可溶1液型、ターペン可溶2液型、強溶剤2液型などさまざまな種類があります。希釈材が水やシンナーで異なり、臭いも少ないタイプや若干強いのもあります。その他にも遮熱や弾性といったタイプも存在しますので、信頼できる専門業者に良く相談して決めるとよいでしょう。

大手メーカーが販売しているフッ素塗料

さまざまな塗料を販売している大手メーカーもフッ素塗料を扱っています。「エスケー化研」「関西ペイント」「ロックペイント」「日本ペイント」の主要なフッ素塗料を紹介していきます。

・エスケー化研 「スーパーセラタイトF」

エスケー化研が販売している「スーパーセラタイトF」は、水性1液型なので扱いやすいのが特徴です。耐候性と耐久性に優れており、外壁にもおすすめの塗料です。

・関西ペイント 「アレスアクアフッソ」

関西ペイントが販売している「アレスアクアフッソ」は、匂いが抑えられている特徴があるので、住宅密集地での使用にお勧めできます。塗膜に対して優れたマイクロカプセル技術が親水性を強化し、汚れの付着を防いでくれます。

・ロックペイント 「サンフロンルーフ」

ロックペイントが販売している「サンフロンルーフ」は、耐久性や耐水性が高いうえに、クロムなどの有害な重金属を使用していないため環境にやさしいのが魅力です。また、独特の刺激臭はないのでマイルドな臭いを実現しています。

・日本ペイント 「ファイン4Fセラミック」

日本ペイントが販売している「ファイン4Fセラミック」は、弱溶剤2液型で水性の物より耐久性が高いうえに、日本ペイントが販売しているフッ素塗料の中では安価なことがポイントです。

まとめ

フッ素塗料についていろいろな角度から解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。フッ素塗料は建造物の耐用年数を大幅に伸ばせる高い性能を誇ります。そのため初期費用はかさみますが、長期的にコストを抑えたい場合や、光沢のある仕上がりにしたい場合には最適な塗料です。

それと同時に高性能であるがゆえの多少のデメリットも存在します。フッ素塗料は他の塗料に比べて高価な塗料となりますので、施工を失敗しないためにも信頼できる業者を選んでおき、実際にフッ素塗料で施工された住宅を見せてもらうなど、後悔しないリフォーム工事ができるようにしましょう。

シリコン塗料の特徴とは? 塗装のメリットや費用を解説

屋根、外壁塗装は自宅のリフォームの中でも一番大きな金額がかかり、家の寿命を左右する重要なものです。塗装は工法や職人の技術の他にもどんな塗料を使うのかで耐用年数やかかる費用が変わってきます。ここでは、さまざまな種類がある塗料のうち、最もコスパが良いとされるシリコン塗料について解説します。

シリコン塗料とは

シリコンという言葉は耳にしても、シリコン塗料とは一体どんな塗料なのか、想像つかない人もいるでしょう。シリコン塗料とは、シリコンやアクリルシリコンが含まれている合成樹脂を主成分とした塗料を指しています。アクリル樹脂を主体としたアクリル塗料とは異なります。

かつてはアクリル塗料がリフォームなど外壁や屋根の塗装にもよく使われていましたが、シリコン塗料の価格が下がってきたことから、近年ではシリコン塗料がメインで外壁や屋根の塗装に使用されています。

塗料は含まれる樹脂によって塗料の性質が異なり、塗料には他に顔料(着色料)などが含まれます。シリコン塗料は外壁塗装に多く使われ、発色が長持ちする対候性・雨風に耐えられる耐水性に優れているのが特徴です。シリコン塗料は価格もそれほど高くないため、塗料の耐用年数を考慮すると、他の塗料と比べても優れたコストパフォーマンスといえるでしょう。

シリコン塗料は費用や耐用年数、仕上がりなど総合的にバランスが良いため、外壁塗装に最適です。

シリコン塗料のメリット

シリコン塗料のメリットについてみていきます。

耐久年数に優れて長い目で見てお得

シリコン塗料の耐久年数は一般的に8年~15年で、アクリル塗料の3年~8年、ウレタン塗料の5年~10年に比べ、長持ちしやすいのは大きなメリットといえます。価格はアクリル塗料<ウレタン塗料<シリコン塗料の順に高くなりますが、耐用年数を考慮すると、シリコン塗料は最も費用対効果が高くなります。

塗膜性があって汚れが付着しにくい

シリコン塗料にはセラミックの成分が含まれ、塗装した建物などを守る被膜がしっかりしているため、汚れをはじきやすく、付着しにくいメリットがあります。また、シリコン塗料は湿気が溜りにくくて結露を防止する役割もあり、カビが発生しにくい環境を作ります。そのため、シリコン塗料を活用することで、長期間の美観が保たれて、塗り替えなどの期間を長く開けられます。

