シリコン塗料の特徴とは? 塗装のメリットや費用を解説

屋根、外壁塗装は自宅のリフォームの中でも一番大きな金額がかかり、家の寿命を左右する重要なものです。塗装は工法や職人の技術の他にもどんな塗料を使うのかで耐用年数やかかる費用が変わってきます。ここでは、さまざまな種類がある塗料のうち、最もコスパが良いとされるシリコン塗料について解説します。

シリコン塗料とは

シリコンという言葉は耳にしても、シリコン塗料とは一体どんな塗料なのか、想像つかない人もいるでしょう。シリコン塗料とは、シリコンやアクリルシリコンが含まれている合成樹脂を主成分とした塗料を指しています。アクリル樹脂を主体としたアクリル塗料とは異なります。

かつてはアクリル塗料がリフォームなど外壁や屋根の塗装にもよく使われていましたが、シリコン塗料の価格が下がってきたことから、近年ではシリコン塗料がメインで外壁や屋根の塗装に使用されています。

塗料は含まれる樹脂によって塗料の性質が異なり、塗料には他に顔料(着色料)などが含まれます。シリコン塗料は外壁塗装に多く使われ、発色が長持ちする対候性・雨風に耐えられる耐水性に優れているのが特徴です。シリコン塗料は価格もそれほど高くないため、塗料の耐用年数を考慮すると、他の塗料と比べても優れたコストパフォーマンスといえるでしょう。

シリコン塗料は費用や耐用年数、仕上がりなど総合的にバランスが良いため、外壁塗装に最適です。

シリコン塗料のメリット

シリコン塗料のメリットについてみていきます。

耐久年数に優れて長い目で見てお得

シリコン塗料の耐久年数は一般的に8年~15年で、アクリル塗料の3年~8年、ウレタン塗料の5年~10年に比べ、長持ちしやすいのは大きなメリットといえます。価格はアクリル塗料<ウレタン塗料<シリコン塗料の順に高くなりますが、耐用年数を考慮すると、シリコン塗料は最も費用対効果が高くなります。

塗膜性があって汚れが付着しにくい

シリコン塗料にはセラミックの成分が含まれ、塗装した建物などを守る被膜がしっかりしているため、汚れをはじきやすく、付着しにくいメリットがあります。また、シリコン塗料は湿気が溜りにくくて結露を防止する役割もあり、カビが発生しにくい環境を作ります。そのため、シリコン塗料を活用することで、長期間の美観が保たれて、塗り替えなどの期間を長く開けられます。

熱や紫外線にも強く、光沢がある仕上がり感

シリコン塗料は高温の熱にも強い特徴があり、外壁は紫外線にさらされるものですが、耐候性に優れているので劣化を防いでくれます。さらに塗装後のツヤがあって光沢のある仕上がり感は綺麗な外観を実現します。

シリコン塗料のデメリット

このようにシリコン塗料には多くのメリットがありますが、デメリットもあります。

シリコン塗料のデメリット4つについてみていきましょう。

単純な費用は割高となる

1つ目はアクリルやウレタン塗料に比べ、シリコン塗料は割高になるデメリットがあります。塗料にもよりますが、1㎡あたりアクリル塗料に対して2倍、ウレタン塗料は1.7倍ぐらい価格が高くなっています。シリコン塗料は塗る面積が大きくなると、その分費用がかさんでしまうことが懸念といえるでしょう。

長い目で見るとお得ですが、単発で支払う費用で考えるとシリコン塗料は他の塗料よりもコストで出費が大きくなります。また、建物の大きさ、広さや想定使用年数によっては割高になり、人によっては不適となる可能性があります。

耐用年数がフッ素塗料に劣る

シリコン塗料はフッ素塗料に比べ、耐用年数が劣ります。単純比較でいうと、フッ素塗料の耐用年数は12年~20年とさらに長くなります。まだまだ同一の住居に住むときなど、建物の想定使用年数が長い場合には、メンテナンスの面でデメリットとなるでしょう。

ひび割れしやすい

シリコン塗料は他の塗料と比べるとひび割れがしやすい点がデメリットです。シリコン塗料はウレタン塗料やフッ素塗料と比べるとやや密着性が弱く、硬い特性があります。シリコン塗料を扱う場合、塗料が固まらないように攪拌が多く必要となり、素人では取り扱いに注意が必要です。

技術が必要

シリコン塗料は一般的にDIIYに不向きといえます。それはシリコン塗料が塗装や取り扱いに関する技術が必要だからです。コスト面で屋根や外壁で塗装業者に依頼するのを躊躇する人も少なくありませんが、シリコン塗料で塗装するには一定の技術が必要なため、プロでもない限り、素人がDIYで扱うのはやめた方が無難です。屋根や外壁塗装は技術力が高い塗装専門業者に依頼すると安心といえるでしょう。

