ご自宅の外壁リフォームを計画する際に、どのような塗料を使用したら良いか悩む人も多いのではないでしょうか。塗料の種類は、アクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料の4種類があり、フッ素塗料は4種類の中でもグレードが一番高い塗料です。
コスト面を重視したい人や、初期費用は高くても耐久年数を長くしたい人など、それぞれに重視したい事、不安や悩みがあると思います。今回は外壁塗装に使用する塗料の中で、高耐久塗料と位置づけられているフッ素塗料について、さまざまな角度から詳しく解説していきます。
フッ素塗料とは
フッ素塗料とは、外壁や屋根などの塗料としては耐久性がとても高く、高級塗料として有名です。フッ素塗料は蛍石というフッ化カルシウムが主成分の鉱石を原料としています。蛍石は中国やメキシコで主に生産されており、美しい七色の外観でフローライトとして人気の天然石です。
フッ素塗料はフッ素樹脂を配合しているためとても高価な塗料ですが、優れた耐久性があるので一般住宅だけでなく、高層ビルなど大型建造物にも使用されています。またフッ素塗料に配合されているフッ素樹脂塗料は、住宅や建造物以外にも航空機や半導体、身近なものでは炊飯器、フライパン、アイロンなどの家庭用品にまで幅広く使用されています。
フッ素塗料を使用するのにおすすめできる場所
外壁塗装をするときに家全体をフッ素塗装しようと思うと、予算がオーバーしてしまうこともあるでしょう。確かに他の塗料と比べると費用はかさみます。そのような場合は、家の劣化しやすい場所から塗装するのがおすすめです。
一般住宅の場合、もっとも劣化しやすい場所は屋根です。屋根は紫外線や酸性雨などが一番当たる場所であり、劣化が進みやすいポイントといえます。地上からの見た目では劣化がどのくらい進んでいるのかわかりづらい場所でもあるため、知らないうちに劣化が進んでしまうことも少なくありません。屋根にフッ素塗料を施工し保護することで、親水性と耐薬品性にも強い効果を発揮してくれます。長年風雨にさらされてきた屋根には耐久性の高いフッ素塗料は最適といえるでしょう。
またフッ素塗料は外壁にも適しており、サイデイング、コンクリート、モルタル、トタンなどさまざまな外壁にも対応できます。ただし、モルタル外壁に塗装する場合は、よりヒビ割れが発生しやすくなることもあるので、フッ素塗料の中でも弾性の高いタイプを使用してください。
フッ素塗料のメリット5つを紹介
フッ素塗料の最大のメリットは耐久性ですが、それ以外にもいくつも良いところがあるので、主なメリットを5つに分けて詳しく説明します。
フッ素塗料は耐久性抜群
フッ素塗料は紫外線や、酸性雨など酸化したものに強く耐久性が抜群です。紫外線などの大気の汚れは人間だけでなく家屋にとっても天敵といえます。強いコーティングがあれば長年の天敵から身を守ることが可能となるのです。またフッ素塗料は温度変化にも対応できるため、昨今の温暖化に伴う気温の上昇にも対候性があるため安心な塗料といえるでしょう。
フッ素塗料を使用すれば建物の耐用年数があがる
建築業界で一般的に使用されているシリコン塗料の耐用年数が10~15年ほどといわれている中、フッ素塗料は12~20年とされており、劣化の進行を遅らせる効果があります。昨今の日本では前線が待機して長時間の大雨が降ることもあり、瞬間的なゲリラ豪雨で局地的な災害も多く見られます。
しかも、6月でも日中の最高気温が更新されるといった異常気象が多く、人間だけでなく外壁や屋根といった住宅もかなりの被害を受けています。そのように長期的に雨水や紫外線に晒されてしまうと、劣化スピードも速まってしまいますが、フッ素塗料はしっかりと屋根や外壁に密着しますので、色あせや劣化のスピードを遅らせる特徴があります。
汚れが付着しづらく耐摩耗性に優れる
フッ素塗料は耐摩耗性にも優れており、光沢が長持ちしやすいため外壁の塗装にもおすすめです。一般的に使われているシリコン塗料の光沢は、施工してから8年ほど経つと光沢が約20%減少するといわれていますが、フッ素塗料では20年経っても10%ほどしか減少しませんので、この差は歴然です。フッ素塗料の耐摩耗性は優れた効果を発揮するので、長期間光沢を守ってくれることから、スカイツリーなどの大型建造物にも使用されています。
防カビ性や防藻性があり安心
住宅の悩みの1つであるカビですが、フッ素塗料にはカビや藻の発生を抑える効果もあります。住宅の立地場所や北側の壁などには陽の光があまり当たらない部分もあるはずです。
そのような場所にはカビや藻が発生してしまうことがあります。カビの発生は人体にも影響を与えますので、小さなお子様がいる場合には注意が必要です。そのような場合でも、カビや藻の発生を抑えるフッ素塗料なら、建物の美観を損なうことなく長期的に外観を綺麗に保ってくれる効果が期待できます。
