塗料に使う硬化剤は必要? 1液型と2液型の違いにも注意しよう

最近人気の古民家物件のリノベーションに挑戦してみたいと考えている方も多いと思います。リノベーションを進める中で、塗料を購入する時に硬化剤という言葉を耳にしたことはありませんか?硬化剤とは、その名の通り塗料を素早く固めるための添加剤ことです。

硬化剤のみで塗装することは不可能ですが、塗料と混ぜ合わせることで使用が可能となります。塗料の多くには元々硬化剤が入った1液型塗料と、硬化剤を混ぜることで使用できる2液型塗料があります。ここでは、硬化剤の特徴や使い方、初心者にもおすすめの種類などを詳しく解説していきますので参考にしてみてください。

硬化剤とは何なのか

塗料の硬化剤には、化学物質の1種である「イソシアネート」が主な主成分となっています。ポリウレタンの成分にも使用されている化学物質で、その効果で塗装した表面部分を硬く乾燥させ、素材にしっかり密着させることができます。

イソシアネートは非常に反応性が高く湿気などは大敵ですので、冷所で保存することが重要です。また、誤って肌に付けてしまった場合は皮膚に炎症が起きやすく、吸い込んだときには肺に炎症を起こしてしまう場合もあります。それだけ取扱いには慎重とならざるを得ず、硬化剤を混ぜ合わせて使用する2液型塗料の場合は、専門の業者に依頼することをおすすめします。

また、硬化剤と強化剤は名前の響きが似ていることから混同されがちですが、大きく違う点があります。硬化剤の入った塗料は主剤のみでは固まらないので、そのまま使用はできません。

一方、強化剤の入っている塗料は主剤のみでも固まります。ですので、強化剤を混ぜることで塗料の性能を向上させる働きがあるということです。

硬化剤を扱う1液型と2液型の違い

塗料は硬化剤を入れるタイミングによって、1液型塗料と2液型塗料に分けられます。ホームセンターや工具店で販売されているものは、1液型塗料ですので初心者が購入するのには最適です。

また先述の強化剤も基本的に1液型塗料に使われます。

1液型塗料の特徴

液型塗料の特徴は、塗料の中にあらかじめ硬化剤が混ざっているので、硬化剤を購入して配合する必要がありません。硬化剤が元々入っているため塗布して一定時間が経過することで固まり始めます。1液型塗料は硬化するスピードがゆっくりですので、素人でも比較的扱いやすいのが特徴的です。

また、残った分は保存しておくことも可能ですので、初心者がDIY塗装するのにお勧めです。塗装が1日で終わらない場合にも、翌日に使用可能ですから安心して使用できるタイプと言えます。

1液型塗料のデメリットとしては、金属など表面がつるつると滑らか且つ硬い素材には適していないことと、元々硬化剤が混ざって販売されているため開封後も保存がきく分、2液型塗料より耐久性が低い面です。

それでも扱いやすさでは圧倒的に1液型塗料の方になりますので、DIYの自宅で使う塗装には2液型よりもおすすめといえるでしょう。

2液型塗料の特徴

2液型塗料の特徴は元々硬化剤が混ざっている1液型塗料よりも、強力な硬化剤を直前に配合するため、固まるスピードが速くて硬度を上げることが可能です。塗布する素材ともしっかり密着しますので、1液型塗料より耐久性が3年ほど向上する傾向にあります。

塗料は密着すればするほど仕上がりも良いので美しいツヤを実現できます。完成度の高さを追求した場合には1液型よりも2液型塗料がおすすめといえるでしょう。

2液型塗料にはあらかじめ硬化剤がセット販売されている商品が多く、どの硬化剤を使えばいいのか分からない人にも安心して使用できるようになっています。

また1液型塗料では使用できなかった金属系にも塗装することが可能ですので、使用できる場所も格段に増えます。業者に依頼する場合、使用する塗料は2液型塗料がメインといなります。

2液型と硬化剤のデメリット

2液型に入れる硬化剤は1液型よりも強力なものを使用しているため、固まるスピードが速く密封保存でも乾燥を止められないので、塗装できる時間が限られます。ですので、2液型塗料は塗装のプロでないと扱いにくいでしょう。

また、すぐに固まる性質上、必要な分だけを混ぜ合わせますので配合が難しく、慣れていないと混ぜ合わせる作業が多くなってしまい余分に時間がかかってしまいます。使用するのに何度も配合のために軽量しないとならず、混ぜるのが手間になってイライラする人も少なくありません。

さらに、3年ほど耐久性が上がるので、2液型塗料の方が1液型塗料よりも少し割高なのもコスト面ではデメリットですし、持ち運ぶのも硬化剤がある分だけ余計に増えてしまいます。

2液型塗料と硬化剤の使用方法と注意点

業者に依頼せずに自分で2液型塗料を扱う場合、硬化剤の使用方法と注意点、配合率をみていきましょう。

使用方法と注意点

2液型塗料と硬化剤の使い方ですが、塗料の容器に記載されている通りの配合率を確認し、主剤を必要な分だけ計測します。出した主剤の量に対して硬化剤を別容器に出し、そちらも計測しながら主剤容器に硬化剤を入れ、下から掘り起こすように2~3分ほど攪拌させます。

