火災に強い!サイディング外壁の防火耐火性能について解説

現在の戸建ての多くは外壁がサイディング系といわれています。耐火性や耐久性に優れている商品が人気となっている外壁素材ですが、サイディングと聞いてもいまいちピンと来ない人も多いといえます。今回はサイディングの中でも耐火性に優れた窯業系サイディングや、その他の種類の特徴、サイディング外壁に塗装が必要な理由まで詳しくご紹介します。

そもそもサイディングとは?

サイディングとは建物の外壁に使用する外壁材のことで、セメントや樹脂、金属などが原料として使用されています。工場で板状に仕上げられるサイディングは、品質も安定しており非常に扱いやすい外壁なのが特徴的です。

釘や金具を使用して外壁に張り付け、板と板の間をシーリング材で繋ぎしっかりと固定するだけと施工しやすいもので、サイディングボードは外壁に適した素材といえるでしょう。

サイディング外壁は、モルタル外壁やALCとは異なり施工方法が簡単なため、工期が短く済むうえに安価であるため、昨今の戸建て住宅の80%ほどが、サイディング外壁といわれています。また、デザイン性やカラーバリエーションも豊富なため、新築住宅だけでなくリフォームする際にも人気となっています。

サイディングは4種類

サイディング外壁は使用する素材によって窯業系、金属系、樹脂系、木質系の4種類に分けられています。後述しますが、それぞれの素材により特徴はさまざまですので、ご自身の目的に合わせて選ぶことが重要となってきます。

サイディング外壁の種類別メリット・デメリット

サイディング系の外壁を選ぶためには、個々の特徴を知ることはとても大事になります。ここからは、それぞれのサイディング外壁の特徴やメリット、デメリットをご紹介していきます。

窯業系サイディング

窯業系サイディングは、セメント80%に繊維質原料と増量材20%を混ぜ合わせ板状に成形した外壁材のことで、国内で使用されるサイディング外壁のほとんどが窯業系といわれています。

窯業系には工場で塗装してくる「塗装仕上げ」と現場で塗装する「無塗装板」がありますが、どちらもボードは工場で生産されるため品質自体に違いはありません。メリットとしては、セメントが主な材料であるため、衝撃や地震などの激しい揺れにも強くて丈夫な外壁となります。また優れた防火性能を兼ねそろえているため、火が燃え移りにくく密集地に住宅を建てる際にもおすすめです。

デメリットとしては、窯業系サイディング自体に防水性はなく、表面を塗装することで防水機能を高めているため、表面の塗膜が劣化するたびに都度メンテナンスが必要となります。

金属系サイディング

金属系サイディングには、塗装ガルバリウム鋼板、塗装溶融亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム合金塗装板、塗装ステンレス鋼板の4種類のいずれかが使用されています。裏に断熱材を入れた金属サイディングは断熱性や、耐凍害性に優れているため、寒冷地域でも多く使用されている外壁材です。また他の外壁サイディングと違い、ひび割れに強いという特性も持っています。

デメリットとしては、衝撃には弱いため物がぶつかったりするとへこんでしまったり、塩害によるサビの心配もあるため、海岸沿いでの使用には注意が必要となります。

樹脂系サイディング

プラスチックの1種である「塩化ビニル樹脂」を使用した薄い外壁で、シーリングを使用しない施工ができるため、他のサイディング系に比べメンテナンスいらず、というほどの高耐久なサイディングです。

シェアナンバーワンの窯業サイディングは、10年に1度は塗装のメンテナンスが必要になりますが、樹脂サイディングの場合は材料が高耐久であるため、20年以上は塗装のメンテナンスが要りません。また、樹脂サイディングは凍害や塩害に強いため、寒冷地や沿岸地域で重宝している外壁材となっています。

デメリットとしては、樹脂サイディングを施工できる業者が国内では少なく、工事費用も割高になってしまいます。長期的なメンテナンスを省きたい人にはおすすめですが、業者選びに手間がかかるでしょう。

木質系サイディング

木質系サイディングは、ヒノキやスギといった無垢な木材の表面を加工し、耐火性の機能を加えた外壁です。木材をそのままで使用してしまうと、雨水での腐食が起きて、燃えやすいといった不具合が生じてしまいます。

そこで木材を加工することにより、天然木の暖かみはそのままに、防火性や防水性を高めています。また木質系サイディングは断熱性にも優れているため、日当たりがよすぎる立地や気温差が激しい地域に適しています。