熱や紫外線にも強く、光沢がある仕上がり感

シリコン塗料は高温の熱にも強い特徴があり、外壁は紫外線にさらされるものですが、耐候性に優れているので劣化を防いでくれます。さらに塗装後のツヤがあって光沢のある仕上がり感は綺麗な外観を実現します。

シリコン塗料のデメリット

このようにシリコン塗料には多くのメリットがありますが、デメリットもあります。

シリコン塗料のデメリット4つについてみていきましょう。

単純な費用は割高となる

1つ目はアクリルやウレタン塗料に比べ、シリコン塗料は割高になるデメリットがあります。塗料にもよりますが、1㎡あたりアクリル塗料に対して2倍、ウレタン塗料は1.7倍ぐらい価格が高くなっています。シリコン塗料は塗る面積が大きくなると、その分費用がかさんでしまうことが懸念といえるでしょう。

長い目で見るとお得ですが、単発で支払う費用で考えるとシリコン塗料は他の塗料よりもコストで出費が大きくなります。また、建物の大きさ、広さや想定使用年数によっては割高になり、人によっては不適となる可能性があります。

耐用年数がフッ素塗料に劣る

シリコン塗料はフッ素塗料に比べ、耐用年数が劣ります。単純比較でいうと、フッ素塗料の耐用年数は12年~20年とさらに長くなります。まだまだ同一の住居に住むときなど、建物の想定使用年数が長い場合には、メンテナンスの面でデメリットとなるでしょう。

ひび割れしやすい

シリコン塗料は他の塗料と比べるとひび割れがしやすい点がデメリットです。シリコン塗料はウレタン塗料やフッ素塗料と比べるとやや密着性が弱く、硬い特性があります。シリコン塗料を扱う場合、塗料が固まらないように攪拌が多く必要となり、素人では取り扱いに注意が必要です。

技術が必要

シリコン塗料は一般的にDIIYに不向きといえます。それはシリコン塗料が塗装や取り扱いに関する技術が必要だからです。コスト面で屋根や外壁で塗装業者に依頼するのを躊躇する人も少なくありませんが、シリコン塗料で塗装するには一定の技術が必要なため、プロでもない限り、素人がDIYで扱うのはやめた方が無難です。屋根や外壁塗装は技術力が高い塗装専門業者に依頼すると安心といえるでしょう。

シリコン塗料の注意点

シリコン塗料の取り扱うには一定の注意が必要です。ここで、シリコン塗料を扱う上での注意点3つをみていきましょう。

種類が豊富なのでどれを選んでいいのか分からない

シリコン塗料は価格帯でもおすすめになってきているので、種類も豊富になり、素人ではどの塗料を選んでいいのか分からないといえます。特に成分は分かりづらく、メーカーごとの価格を見てもはっきりと違いが分かる人はいないでしょう。

プロの塗装業者として毎日シリコン塗料と向き合っている人は成分やメーカーごとの違いを判断できますが、自宅の外壁や屋根に適した塗料を選択するのは素人では厳しいと言わざるを得ません。

含有率が不明

シリコン塗料にはシリコン自体の含有率が不明な商品が多くあり、素人では使用してもまったく分からないといえるでしょう。一般的にシリコン含有率は低いもので20%、高いもので40~65%です。シリコン含有率は公表していないメーカーが多く、消費者にとっては塗料を選びにくい理由の一つとなります。ちなみにシリコン含有率が高いほどシリコン塗料の性能が良くなりますが、価格も高くなります。

業者選びを慎重にする

最後に信頼できる塗装業者を選ぶことです。先述したようにシリコン塗料は素人にはわかりにくい点がありますので、わかりやすく説明できる信頼のおける業者を選ぶのが大切です。

質の悪い塗料で塗装し、高額な料金を請求する悪質な業者もいますので、後で泣きを見ないためにも注意が必要です。何社か相見積もりを取って、比較すると良いですし、高いだけでも問題ですが、安すぎる業者も安心するのは危険といえます。

シリコン塗料の費用

ここでは、代表的なシリコン塗料についてみていきましょう。大手メーカー3社のおすすめのシリコン塗料と特徴を説明します。

・日本ペイント

屋根塗装におすすめなのが、「サーモアイSi」です。2液油性シリコン樹脂塗料で、建物の中でも消耗が激しい屋根の塗装に適した遮熱塗料の一つです。太陽光による熱を遮り、屋根の劣化を防ぐ効果が見込めます。耐用年数は8年~12年で、1㎡あたり約3,930円が相場です。

・関西ペイント

次に、屋根塗装でおすすめなのが、「アレスアクアセラシリコン」です。1液反応硬化形シリコン系塗料で水性のため、においが少ないのが特徴です。低汚染性・耐候性・弾性追従性に優れています。1液型なので、一度開封すると、可使時間内に使い切る必要があります。耐用年数は8年~12年で、1㎡あたり約3,900円が相場です。

