スレート屋根の特徴からメンテの時期まで、知らなかった基礎知識を徹底解説します!

住宅の屋根材といえば、瓦屋根や金属屋根、スレート屋根がありますが、国内で最も流通しているのはスレート屋根材です。人気の屋根材ですので、多くの住宅で使用されていますが、スレート屋根の劣化を放置してしまうと雨漏りや浸水が起こり、屋根材の寿命を縮めてしまいます。ここでは、スレート屋根の特徴やメンテナンスのタイミングなど、知っているようで知らなかった基礎知識を解説していきます。

スレート屋根とは?

スレート屋根は、主成分がセメントの素材を薄い平状の形に成形した屋根材です。カラーベストとも呼ばれることもありますが、カラーベストはケイミュー株式会社が出しているスレート屋根の製品名になります。

スレート屋根が国内に広く普及されたことによって、スレート屋根=カラーベストというように知れ渡っていきました。スレート屋根には人工タイプと天然タイプがあり、人工タイプのなかにはさらにいくつかの種類があります。

スレート屋根の構造

スレート屋根は主成分がセメントですので表面に塗膜が必要となります。厚さは5ミリ程度と非常に薄いため、他の屋根材よりも軽量です。粘土瓦の半分ほどしか重さがないため住宅にかかる負担も少なく耐震性に優れた屋根材です。

スレート屋根材は価格が安価なうえに、デザイン性が高くカラーバリエーションも豊富なため、近年ニーズが高まり人気となっています。スレート屋根材がここまで全国的に普及した背景には、阪神淡路大震災での住宅の倒壊が多かったことがあり、軽量で耐震性の高い屋根材を製品化するという動きに繋がり誕生したといわれています。

スレート屋根は大きく分けて2分類

スレート屋根は「天然スレート」と「人工スレート」に分類されます。「人工スレート」は化粧スレートとも呼ばれ、平板スレート、厚型スレート、波型スレートの3種類に分けられます。

「天然スレート」は自然の岩を薄平に切り取って使用するので劣化は少ないですが、「人工スレート」よりも高級品となるため、安価な「人工スレート」のほうが、一般的には広く流通しているのが特徴的です。

ここからは各スレートの特徴について説明していきます。

・平板スレート 

セメントと繊維素材を混ぜ合わせたものを、薄く平らに成形した屋根材です。厚さは5ミリほどしかなく、現在国内で使用されているスレート屋根材の中で、1番の普及率と言われています。

平板スレートのほかに、化粧スレート、カラーベストなど、地域や人によって呼ぶ名前が変わりますが、商品としては同一のものとなります。デザインやカラーバリエーションが豊富で選ばれやすく、人気となっています。

・厚形スレート

平板スレートに厚みを持たせたのが厚型スレートで、瓦の形に成形し厚みを持たせた屋根材となっています。セメント瓦とも呼ばれる本商品は、瓦の素材よりも安価で作れるということで、一時期は非常に普及しましたが、瓦ほどの耐震力がなく、平板スレートよりも高額なことから、最近では使用されなくなってきました。

・波形スレート

文字通り波型の形状をした化粧スレートの1種で、大判サイズの屋根材となっています。屋根材の下に野地板が必要でないことから、住宅用ではなく体育館や倉庫、工場といった大型建造物で使用されています。

・石綿スレート

石綿スレートは、かつて住宅用の平板スレートや、大型建造物用の波型スレートに使用されてきました。しかしアスベストを吸い込むと健康被害が起きる恐れがあるとして、2006年にアスベストの使用が全面禁止になったことで、生産されなくなりました。2006年以降に建てられた住宅は大丈夫ですが、それ以前に建築された住宅の場合、アスベスト入りの屋根材が使用されている可能性があります。

そこで屋根材の劣化が見られた場合、自分でDIYするのではなく、専門業者に相談するようにしてください。

スレート屋根のメリット・デメリット

スレート屋根のメリットとデメリットをみていきましょう。

スレート屋根のメリット

スレート屋根のメリットとして1番に挙げられることは、価格が安いことです。工場で均一に大量生産できることで安価に手に入るため、初期費用が抑えられます。また全国的に普及率が高く、施工技術にも差が出ないため、施工不良や業者選びに悩む心配も少なくなります。

