国内で使用されている屋根材のメリット、デメリットを徹底比較します!

住宅の屋根は日々の雨風や紫外線に1番晒される場所であるため、非常に劣化しやすく定期的なメンテナンスが必要となる場所です。しかし屋根材には種類がたくさんあるため、どの種類の屋根材が自宅の屋根に合うのかわからない人も多いものでしょう。そこで今回は、屋根材の比較やそれぞれのメリット、デメリット、リフォーム費用の目安まで詳しく解説していきます。

屋根材の種類について

屋根材の種類は、粘土瓦、セメント瓦、スレート瓦、金属系と大きく4つにわかれており、それぞれはさらにいくつかの種類に分類することができます。屋根のリフォームを検討中の方に、分かりやすいように各屋根材の特徴を紹介していきます。

粘土系

天然の粘土を原料にし、焼き固めたものを粘土瓦といいます。日本の家屋や建造物に古くから使用されてきた屋根材なだけに、日本の気候に適応しているので、現在でも人気の高い屋根材の1つとなっています。

粘土瓦という呼び方以外にも、日本瓦、和瓦、洋瓦、陶器瓦、いぶし瓦、など多くの呼び名が存在し、それぞれの種類で特徴が違います。

一般的に日本の屋根といえば、こちらの粘度瓦をイメージする人も多いでしょう。

セメント系

セメントと砂を原料としたセメント瓦は、コンクリート瓦とも呼ばれています。粘土瓦と同じような見た目をしていますが、セメント瓦の方が粘土瓦よりも形を揃えやすいため、施工しやすいと一昔前は人気がありました。

粘土瓦より耐久性が劣り定期的なメンテナンスも必要なため、最近では製造されなくなってきた屋根材です。

しかし近年、セメント瓦のデザインはそのままに軽量化され耐震性を向上させた軽量セメント瓦が登場し、需要が高まりつつあります。

スレート系

セメントを主成分とし、繊維質の材料を織り交ぜて薄く成形したものがスレート屋根材です。

カラーベストやコロニアルとも呼ばれています。厚さは5mm程度と非常に薄いため、他の屋根材よりも軽量となっています。

スレート系は価格が安定しているうえに、カラーバリエーションも豊富なため、昨今の新築住宅や屋根リフォームの際に1番使用されているタイプの屋根材です。

金属系

金属系の屋根材はガルバリウム鋼板、ジンカリウム鋼板、トタン、銅板、ステンレス、チタンなど大きく分けて6種類あります。

金属系の中でも1番メジャーなものが、ガルバリウム鋼板です。アルミニウム、シリコン、亜鉛からなるアルミ亜鉛合金めっき鋼板のことを指すガルバリウムは、粘土瓦よりもより軽量です。また金属屋根材の中では比較的安価となっています。

金属系6種類にそれぞれ違う特徴があるため、自宅屋根を金属系にしたい人は違いを知っておくようにしましょう。

各屋根材のメリット・デメリット

ここからは屋根材ごとのメリットとデメリットを、8種類にわけて詳しく紹介していきたいと思います。

化粧スレート

化粧スレート(人工スレート)の主原料はセメントと繊維素材のため、軽量で施工しやすいのが最大のメリットです。国内で多くの住宅に使用されている化粧スレートは、他の屋根材に比べて価格が安いので、新築住宅を建てる際も施工費用を抑えられます。

また、厚さ5mmほどと薄くて軽量な化粧スレートは、住宅にかかる負荷が少ないため、耐震性にも優れています。

デメリットは軽量であるために台風や暴風で飛ばされてしまったり、雨漏り等の劣化も起きやすいため、定期的なメンテナンスが必要となります。

天然スレート

天然スレートは、天然の鉱石である粘板岩を使用した屋根材です。天然鉱石を使用しているため、化粧スレートよりも高額になりますが、耐用年数が長く塗装のメンテナンスが不要であるため、トータルコストで考えればお得になる場合もあります。

また、天然鉱石ゆえの重厚感が感じられるので、高級感溢れる住宅を作ることができます。

しかし重量があるため耐震性の面で不安があるうえに、割れやすいこともデメリットといえます。

日本瓦

日本瓦は粘土を使用し焼き上げた屋根材で、仕上げの方法により釉薬瓦、いぶし瓦、無釉薬瓦などがあります。不燃材のため耐火性に優れているうえに、他の屋根材よりも厚みがあるため、遮音性や断熱性も高いのが魅力です。古くから日本で使用されている日本瓦は日本の気候にマッチしており、高温多湿の日本で安心して使用できる屋根材です。

デメリットとしては、厚みがあるため住宅に負荷がかかりやすく、地震の揺れで瓦がずれることがあります。また近年では、新しい屋根材が登場していることもあり、日本瓦を施工できる職人が減少傾向にあるのも不安要素の1つとなっています。

セメント瓦

セメントと砂を使用したセメント瓦は、同じ形に成形することができるため、商品のばらつきが少なく、日本瓦より安価で施工できます。不燃材料であることから、耐火性にも優れていますし、断熱性も高いことが魅力です。