・エスケー化研
最後に、外壁塗装でおすすめなのが、エスケー化研の「プレミアムシリコン」です。1液水性シリコン樹脂塗料で水性です。耐用年数は13年~16年で、1㎡あたり約2,600円が相場です。フッ素塗料並みの耐用年数がありながら、価格は他のシリコン塗料と変わらないのが人気です。

シリコン塗料にも水性と油性で違いがある

ここまで代表的なシリコン塗料についてご紹介しましたが、シリコン塗料には大きく分けて水性と油性の2種類があります。水性塗料と油性塗料の違いや特徴をみていきましょう。

水性塗料の特徴

水性塗料は、油性塗料に比べ、取り扱いが楽で内装など幅広く使われています。塗料といえばシンナーの臭いが苦手という人も少なくありませんが、水性塗料は水分が蒸発するので臭いは気にならないといえます。

また、水性塗料はシンナーを含んでいないので、引火しませんし、環境にもメリットがあります。さらにハケやバケツなど使用したツールを水道水で丸洗いできるのも扱いやすいですし、素人にはおすすめといえます。

油性塗料の特徴

油性塗料は、発色や耐久性に優れています。用途が広く、どんな色でも、どんな場所でも塗装できるのが特徴です。仕上がり良さと耐久性では水性塗料よりも抜群に優れた効果を発揮できます。

ただ、油性塗料はシンナーを有機溶剤として使用していますから、一定の臭いがします。シンナーの臭いは慣れていない人ほどキツイといえますし、引火しやすいので保管場所や取り扱いには十分注意が必要といえるでしょう。

シリコン塗料がおすすめの人

それでは、反対にシリコン塗料が不向きな人はどんな人でしょうか。それは大きい住宅で塗装面積が広い場合と数年後に売却する予定の人です。大きい住宅で塗装面積が広いとその分費用がかかり、建物の建築価格に対してどうしても割高になってしまいます。コストを抑えるため、一部を別の塗料にするなど工夫する余地がありそうです。

また、数年後に売却する予定がある人の場合、シリコン塗料の耐用年数はそれより長いので、費用が無駄になる可能性が考えられます。

まとめ

この記事ではシリコン塗料について詳しく解説してきました。シリコン塗料は素人には扱いにくい点がありますので、ご自宅の屋根や外壁塗装を検討する際、信頼できる業者を選定しておけるよう、基本的な知識としてお役立ていただけると幸いです。

塗料に使う硬化剤は必要? 1液型と2液型の違いにも注意しよう

最近人気の古民家物件のリノベーションに挑戦してみたいと考えている方も多いと思います。リノベーションを進める中で、塗料を購入する時に硬化剤という言葉を耳にしたことはありませんか?硬化剤とは、その名の通り塗料を素早く固めるための添加剤ことです。

硬化剤のみで塗装することは不可能ですが、塗料と混ぜ合わせることで使用が可能となります。塗料の多くには元々硬化剤が入った1液型塗料と、硬化剤を混ぜることで使用できる2液型塗料があります。ここでは、硬化剤の特徴や使い方、初心者にもおすすめの種類などを詳しく解説していきますので参考にしてみてください。

硬化剤とは何なのか

塗料の硬化剤には、化学物質の1種である「イソシアネート」が主な主成分となっています。ポリウレタンの成分にも使用されている化学物質で、その効果で塗装した表面部分を硬く乾燥させ、素材にしっかり密着させることができます。

イソシアネートは非常に反応性が高く湿気などは大敵ですので、冷所で保存することが重要です。また、誤って肌に付けてしまった場合は皮膚に炎症が起きやすく、吸い込んだときには肺に炎症を起こしてしまう場合もあります。それだけ取扱いには慎重とならざるを得ず、硬化剤を混ぜ合わせて使用する2液型塗料の場合は、専門の業者に依頼することをおすすめします。

また、硬化剤と強化剤は名前の響きが似ていることから混同されがちですが、大きく違う点があります。硬化剤の入った塗料は主剤のみでは固まらないので、そのまま使用はできません。

一方、強化剤の入っている塗料は主剤のみでも固まります。ですので、強化剤を混ぜることで塗料の性能を向上させる働きがあるということです。

硬化剤を扱う1液型と2液型の違い

塗料は硬化剤を入れるタイミングによって、1液型塗料と2液型塗料に分けられます。ホームセンターや工具店で販売されているものは、1液型塗料ですので初心者が購入するのには最適です。

また先述の強化剤も基本的に1液型塗料に使われます。

1液型塗料の特徴

液型塗料の特徴は、塗料の中にあらかじめ硬化剤が混ざっているので、硬化剤を購入して配合する必要がありません。硬化剤が元々入っているため塗布して一定時間が経過することで固まり始めます。1液型塗料は硬化するスピードがゆっくりですので、素人でも比較的扱いやすいのが特徴的です。

また、残った分は保存しておくことも可能ですので、初心者がDIY塗装するのにお勧めです。塗装が1日で終わらない場合にも、翌日に使用可能ですから安心して使用できるタイプと言えます。