デメリットとしては、天然木を使用しているため、窯業サイディングのように大量生産できる外壁材よりも、2倍ほど価格が高くなってしまいます。

防火構造と耐火構造について

住宅を建てる際に気を付けることの一つとして「防火構造」と「耐火構造」がありますが、2つの違いが分からない人も多いものでしょう。両者には明確な違いがありますので、内容を知っておくことはとても重要となります。

・防火構造

防火構造は、隣接する建物への燃え移りを防いでくれるもので、外壁や軒裏に燃えにくいような材質を使用している構造です。窯業系サイディングなどもこの1つとなります。昨今は防火性の高い塗料も販売されているため、外壁に対しては機能を発揮できる反面、建物の内側からの出火に対してはリスクがあります。

・耐火構造

耐火構造は、建物を構成している柱や床、壁の部分に燃えにくい性能を持った鉄筋やレンガといった素材を使用した構造です。建物の内側で火災が起きた場合でも、近くの建物へ炎が燃え広がるのを防ぐ反面、耐火性のある鉄骨やレンガは重さもあるため、硬い地盤の上に建設しなければなりません。

防火性能を上げるなら防火塗装は必須

万一の火災に備えるためにはサイディング外壁に防火塗装することはとても重要なことです。防火塗料の働きとしては、火災が発生した場合に生じる火柱から建物を守り、火災の成長や延焼も防止してくれます。

防火塗料には「発砲形防火塗料」と「非発砲形防火塗料」があり、木材や金属といったサイディングに塗装するには「発砲形防火塗料」が使用されます。塗装面に高温の炎が触れると、塗膜が膨張し、スポンジ状の断熱層を作り出すことで、外壁への炎の広がりを遅らせてくれるのです。

サイディング外壁の耐用年数と塗り替え時期

サイディングの耐用年数は種類によって異なります。セメントを主な材料とし、防火性を上げている窯業系の耐用年数は約40年となっています。その間にも塗装が劣化すれば定期的なメンテナンスが必要です。

金属系も40年ほどとされておりますが、塗装面にチョーキング現象が発生した場合にはその都度塗り替えが必要となります。樹脂系は30年ほどといわれていますが、他のサイディングと違い基本的にメンテナンスは不要です。木質系は15~30年ほどといわれています。吸水性が高い分、劣化が早く他のサイディングに比べて耐用年数は短いです。

素材耐用年数と特徴
窯業系サイディング約40年で定期的なメンテ必要
金属系サイディング約40年でチョーキング現象時は塗り替え必要
樹脂系サイディング約30年でメンテナンスは基本不要
木質系サイディング約15~30年で吸水性があって劣化が早い

DIYで塗装は張り替えが厳しい

サイディングは施工しやすい特徴から、素人でもDIYでリフォームできるのでは?と思う人もいるでしょう。ただ、張り替えは専門技術が必要になってきますので、自分で行うことは難しいです。しかし、塗装のみなど、防火性能が落ちてきているような劣化が見られる箇所への、簡単なメンテナンス程度でしたら行うことも可能です。

素人は足場を組むのが危険

塗装には足場の設置が必要です。室内の壁や天井程度なら脚立で行えますが、風や雨がある屋外ではそうはいきません。特に2階建ての住宅などは脚立で作業するのはもってのほかです。必ず足場を組んでおかなくてはなりません。

この足場は素人ができるものではなく、時間もかかりますので専門業者に依頼するのが正しいといえます。基本的に塗装業者に依頼すればすべて対応してくれますが、足場だけの設置を発注することも可能です。

足場はプロの塗装業者でも必ず設置しなければなりません。安全対策はもちろんですが、足場を設置したほうが塗装自体もスムーズに行えます。

サイディング外壁にリフォームするなら専門業者に任せよう

重ね張りや;張替え工事を行いたい場合ですが、サイディングの外壁リフォームはすべての業者が施工できるわけではありませんので、施工経験豊富な専門業者に依頼することをおすすめします。また、高額な請求や手抜き工事のような悪徳業者の被害に遭わないためにも、少なくとも3社ほどで相見積もりをしておきましょう。

まとめ

サイディング外壁の種類や特徴から、防火性能が上がる塗料についてなど解説してきましたがいかかでしたでしょうか? 住宅の外壁は、雨風から私たちを守ってくれる大切な部分です。

サイディングの性能を長持ちさせるには、防火塗料などを定期的に塗装し、危険な火災などの被害から住宅を守れるようにする必要があります。外壁材のメリット、デメリットを理解し、ご自身の希望に合った理想の外壁に出会えるように、しっかりポイントを押さえておきましょう。

SNSでもご購読できます。