フッ素樹脂塗料を使用するとLCC削減に貢献
フッ素塗料に配合されているフッ素樹脂は対候性に優れているため1度塗装すれば長期間にわたり塗り替えを行う必要がないとされています。大型商業施設やビル、タワーなどの建造物では塗り替えを行う際、大掛かりな足場を組んでしまうと施工期間も長期間になるなど、多額の費用と時間がかかります。
そのような場合にもフッ素塗料を使用していれば、耐久年数が格段に上がるので、大型建造物の塗り替え頻度も少なく済み、建造物へのLCC(ライフサイクルコスト)を削減する効果があるとされています。経済性にも優れたフッ素塗料は、環境負担の軽減にも役立つものとして最近では幅広い場面で使用されるようになりました。
一般の住宅レベルではこれらのような施工期間が長くなるケースは想定できませんが、マンションやビルなどを所有している家主や企業の自社ビルの塗装を検討している担当者の場合、フッ素塗料を使用することで長期的なコスト削減が見込めます。
フッ素塗料のデメリット3つとは
ここまでフッ素塗料のメリットをご紹介してきましたが、高い耐久性がゆえにデメリットも存在します。特に大きなデメリット3つを紹介します。
コストが高い
塗料の中でグレードが一番高いフッ素塗料は高耐久性が優れているため、どうしても価格が高くなります。一般的に使用されているシリコン塗料でも耐久性は備わっているものも多いため、フッ素塗料のコストパフォーマンスは必ずしも高いとはいえません。
フッ素塗料で自宅のリフォーム工事する場合、住宅全体をフッ素塗料で塗装するにはコストがかなりかかります。そのような場合に安く抑えようと屋根と外壁を分けて施工しようとすると、そのたびに業者に依頼しなくてはならず、足場の設置費用も2回かかりますので余計に費用がかさみます。1回の金額は高くなりますが、長い目で見ると屋根と外壁は同時に施工することで、トータル費用を安く抑えられるのでおすすめです。
塗膜が硬い
フッ素塗料は他の塗料に比べて塗膜が非常に硬いので、追従性がありません。地震や自然災害などで外壁にヒビが入ると塗膜も一緒に割れてしまう可能性があります。特にモルタル外壁で使用している場合には注意が必要です。
ツヤ有りしか選べない
フッ素塗料以外の外壁塗料では、ツヤありとツヤなしが選べますが、フッ素塗料ではツヤありしか選ぶことができません。光沢のある外観に仕上げたい人にはおすすめですが、マッドな外観に仕上げたい人には向いていないといえます。
フッ素塗料の種類
フッ素塗料には水性1液型、水性2型、ターペン可溶1液型、ターペン可溶2液型、強溶剤2液型などさまざまな種類があります。希釈材が水やシンナーで異なり、臭いも少ないタイプや若干強いのもあります。その他にも遮熱や弾性といったタイプも存在しますので、信頼できる専門業者に良く相談して決めるとよいでしょう。
大手メーカーが販売しているフッ素塗料
さまざまな塗料を販売している大手メーカーもフッ素塗料を扱っています。「エスケー化研」「関西ペイント」「ロックペイント」「日本ペイント」の主要なフッ素塗料を紹介していきます。
・エスケー化研 「スーパーセラタイトF」
エスケー化研が販売している「スーパーセラタイトF」は、水性1液型なので扱いやすいのが特徴です。耐候性と耐久性に優れており、外壁にもおすすめの塗料です。
・関西ペイント 「アレスアクアフッソ」
関西ペイントが販売している「アレスアクアフッソ」は、匂いが抑えられている特徴があるので、住宅密集地での使用にお勧めできます。塗膜に対して優れたマイクロカプセル技術が親水性を強化し、汚れの付着を防いでくれます。
・ロックペイント 「サンフロンルーフ」
ロックペイントが販売している「サンフロンルーフ」は、耐久性や耐水性が高いうえに、クロムなどの有害な重金属を使用していないため環境にやさしいのが魅力です。また、独特の刺激臭はないのでマイルドな臭いを実現しています。
・日本ペイント 「ファイン4Fセラミック」
日本ペイントが販売している「ファイン4Fセラミック」は、弱溶剤2液型で水性の物より耐久性が高いうえに、日本ペイントが販売しているフッ素塗料の中では安価なことがポイントです。
まとめ
フッ素塗料についていろいろな角度から解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。フッ素塗料は建造物の耐用年数を大幅に伸ばせる高い性能を誇ります。そのため初期費用はかさみますが、長期的にコストを抑えたい場合や、光沢のある仕上がりにしたい場合には最適な塗料です。
それと同時に高性能であるがゆえの多少のデメリットも存在します。フッ素塗料は他の塗料に比べて高価な塗料となりますので、施工を失敗しないためにも信頼できる業者を選んでおき、実際にフッ素塗料で施工された住宅を見せてもらうなど、後悔しないリフォーム工事ができるようにしましょう。