1液型塗料のデメリットとしては、金属など表面がつるつると滑らか且つ硬い素材には適していないことと、元々硬化剤が混ざって販売されているため開封後も保存がきく分、2液型塗料より耐久性が低い面です。

それでも扱いやすさでは圧倒的に1液型塗料の方になりますので、DIYの自宅で使う塗装には2液型よりもおすすめといえるでしょう。

2液型塗料の特徴

2液型塗料の特徴は元々硬化剤が混ざっている1液型塗料よりも、強力な硬化剤を直前に配合するため、固まるスピードが速くて硬度を上げることが可能です。塗布する素材ともしっかり密着しますので、1液型塗料より耐久性が3年ほど向上する傾向にあります。

塗料は密着すればするほど仕上がりも良いので美しいツヤを実現できます。完成度の高さを追求した場合には1液型よりも2液型塗料がおすすめといえるでしょう。

2液型塗料にはあらかじめ硬化剤がセット販売されている商品が多く、どの硬化剤を使えばいいのか分からない人にも安心して使用できるようになっています。

また1液型塗料では使用できなかった金属系にも塗装することが可能ですので、使用できる場所も格段に増えます。業者に依頼する場合、使用する塗料は2液型塗料がメインといなります。

2液型と硬化剤のデメリット

2液型に入れる硬化剤は1液型よりも強力なものを使用しているため、固まるスピードが速く密封保存でも乾燥を止められないので、塗装できる時間が限られます。ですので、2液型塗料は塗装のプロでないと扱いにくいでしょう。

また、すぐに固まる性質上、必要な分だけを混ぜ合わせますので配合が難しく、慣れていないと混ぜ合わせる作業が多くなってしまい余分に時間がかかってしまいます。使用するのに何度も配合のために軽量しないとならず、混ぜるのが手間になってイライラする人も少なくありません。

さらに、3年ほど耐久性が上がるので、2液型塗料の方が1液型塗料よりも少し割高なのもコスト面ではデメリットですし、持ち運ぶのも硬化剤がある分だけ余計に増えてしまいます。

2液型塗料と硬化剤の使用方法と注意点

業者に依頼せずに自分で2液型塗料を扱う場合、硬化剤の使用方法と注意点、配合率をみていきましょう。

使用方法と注意点

2液型塗料と硬化剤の使い方ですが、塗料の容器に記載されている通りの配合率を確認し、主剤を必要な分だけ計測します。出した主剤の量に対して硬化剤を別容器に出し、そちらも計測しながら主剤容器に硬化剤を入れ、下から掘り起こすように2~3分ほど攪拌させます。

次に、シンナーか水で希釈し良くかき混ぜ使用していきます。主剤と硬化剤の配合率が極めて難しいのと、混ぜ合わせてから塗り終わるまでのタイムリミットが非常に短いことは、抑えておくべき大事なポイントと言えます。

言葉で説明するのは簡単ですが、実際に作業するとなると慎重に扱わないとならず、2液型塗料は扱いが非常に難しいため、すぐに塗装を終わらせたい人や塗装する場所に金属がある場合は、専門業者に依頼して塗装してもらうことをお勧めします。

2液塗料・硬化剤の配合率

塗料の種類とは関係なく購入した製品によって主剤と硬化剤の配合率は変わりますので、使用前に塗料側面の説明文を確認しましょう。難しい配合率ですが数グラム程度の誤差では使用不可になることはほとんどありませんが、記載された配合率の範囲内に収まるように混ぜ合わせることが大切です。

配合率よりも硬化剤を多く混ぜてしまった場合、固まるスピードが速まるため塗装している途中で硬化が始まってしまいます。逆に硬化剤が少なかった場合は、塗料が上手く固まらず垂れるので、すぐに剥がれやすくなってしまいます。

硬化剤だけに多く配合するとそれだけ素早く乾燥しそうなイメージですが、逆に塗料が固くなり過ぎてしまうので、塗装できなくなってしまいます。規定の配合率を必ず守るように心がけましょう。

このように記載されている配合率とあまりにもかけ離れた比率で混ぜてしまうと、塗料が上手く力を発揮できなくなり施工不良となりますので注意が必要です。

おすすめの2液型塗料

2液型塗料は様々なメーカーが多数の商品を販売していますので、その中でもお勧めの商品をいくつか紹介していきます。

エスケー化研株式会社「クリーンマイルドシリコン」

クリーンマイルドシリコンは、エスケー化研株式会社が販売する2液型シリコン塗料で、人気の高い商品です。価格帯は、1平方メートルあたり2200円からと2液型塗料の中では低価格なのが魅力です。

コスト面で割りに合っているとはいえ、決して性能で劣るものでもなく、リーズナブルながらもしっかりと塗装できる商品といえます。塗布できる場所は、コンクリートやアルミニウム、ステンレスなどの金属系まで幅広く使用でき使い勝手の良い商品です。