シリコン塗料の注意点

シリコン塗料の取り扱うには一定の注意が必要です。ここで、シリコン塗料を扱う上での注意点3つをみていきましょう。

種類が豊富なのでどれを選んでいいのか分からない

シリコン塗料は価格帯でもおすすめになってきているので、種類も豊富になり、素人ではどの塗料を選んでいいのか分からないといえます。特に成分は分かりづらく、メーカーごとの価格を見てもはっきりと違いが分かる人はいないでしょう。

プロの塗装業者として毎日シリコン塗料と向き合っている人は成分やメーカーごとの違いを判断できますが、自宅の外壁や屋根に適した塗料を選択するのは素人では厳しいと言わざるを得ません。

含有率が不明

シリコン塗料にはシリコン自体の含有率が不明な商品が多くあり、素人では使用してもまったく分からないといえるでしょう。一般的にシリコン含有率は低いもので20%、高いもので40~65%です。シリコン含有率は公表していないメーカーが多く、消費者にとっては塗料を選びにくい理由の一つとなります。ちなみにシリコン含有率が高いほどシリコン塗料の性能が良くなりますが、価格も高くなります。

業者選びを慎重にする

最後に信頼できる塗装業者を選ぶことです。先述したようにシリコン塗料は素人にはわかりにくい点がありますので、わかりやすく説明できる信頼のおける業者を選ぶのが大切です。

質の悪い塗料で塗装し、高額な料金を請求する悪質な業者もいますので、後で泣きを見ないためにも注意が必要です。何社か相見積もりを取って、比較すると良いですし、高いだけでも問題ですが、安すぎる業者も安心するのは危険といえます。

シリコン塗料の費用

ここでは、代表的なシリコン塗料についてみていきましょう。大手メーカー3社のおすすめのシリコン塗料と特徴を説明します。

・日本ペイント

屋根塗装におすすめなのが、「サーモアイSi」です。2液油性シリコン樹脂塗料で、建物の中でも消耗が激しい屋根の塗装に適した遮熱塗料の一つです。太陽光による熱を遮り、屋根の劣化を防ぐ効果が見込めます。耐用年数は8年~12年で、1㎡あたり約3,930円が相場です。

・関西ペイント

次に、屋根塗装でおすすめなのが、「アレスアクアセラシリコン」です。1液反応硬化形シリコン系塗料で水性のため、においが少ないのが特徴です。低汚染性・耐候性・弾性追従性に優れています。1液型なので、一度開封すると、可使時間内に使い切る必要があります。耐用年数は8年~12年で、1㎡あたり約3,900円が相場です。

・エスケー化研
最後に、外壁塗装でおすすめなのが、エスケー化研の「プレミアムシリコン」です。1液水性シリコン樹脂塗料で水性です。耐用年数は13年~16年で、1㎡あたり約2,600円が相場です。フッ素塗料並みの耐用年数がありながら、価格は他のシリコン塗料と変わらないのが人気です。

シリコン塗料にも水性と油性で違いがある

ここまで代表的なシリコン塗料についてご紹介しましたが、シリコン塗料には大きく分けて水性と油性の2種類があります。水性塗料と油性塗料の違いや特徴をみていきましょう。

水性塗料の特徴

水性塗料は、油性塗料に比べ、取り扱いが楽で内装など幅広く使われています。塗料といえばシンナーの臭いが苦手という人も少なくありませんが、水性塗料は水分が蒸発するので臭いは気にならないといえます。

また、水性塗料はシンナーを含んでいないので、引火しませんし、環境にもメリットがあります。さらにハケやバケツなど使用したツールを水道水で丸洗いできるのも扱いやすいですし、素人にはおすすめといえます。

油性塗料の特徴

油性塗料は、発色や耐久性に優れています。用途が広く、どんな色でも、どんな場所でも塗装できるのが特徴です。仕上がり良さと耐久性では水性塗料よりも抜群に優れた効果を発揮できます。

ただ、油性塗料はシンナーを有機溶剤として使用していますから、一定の臭いがします。シンナーの臭いは慣れていない人ほどキツイといえますし、引火しやすいので保管場所や取り扱いには十分注意が必要といえるでしょう。

シリコン塗料がおすすめの人

それでは、反対にシリコン塗料が不向きな人はどんな人でしょうか。それは大きい住宅で塗装面積が広い場合と数年後に売却する予定の人です。大きい住宅で塗装面積が広いとその分費用がかかり、建物の建築価格に対してどうしても割高になってしまいます。コストを抑えるため、一部を別の塗料にするなど工夫する余地がありそうです。

また、数年後に売却する予定がある人の場合、シリコン塗料の耐用年数はそれより長いので、費用が無駄になる可能性が考えられます。

まとめ

この記事ではシリコン塗料について詳しく解説してきました。シリコン塗料は素人には扱いにくい点がありますので、ご自宅の屋根や外壁塗装を検討する際、信頼できる業者を選定しておけるよう、基本的な知識としてお役立ていただけると幸いです。

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