ALCは優れた外壁材として知られています。機能的であるがゆえに幅広く利用されています。
しかし名前からはどのような建材なのかを想像しにくいため
疑問を解決すべく分かりやすく解説します。
外壁材としてALCを検討している方もぜひ後悔のない選択ができるように、一緒にみていきましょう。
ALCとは
ALCは他の外壁材と比較しても、とても魅力的な建材です。外装建材として昭和50年代ころより使われています。多くの建物で使われており、新しくビルや住宅を建てる際に検討される建材です。
1.ALCの特徴
ALCは「Autoclaved Lightweight aerated Concrete(軽量気泡コンクリート)」の略称です。JIS規格(JIS A 5416)に適合しているものが商品化されているため、高い精度で品質が管理されています。
ALCには厚みが2種類存在します。薄型は35mm〜75mmで、主に木造や鉄骨造の建物に利用されています。厚型は75mm以上であり、鉄骨蔵や鉄筋コンクリート造に使用されているという違いがあるのです。
2.ALCの費用
ALCの費用は5,500〜7.200円/㎡です。足場代などを除いた材料費のみで計算すると、30平米の住宅であれば材料費で約150〜250万円かかることになります。
またALCには外壁塗装が必要不可欠ですので、塗装費用も紹介します。
塗料 | 耐用年数 | 費用相場 |
ウレタン | 8〜10年 | 1,700〜2,200円/㎡ |
シリコン | 10〜15年 | 2,300〜3,500円/㎡ |
フッ素 | 15〜20年 | 3,800〜4,800円/㎡ |
無機 | 20〜25年 | 4,300〜5,500円/㎡ |
耐用年数が長いほど費用相場は高くなります。1度の塗装の費用を安く抑えることも大切ですが、耐用年数が長いほどメンテナンスの手間が省ける上に、足場代などの塗装にかかる経費を節約できます。
ALCのメリット
1.耐久性が高い
ALCは耐用年数が50〜60年といわれています。パルプ材や木繊維などの有機物が含まれていないため、乾燥や熱に強いという特徴があるのです。ひび割れや反りなどのトラブルが少なく、長年使う建材としてもってこいです。
住宅はもちろんですが、大型の建物にも使われることが多いです。建て替えなどをせず、なるべく長く継続して建物を使っていきたい方におすすめの建材です。耐用年数の高いALCをなるべく長く持たせるためには、定期的なメンテナンスが大切です。
2.火に強い
ALCは耐火性が高いため住宅などの使用に向いています。珪石、生石灰、セメントなどの無機物からできているため燃えにくいのです。また有害物質が発生しないので、健康や環境への悪影響を防止できる点も魅力です。
ALCには気泡が含まれていることも、燃えにくくいといわれる理由になります。万が一火災が発生しても広がりにくいため、近隣の住宅なども含めた建物や命を守ってくれる強い味方なのです。
3.遮音性が高い
ALCは防音効果が高いというメリットもあります。防壁材として新幹線のホームや電車、自動車の騒音対策のために使われているほどです。ALC自体に無数の気泡が含まれている上に厚みがあるため、音を通しにくいのです。
近隣トラブルの原因をなるべく排除しつつ、プライバシーも守りながら快適に生活できます。もし小さい子供がいたり楽器を演奏したりなど、音が漏れやすい生活を送る場合におすすめの建材です。また道路沿いなど周辺の音が聞こえやすい立地条件の建物にも適しています。
ALCのデメリット
魅力の多いALCにもデメリットが存在するため、後悔しないためにも事前に確認しておきましょう。
1.他のコンクリートと比較すると強度が低い
建材の中で特に強度が弱いわけ訳ではありません。ただし同じ厚みの他のコンクリートと比較すると強度が劣ってしまいます。
仕上げに使う材料は基本的に鉄筋コンクリート建物に使用されるものと同じです。しかしALCは表面の付着力が弱くより弱いシーリング材を使用することになるため、耐久性が劣ってしまうのです。
2.防水性が低い
ALCは水に弱いという特徴があります。コンクリートは耐水性の高い健在として知られていますが、ALCは気泡が多く含まれているがゆえに水を吸収しやすいのです。長時間水に触れていることで内部まで浸透していきます。
もし水に直接触れてしまうとひび割れが発生して急速に劣化してしまうため、塗装などの定期的なメンテナンスが欠かせません。また寒冷地においてALCが水分を吸収してしまうと、やがて水分が凍って剥がれ落ちてしまう危険性があります。
3.建物のつなぎ目が多くなる
ALCは塗るのではなく貼り付けていくタイプの建材であるため、つなぎ目ができてしまいます。サイディングなども同じように貼り付けていくタイプですが、ALCはサイズが小さいためより多くの枚数が必要になり、つなぎ目も増えてしまうのです。
つなぎ目が多いということは、それだけ水が入り込んだり劣化したりするリスクがあります。つなぎ目へシーリングなどを施すことでコーティングすることで、防水対策を怠らないことが重要になります。
ALCのメンテナンス
定期的なメンテナンスを行うことで、ALCのデメリットを補うことができます。ALCを守るためのメンテナンス方法を2つ解説します。
1.シーリング
シーリングは経年劣化するため、適切な厚みが保たれているかどうかを定期的に確認し、メンテナンスしましょう。ALCパネルの目地をシーリング材で埋めることで、ALCパネルを長持ちさせることにつながります。
シーリングのメンテナンスの方法には2つあります。既存のシーリングの上に塗っていく「増し打ち」と、既存のシーリング材を剥がしてから新しくシーリング材を打ち直す「打ち替え」です。どちらが適切かは業者などに現地調査してもらった上で決めることになります。
2.外壁塗装
外壁塗装をすることでALCの劣化を防げます。塗装をすることでALC自体はもちろんですが、シーリング材も保護するのです。外壁塗装の際にはシーリングのメンテナンスを併せて行うことでより強度が増します。
ALCの外壁塗装の仕上げに使う塗料は、防水性や弾性の高いものがおすすめです。また基本的には3回塗りになりますが、特に1回目の塗装の際にはALCと合っている塗料を選ぶことで塗料の性能も発揮されやすくなります。