また、クリーンマイルドシリーズには、「クリーンマイルドシリコン」の他に、特殊フッ素樹脂塗料の「クリーンマイルドフッソ」、ウレタン樹脂塗料の「クリーンマイルドウレタン」の計3種類があり、光沢に違いが出るので、使用状況に合わせて選ぶことが可能です。

日本ペイント株式会社「ファインSi」

ファインSiは、日本ペイントが販売する2液型シリコン塗料の代表的といえる商品です。価格帯は、1平方メートルあたり2700円からとなっています。塗布できる場所は現場打ちのコンクリート面からカラー鋼板などの金属系までとこちらも幅広く適用できる商品です。

ファインSiは、乾燥する時間がスピーディーですので、冬の気温が下がる時期でも工期が長引かずに素早く施工できることから人気を博している商品といえるでしょう。

関西ペイント「セラMレタン」

セラMレタンは、関西ペイントが販売している商品で、2液型ウレタン塗料となっています。価格帯は、1平方メートルあたり2060円からとシリコン製と比べ割安なのも特徴です。塗布できる場所は、コンクリートや、鉄、アルミニウムなど幅広く活躍してくれます。こちらはウレタン塗料なので、シリコン塗料より耐久性はそれほど高くはありませんが、塗料自体が柔らかく扱いやすいので職人さんに人気です。

業者選びは慎重にする

硬化剤をしっかりと配合するのは手間がかかるため、いい加減な業者に作業を依頼すると出来上がりにムラが出ることや密着性が悪くて耐久性で劣る可能性があります。塗装業者の選定には口コミや業者の実績を参考にし、家族や知人にも相談してから決めるのもおすすめです。

見積りの際にはしっかりと打ち合わせで確認するようにし、使用する塗料や硬化剤にも言及するようにしておきましょう。

まとめ

昨今のDIYブームでご自宅を自分でリノベーションしたい方には、ホームセンターなど身近なところで購入でき、難しい配合など必要なく蓋を空ければすぐに使用できる1液型塗料を使用するようにしましょう。早急に塗装したい方や塗装範囲が広く金属面にも塗布したい方には2液型塗料をおすすめします。

ただ、2液型塗料は専門業者に施工してもらうほうが確実ですので、ご自身の塗装計画に合ったタイプの塗料を選びましょう。最後に、1液型塗料、2液型塗料のどちらかだけが優れているというわけではありませんので、それぞれのメリット、デメリットをよく調べ楽しく快適なリノベーションライフを実現してみてください。

雨漏りを一時的に防ぐ方法とは? 気を付けるポイントを解説!

大雨特別警報が発令されることが多くなった昨今、台風や局地的集中豪雨によって雨量が大幅に増え、従来の家屋では雨量のキャパを超えてしまい雨漏りが突如として発生してしまうことが多くなりました。

雨漏りが急に起きることでどう対処したらいいのか不安になり、ストレスを抱えてしまう方も多いでしょう。どのように対処したら良いかわからずそのまま放置することで、屋根や外壁の劣化が進みさらに症状が進むことで修理費用が多くなってしまう可能性もあります。そこで雨漏りが発生したときに焦らず対処できるポイントを詳しくまとめていきます。

雨漏りが発生しやすいポイント

雨漏りといっても発生する箇所によって応急処置するポイントはさまざまですので、「天井」「窓」「屋根」「外壁」「ベランダ・バルコニー」といった発生箇所ごとに詳しく解説していきます。

天井の雨漏り

天井から部分的に雨漏りが発生したときは、バケツや鍋の深さのある受け皿を雨が垂れてくる箇所に置き、雨水を受け止めます。複数箇所で雨漏りが発生している場合は、床にブルーシートなどを敷き、その上に防水シートを入れたバケツを置くことで吸水力も上がりますし、水はねから床を守って床への二次被害を防げます。

天井の雨漏りは目に見えて漏れる場所が判明しやすく、電化製品に直接水滴が落ちる懸念もあります。バラエティー番組のコントでもお馴染みで昔ながらの対処法ではありますが、実際に効果もありますのでまずは受け皿を用意して対応しましょう。

窓の雨漏り

雨が強風を伴う場合、横殴りの雨が窓から侵入してくる恐れがあります。その場合は、まず侵入箇所を雑巾や防水シートで塞ぎます。ゲリラ豪雨のような大雨が窓の隙間から侵入してしまうと部屋の広範囲に雨水が広がり、床もかなり濡れてしまいます。

そんな時に雑巾や防水シートで隙間を塞げば、雨水はサッシに落ち室内への侵入を最小限に抑えられます。また雨戸やシャッターが付いている窓の場合、閉めておくといいでしょう。ただ、台風などの暴風雨の場合は、事前に対応しておかないと、シャッターを閉めるときに猛烈な雨が室内を襲ってきます。天気が大きく崩れそうな予報がある場合、先にシャッターを閉めるように気を付けておきましょう。