次に、シンナーか水で希釈し良くかき混ぜ使用していきます。主剤と硬化剤の配合率が極めて難しいのと、混ぜ合わせてから塗り終わるまでのタイムリミットが非常に短いことは、抑えておくべき大事なポイントと言えます。

言葉で説明するのは簡単ですが、実際に作業するとなると慎重に扱わないとならず、2液型塗料は扱いが非常に難しいため、すぐに塗装を終わらせたい人や塗装する場所に金属がある場合は、専門業者に依頼して塗装してもらうことをお勧めします。

2液塗料・硬化剤の配合率

塗料の種類とは関係なく購入した製品によって主剤と硬化剤の配合率は変わりますので、使用前に塗料側面の説明文を確認しましょう。難しい配合率ですが数グラム程度の誤差では使用不可になることはほとんどありませんが、記載された配合率の範囲内に収まるように混ぜ合わせることが大切です。

配合率よりも硬化剤を多く混ぜてしまった場合、固まるスピードが速まるため塗装している途中で硬化が始まってしまいます。逆に硬化剤が少なかった場合は、塗料が上手く固まらず垂れるので、すぐに剥がれやすくなってしまいます。

硬化剤だけに多く配合するとそれだけ素早く乾燥しそうなイメージですが、逆に塗料が固くなり過ぎてしまうので、塗装できなくなってしまいます。規定の配合率を必ず守るように心がけましょう。

このように記載されている配合率とあまりにもかけ離れた比率で混ぜてしまうと、塗料が上手く力を発揮できなくなり施工不良となりますので注意が必要です。

おすすめの2液型塗料

2液型塗料は様々なメーカーが多数の商品を販売していますので、その中でもお勧めの商品をいくつか紹介していきます。

エスケー化研株式会社「クリーンマイルドシリコン」

クリーンマイルドシリコンは、エスケー化研株式会社が販売する2液型シリコン塗料で、人気の高い商品です。価格帯は、1平方メートルあたり2200円からと2液型塗料の中では低価格なのが魅力です。

コスト面で割りに合っているとはいえ、決して性能で劣るものでもなく、リーズナブルながらもしっかりと塗装できる商品といえます。塗布できる場所は、コンクリートやアルミニウム、ステンレスなどの金属系まで幅広く使用でき使い勝手の良い商品です。

また、クリーンマイルドシリーズには、「クリーンマイルドシリコン」の他に、特殊フッ素樹脂塗料の「クリーンマイルドフッソ」、ウレタン樹脂塗料の「クリーンマイルドウレタン」の計3種類があり、光沢に違いが出るので、使用状況に合わせて選ぶことが可能です。

日本ペイント株式会社「ファインSi」

ファインSiは、日本ペイントが販売する2液型シリコン塗料の代表的といえる商品です。価格帯は、1平方メートルあたり2700円からとなっています。塗布できる場所は現場打ちのコンクリート面からカラー鋼板などの金属系までとこちらも幅広く適用できる商品です。

ファインSiは、乾燥する時間がスピーディーですので、冬の気温が下がる時期でも工期が長引かずに素早く施工できることから人気を博している商品といえるでしょう。

関西ペイント「セラMレタン」

セラMレタンは、関西ペイントが販売している商品で、2液型ウレタン塗料となっています。価格帯は、1平方メートルあたり2060円からとシリコン製と比べ割安なのも特徴です。塗布できる場所は、コンクリートや、鉄、アルミニウムなど幅広く活躍してくれます。こちらはウレタン塗料なので、シリコン塗料より耐久性はそれほど高くはありませんが、塗料自体が柔らかく扱いやすいので職人さんに人気です。

業者選びは慎重にする

硬化剤をしっかりと配合するのは手間がかかるため、いい加減な業者に作業を依頼すると出来上がりにムラが出ることや密着性が悪くて耐久性で劣る可能性があります。塗装業者の選定には口コミや業者の実績を参考にし、家族や知人にも相談してから決めるのもおすすめです。

見積りの際にはしっかりと打ち合わせで確認するようにし、使用する塗料や硬化剤にも言及するようにしておきましょう。

まとめ

昨今のDIYブームでご自宅を自分でリノベーションしたい方には、ホームセンターなど身近なところで購入でき、難しい配合など必要なく蓋を空ければすぐに使用できる1液型塗料を使用するようにしましょう。早急に塗装したい方や塗装範囲が広く金属面にも塗布したい方には2液型塗料をおすすめします。

ただ、2液型塗料は専門業者に施工してもらうほうが確実ですので、ご自身の塗装計画に合ったタイプの塗料を選びましょう。最後に、1液型塗料、2液型塗料のどちらかだけが優れているというわけではありませんので、それぞれのメリット、デメリットをよく調べ楽しく快適なリノベーションライフを実現してみてください。

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