デメリットとしては、セメントを主成分としているため水分を含みやすく、カビや藻が発生しやすく塗装メンテナンスは必須となります。

トタン

亜鉛で鉄をメッキ加工した鋼板であるトタンは、日本に古くからある屋根材の1つです。

施工が簡単なことで工期も短く済むため、価格が抑えられることが魅力です。カラーの種類も豊富ですので、自分好みの色合いを選ぶことができます。日本瓦と比較しても軽量なので、耐震性に関しても高い効果を発揮してくれます。

デメリットは、サビやすいため劣化が起きやすい面があります。日本瓦はメンテナンスが基本的には必要ないですが、トタンの場合は耐用年数も短く、定期的にメンテナンスが必要です。

ガルバリウム鋼板

従来のトタン屋根のデメリットであった、サビを起きにくくさせたのがガルバリウム鋼板です。日本瓦よりも非常に軽量であることから、耐震性の面でも安心できるとカバー工法のリフォームで選ぶ人も増えています。またカラーバリエーションが豊富なところも近年選ばれることが多くなった理由の1つです。

デメリットとしては、断熱性は劣るため夏場の断熱対策が必要になることと、防音性も弱いことです。断熱性と防音性の両方を向上させようとすると、費用が多くかかってしまう場合があります。

銅板

銅板の屋根は少し特殊な建築に使われており、銅の素材を屋根に張り付けて使用します。寺や仏像といった古くて大きな建築によく使われている素材です。耐用年数が長くて塗装が不要という大きなメリットがある反面、高価で取り扱う業者も少ないデメリットがあります。

アスファルトシングル

アスファルトシングルはガラスの素材にアスファルトをしみ込ませてから表面に石粒を付着させて使用します。軽量ながらも耐震性に優れて錆に強く、デザイン性も豊かな屋根材です。一方、デメリットとして風で石粒が飛び落ちやすく、カビやコケが発生しやすい面がみられます。

屋根のリフォーム費用について

住宅の屋根をリフォームする際の代表的な工事には「塗り替え塗装」「カバー工法」

「葺き替え」の3種類があります。ここからは、工事ごとの特徴や費用に関して詳しく見ていきたいと思います。

塗り替え塗装

「塗り替え塗装」の時期は屋根の種類により異なりますが、普及率の高いスレート屋根の場合で、10年目安で行う必要があります。選ぶ塗料により塗装費用は変わりますが、人気のシリコン塗料の場合では、耐久年数は5~7年で1缶当たり15,000~40,000円ほどとなっており、1番安いアクリル塗料の場合は耐久年数3年未満で1缶当たり5,000~10,000ほどとなっています。費用面だけで塗料を選ぶと初期費用は抑えられますが、塗り替える頻度は上がるため結果的に支払う価格が高くなる場合があります。

また、雨漏りなどの劣化が酷く大きな補修が必要な場合は、塗り替え塗装が出来ない場合があります。

カバー工法(重ね葺き)

「カバー工法」とは、既存の屋根はそのままで、上から新しい屋根材を二重に設置する工事です。既存の屋根材を撤去せずに施工できるため、アスベスト建材を使用した屋根材の住宅にも適した工事となっています。

葺き替えよりも施工期間が短く済み費用も抑えられますが、屋根材が二重になることで住宅への負荷がかかりやすいデメリットもあります。

費用は、新しく使用する屋根材が瓦屋根の場合70~250万円、スレート屋根の場合70~200万円、ガルバリウム鋼板の場合80~210万円が一般的となっています。

葺き替え

「葺き替え」は既存の屋根材をすべて撤去して、新しい屋根材に張り替える工事です。

野地板や防水シートも取り換えることが一般的ですので、屋根の機能が新しくなり、住宅の寿命を延ばすことができます。住宅の外観も一新することができますし、既存の屋根材よりも軽量の屋根材を選ぶことで住宅への負荷も軽減することが期待できます。

しかし既存の屋根材を全撤去することで、廃材の処分費用がかかるため費用が高くなり、施工期間も長くなります。

葺き替え工事にかかる費用は、70~300万円ほどと他のリフォーム工事より高額となっています。

屋根材は慎重に選んで自身でDIYはやらない

屋根材は「安ければおすすめ」「高いから良い」というものではありません。日の当たり具合や風の強さなどといった自宅の立地条件でも変わります。また、ご自身がどこに重点を置くのかでも屋根材は異なり、コストパフォーマンスやデザイン性、メンテンナンス回数を考慮した耐用年数など、屋根材は慎重に選ぶようにしましょう。

また、コストを抑えるために屋根のリフォームやメンテナンスを自身でDIYを行うのは危険です。屋根に脚立だけで登ろうとする人もいるでしょうが、基本的に足場を組んで作業しなければなりません。

ご自身で屋根塗装をしたい場合も危険です。間違った塗装方法でクラックを見逃すことがあると、雨水を侵入させてしまい、かえって雨漏れがひどくなるケースがあります。

まとめ

近年では屋根材の種類が増え、それぞれに違った特徴を持っています。それぞれの屋根材のメリット、デメリットをしっかりと把握したうえで、初期費用やデザイン性、耐用年数、重視したい機能などを十分に考慮し選ぶことが大切です。

住宅の屋根リフォームをする際に、屋根材選びで迷う場合には、少しでもこの記事を参考にしていただけたら幸いです。

SNSでもご購読できます。