屋根の雨漏り

台風などの強風による被害で屋根から雨漏りしている場合、急いでブルーシートを張らなければと気持ちが焦りがちですが、一人での作業は大変危険なのでやめましょう。暴風雨の場合は視界も悪く、とても屋根で作業はできませんし、プロでもまずは避難を最優先するものです。

台風の被害ですとまだ強風が吹いている可能性もありますし、屋根が雨の影響で滑りやすくなっています。そのため、一人でブルーシートや土嚢を持ってはしごに上ることは危険です。まずは室内天井にビニール袋を張り付けておくことで床を保護するなど室内で出来ることを行いましょう。それでもどうしても屋根にあがって修理がしたいという人は、風がなく天気のいい日に2人以上で行うことをおすすめします。

また、天気予報をこまめにチェックすることも大事ですが、台風や強風の予報がある場合、ブルーシートを事前に設置したとしても、ニュースなどではブルーシートごと吹き飛んでいることが見られます。

しっかりと土嚢などを乗せなければなりませんが、事前に行う場合でも必ず2人以上で作業を行うことを忘れないでください。

外壁の雨漏り

外壁からの雨漏りの場合、修理業者を呼ぶ前の応急処置として防水テープがあります。コーキング材や補修スプレーなどもありますが、防水テープで外壁のひび割れなどを塞ぐのが一時しのぎとしてはお勧めです。

コーキング材を使用すると業者を呼んで作業する際に、剥がす手間賃が余分にかかる可能性もありますし、剥がしたあとから雨漏りが酷くなる可能性もあるからです。なお防水テープを使用する際は、アクリル系を使用することで剥がしたあとも残りづらくなります。

ベランダやバルコニーの雨漏り

ベランダやバルコニーからの雨漏りは、素人の目ではどこが侵入口か見つけづらいことが多くあります。明らかな侵入口がわからないけれど、早急に応急処置しようとむやみにコーキング材や補修スプレーを使用するのはやめた方が無難です。なぜならその後の雨漏り業者の修理の邪魔になってしまう恐れがあるからです。

ベランダやバルコニーからの雨漏りの一時しのぎとしてお勧めなのが、ブルーシートで広範囲を覆ってしまうことです。全体を覆うことで手すりやつなぎ目が原因の場合にも対応しやすくなります。ブルーシートですと縛っておくだけですので、修理業者に頼む際もスムーズに片づけられて便利です。

雨漏りした際に用意したい便利グッズ

急な雨漏りにも対応できるよう倉庫や押し入れに準備しておくと便利なものは、バケツなど深さのある容器、雑巾、吸水シート、アクリル系の防水テープ、大きめのブルーシート、ごみ袋などです。

ただ、バケツなどは他の用途にも用いるため、いざ雨漏りが発生したときに使えないこともあります。防水用にバケツや雑巾、吸水シートは一緒に保管しておき、雨漏り以外では使用しないように心がけておきましょう。これらの対策グッズはホームセンターで購入できますから、事前に準備しておけば急な雨漏りにも応急処置できるので安心です。

雨漏りを放置すると危険がいっぱい

雨漏りの発生個所によってさまざまな応急処置を紹介してきましたが、応急処置したことで雨漏りが治まったからとそのままにしておくことは厳禁です。雨漏りで浸水した場所は長期間放置することで、ご自宅の大事な基盤や柱が腐食する恐れがあり、サビやカビが発生してしまう可能性もあるでしょう。

基盤が腐食してしまっては大変な修理費用になりますし、カビが発生したまま放置してしまえば、カビの粒子を吸い込むと小さなお子様などはアレルギーなどで人体に悪影響を及ぼしてしまうかもしれません。

また、カビが発生するということは柱に湿気を含んでいる可能性があるため、シロアリの発生も心配です。一時的に雨漏りが治まっても継続的に雨水が侵入することで漏電を引き起こし、最悪の場合火災も発生しかねません。

応急対策の後は業者に頼んで恒久対策

一時的な応急処置で対策したあと放置してしまうことで、さまざまな危険が潜んでいます。修理費用が安く抑えられる初期の段階で、早急に業者に依頼することをお勧めします。

とにかく費用を安く抑えたい方や、1社だけでは金額が妥当かどうか不安だと思う方は、数社に相見積もりを出し、適正価格か確認することをお勧めします。

修理費用にも大まかな相場がありますので、明らかな高額費用はもちろん、安すぎる場合でも注意が必要となります。

雨漏りを業者に依頼するときのおおまかな費用

雨漏りの被害の幅にもよりますが、おおまかな費用はこちらになります。

屋根の雨漏り1~50万円
天井の雨漏り10~15万円
外壁の雨漏り5~150万円
ベランダ・バルコニー3~30万円
天窓・窓・サッシ3~30万円
屋根・外壁の張り替え100~300万円

幅がある場合は広範囲に及ぶケースです。また、一時しのぎで放置せずにすぐに業者に依頼した住宅は被害も最小限に抑えることが可能なので、費用を抑えることができます。逆に放置してしまった場合は、経年にもよりますが、高額な改修費用となるケースが見られます。