スレート屋根は厚さが薄いため重量が軽く、住宅への負担がかかりにくいことで、耐震性にも優れていることもメリットの1つと言えます。

スレート屋根のデメリット

スレート屋根のデメリットとしては、厚みが薄い分、衝撃には弱く割れやすい面があります。瓦など他の屋根材は平均で30年の耐用年数があるのに比べ、スレート屋根は15~25年と耐用年数が短くなっています。そのため、初期費用は安価でもメンテナンスや補修に費用が多くかかってしまう場合がありますので、トータルコストを重視する人にとっては注意が必要です。

また、スレート屋根は防水性が低いため、カビや藻が発生しやすい面もデメリットといえます。

スレート屋根の耐用年数は?

平板スレートの平均的な耐用年数は、15~30年、厚型スレートでは25~40年といわれています。しかし、この耐用年数は定期的なメンテナンスを行った場合であり、ひび割れや塗装の剥げなどの劣化を放置してしまえば、耐用年数も短くなってしまいますので、注意が必要となります。

きっちりとメンテナンスができていると、住宅の寿命も伸びていくものです。

メンテナンスが必要になる症状とは?

スレート屋根は安価で扱いやすい反面、10年に1度のメンテナンスが必要となります。屋根材は普段からこまめに目視できない場所ですので、症状に気づきにくいものです。まだ大丈夫だろうと思っていても劣化が進行している場合もありますから、劣化が進んでいない段階でメンテナンスを行うことが重要となります。

スレート屋根のひび割れや表面のゆがみ

長年の雨風により塗膜が剥がれてしまうことで、スレートが水分を吸ってしまい、屋根材が浮いたり反ってしまったり、ひび割れが起きてしまう場合があります。このような場合は、

屋根材の中に雨水が侵入している恐れがあるため補修が必要です。

部分的であれば部分補修で済みますが、雨水の侵入による雨漏りやシロアリの発生等、二次被害が起きてしまう場合がありますので、そのような心配があるときは、葺き替えやカバー工法をおすすめします。

塗装が剥げることによる色あせ

雨水や紫外線により塗装が剥げてしまうことで、色あせが起きたり、表面にカビや藻が発生してしまい見た目が悪くなってしまうことがあります。屋根材の反りやひび割れがおきておらず、カビや藻の発生のみでしたら基本的には塗装のみで大丈夫です。

スレート屋根のメンテナンス費用

初期費用が安いといっても定期的なメンテナンスにはいったいいくら必要なのか不安な人も多いと思います。ここからは、カバー工法、葺き替え、塗装の一般的なメンテナンス費用の相場をご紹介します。

カバー工法」や「葺き替え」といった補修や修理の場合

「カバー工法」は既存の屋根材はそのまま残し、上から新しい屋根材を覆いかぶせる工法です。既存の屋根材は残したままなので断熱性や防音性が上がりますが、屋根材が2重になることで重さが増し、住宅への負担が高くなってしまうデメリットもあります。費用の相場は50万円ほどとなっています。

「葺き替え」はひび割れなどの劣化が進行してしまい、屋根材の中の防水シートの交換が必要になる場合に行う工法です。古い屋根材をすべて撤去して、防水シートの張替えなどが必要となりますので、カバー工法よりも費用は高くなり、100万円が相場となっています。

既存の屋根はそのままで塗装のみ行う場合

スレート屋根の塗膜が色褪せしてきたら、チョーキング現象が見られ始めたら塗装を行いましょう。塗装する塗料によって価格は変わってきますが、25万円ほどと費用が安く済むうえに、他の施工方法より工期が短く済むメリットがあります。

まとめ

スレート屋根材について説明してきましたがいかがでしたか?スレート屋根はデザイン性があるうえに耐震性も兼ねそろえていることから、国内での多く使用されている人気の屋根材です。

初期費用も安価なため費用を少しでも抑えたい人には適している反面、定期的なメンテナンスが必要となるデメリットも存在します。スレート屋根材はメリット、デメリットを正しく理解し、適切なメンテナンスを行うことで、十分に長持ちしてくれる優秀な屋根材の1つです。スレート屋根は定期的なメンテナンスを怠らないというポイントをしっかり抑えておくようにしましょう。

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