再発の危険性あるので信頼できる業者を選ぶ

雨漏りは業者に依頼しても再発してしまうことも少なくありません。それはなぜかと言いますと、雨漏りの発生原因をピッタリと見つけることはプロの目でも難しいからです。急な雨漏りで慌ててしまい、あまり業者を調べずに修理を依頼したことで、補修後も少しの雨でも雨漏りを繰り返してしまうなんてことも珍しいものではありません。

そのようなトラブルが起きないためにも、雨漏り診断士や外装劣化診断士のような専門資格を持っている業者を探し、業者のレベルも見極められ技術面でも安心です。また、補修実績も豊富な業者を選ぶことで、確実な原因箇所の突き止めにもつながります。

雨漏りでも火災保険が適用される

雨漏りでは火災保険が適用される場合があります。原則的に風災や雹災、雪災といった自然災害のみですが、火災保険だからといって火事だけに適用されるものではありません。雨漏りが発生した場合には、一度保険会社に相談することをおすすめします。

ただ、経年劣化などで屋根材などが老朽化した場合、そこから雨水が侵入したのなら、これは自然災害ではありませんので保険金が下りない可能性が高くなります。老朽化を防ぐためにも事前に点検しておき、メンテナンスを実施するように心がけておきましょう。

また、被害を被ってから3年以内に申請しないとならないので、常日頃からどのような補償内容だったかを忘れずに確認しておきましょう。

雨漏りは繰り返すと資産価値が下がる

雨漏りを対策せずに放置してしまうと、カビによる健康被害だけでなく、雨漏りの再発を促してしまいます。雨漏りが再発してしまうと、材質が腐り始め、シロアリも多数発生して手が付けられない状況に陥ってしまいがちです。

さらに、雨漏りを繰り返した場合、家の資産価値が下がってしまいます。いざ住宅を手放して売りたい場合、思った以上に価値が下がって売っても意味がない、極端な話で売れないというケースが発生してしまいます。

まとめ

大型台風や局地的大雨などが発生しやすくなった昨今、急な雨漏りでも落ち着いて行動できるようさまざまな対策をご紹介しました。一時しのぎの応急処置ができるよう、日頃から雨漏り対策グッズを準備することで、さまざまな対策を講じられます。

そして一時しのぎから放置せず、信頼できる業者を選ぶポイントを抑え、必要な補修工事をしてもらうことが重要です。実績豊富な業者に早急に診てもらうことで、再発しやすい雨漏りも、発生を抑えることが可能となりますので、こちらの記事をぜひ参考にしてみてください。

雨漏りの原因と兆候とは? 知っておくと便利な予防法を紹介

住居は年数を重ねていくと、段々各場所が経年劣化していきいろいろなトラブルを引き起こします。特に屋根や外壁が劣化してくると、雨漏りを引き起こすことがあるため注意しておく必要があります。

雨漏りが生じてしまう家は柱や天井などが劣化して腐食し、大きなトラブルになることが考えられます。そのため、雨漏りの原因と兆候、また予防法を知っておくことは大事ですのでそれぞれ紹介していきます。

雨漏りの原因とは?

雨漏りの原因はさまざまなことが考えられるため、ポイントを確認しておくことが大事です。

  • 屋根材の劣化と棟板金や破風板の破損

屋根には棟板金や破風板が備わっていますが、折り目や端の部分は劣化してくると浮きが起こり、釘がゆるんでそこから雨水が入り込んでしまう恐れがあります。おおよそ15年くらい経つと、棟板金や破風板は劣化が進んでしまうものです。

屋根材も経年劣化によってヒビが入って欠けることもあるので注意しなければなりません。割れ目ができると、雨が降ったときに雨水が内部に侵入して雨漏りが発生しますが、スレートや瓦の場合は脱落などによって怪我をする可能性もあるため危険です。天井が雨漏りしているなら屋根を疑うようにしましょう。

  • 窓サッシや換気扇、ドアの劣化

家の窓サッシや換気扇、ドアの劣化によって雨漏りが発生することもあります。本来、窓サッシや換気扇、ドアは外壁との境にコーキングをして隙間ができないようにしていますが、年数と共にコーキングも劣化してしまい、ヒビや裂け目が生じて雨水の侵入を許してしまいがちです。窓サッシや換気扇、ドアから水が内部に侵入しているようなら、コーキングが劣化して隙間ができている可能性が高いです。

また、天窓を設置しているならガラスパッキンの劣化によって雨漏りすることもあります。階段付近に水のシミを見つけた場合、天窓から雨漏りしている可能性が高いので、天窓のガラスパッキンを修理するようにしましょう。

  • ベランダの防水層の劣化

ベランダも防水層の劣化によって雨漏りすることがあります。ベランダは外部に設置されており、風の影響を強く受ける場所です。そのため、ベランダは防水工事によって防水層を作り、雨水がベランダを通して家の内部に侵入しないように設計されています。

しかし、防水層も経年劣化によって防水効果が弱まり、家の内部に染み込みやすくなります。1階の天井が雨漏りしているようであれば、ベランダの防水層が原因である可能性が高いです。

  • 外壁材のひび割れ

外壁材も経年劣化によって耐性が弱まってきます。外壁の材質にもよりますが、モルタルを使用している場合、ヒビが5mm以上入っているなら雨が降ったときに雨水が侵入してきます。窯業系サイディングを使用し、コーキングが劣化して剥がれ、雨漏りとなる可能性もあります。

屋内の壁に水のシミができているようなら、外壁のヒビが原因となっている可能性が高いです。特に窓の周辺にヒビが入ることが多いため、外壁に5mm以上のヒビが入っていないか確認してみてください。

  • 雨戸の戸袋が浸水

古い家であれば雨戸を収納するために戸袋が設置されているでしょう。雨戸の戸袋表面は雨風の影響を受けるため防水処理されていますが、裏側は処理していないことがあります。

そのため、雨戸の戸袋が長時間の雨による影響を受けた場合、内部に雨水が侵入している可能性が高くなりがちです。1階の天井に雨水によるシミができているなら、戸袋に水が溜っていないか確認するようにしましょう。

  • ベランダの排水溝の詰まり

ベランダの排水溝の詰まりによって、雨漏りになってしまうこともあります。ベランダは水が貯まらないように排水溝が設置されていますが、落ち葉やゴミが貯まってしまうと水が流れなくなり、雨漏りの原因となります。

天井などが水で黒染むならベランダの排水溝を確認することが大切です。排水溝のゴミや落ち葉を掃除して水の流れを確認し、その後も定期的に清掃するように心がけておきましょう。

建築士

雨漏りが起きる兆候は主に2つ

雨漏りを事前に察知したいと思っている人も少なくありません。雨漏りの兆候が分かれば未然に防げることが可能となります。雨漏りの兆候には以下の2つの点があります。

  • シロアリが発生する

雨漏りしている1つ目の兆候として、シロアリの発生が挙げられます。住宅はシロアリの発生を防ぐために薬剤を使用して対策を行っていますが、雨漏りによって水を含むと、効果が薄れてシロアリが発生しやすくなります。

特に、シロアリは水を含んだ木材を好みますから、雨漏りによってシロアリが建物に大量発生することも考えられるでしょう。家の外壁などでシロアリを発見した場合、雨漏りが原因として考えられます。

また、家の内部でシロアリが発見されたなら、雨漏りでかなり腐食されている可能性があります。業者に依頼して雨漏り対策とシロアリの駆除をしてもらう必要があるでしょう。

  • カビの発生が多くなる

雨漏りが起きると家の内部に雨が侵入してくるため、湿気が多くなります。湿気が多くなると室温が高くなりますからカビが発生しやすくなります。

特に、雨漏りしている場所は常時湿度が高くなっているため、よりカビが多く発生しています。水のシミや黒ずみが見つからなくても、部屋がカビ臭くなっているなら家の内部が雨漏りしている可能性もあります。カビ臭さを感じる部屋は業者に依頼して検査してもらうのがいいでしょう。

雨漏りを防ぐ予防法とは?

雨漏りが発生すると家の劣化も大きく進行して、住んでいる人の健康被害が生じることも考えられます。そのため、雨漏りはできるだけ予防しなければなりません。

  • 定期的にメンテナンスを行う

雨漏りは定期的にメンテナンスをして家の状況を確認することが大事です。経年劣化はもちろん、雨風によって家は耐性が弱くなり、外壁などにヒビが入る恐れもあります。少しでもヒビが入ってしまうと修理する必要がありますが、早く行動すれば他の場所へ雨水が侵食することは防げ、経費も余分にかかりません。

家を建ててから10年ほど経過すると、外壁や屋根などは劣化が進んでいきます。建築年数を計算して業者にメンテナンスしてもらうのがおすすめです。大きく劣化する前にメンテナンスを実施すれば、雨漏りを予防することにつながります。

  • 耐性の強い材質を使用する

メンテナンスで修理する場合、その機会に耐性の強い材質を使用してもらうのがおすすめです。耐性のある材質なら雨風にも強いので、台風や大雨でも雨漏りする心配はありません。また、家の強度も高くなるため、今後のメンテナンスによる費用も抑えることができます。

屋根は危険なので業者に任せたほうがよい

天井の雨漏りになると、屋根に登って調べようとする人もいるでしょう。雨漏りの修繕にはある程度の知識と経験が必要になります。屋根に登るのはどんなに慣れている人でも危険が付きものです。転落の恐れがありますので専門の業者に任せたほうが安心といえます。

まとめ

雨漏りにはさまざまな原因があるため、定期的に家の中を注意しておくことが大事です。定期的にメンテナンスをして耐性の強い材質を使えば雨漏りを未然に防ぐことが可能となっていきます。

建築士