コスパに優れた平葺の特徴とは? メリットやデメリットを知ってリフォームで活用しよう!

屋根材には耐震性や耐久性で利点がある平葺きがあります。リフォームでも安価で短工期を実現する立平葺きは、建材にガルバリウム鋼板を使用するのが主流といえます。立平葺きには多くのメリットがあり、デメリットを上回る使いやすさがあるものです。

そこで、コスパに優れた平葺きの特徴やメリット、デメリットなどをここで解説していきます。

平葺とはどんなもの?

立平葺きは金属屋根の1種で、縦方向に屋根材を葺く縦葺きと、横方向に屋根材を葺く横葺きがあり、耐震性や耐久性が非常に優れているのが特徴です。

立平葺きは1枚で出来た屋根材を葺いていく工法のため、他の屋根材よりも継ぎ目がないため、雨などが侵入しにくい構造となっています。立平葺きに使用される素材は、ガルバリウム鋼板が主流となっています。

ガルバリウム鋼板は金属製の屋根材の中でも特に軽量で、瓦やスレートといったほかの種類の屋根材よりも住宅に負荷をかけにくいため、耐震性の高い屋根を作ることができます。地震の際には揺れによって住宅が倒壊しやすくなりますが、立平葺きのガルバリウム鋼板はこの影響を受けにくいのが魅力的でしょう。

瓦棒葺き(かわらぼうぶき)との違い

立平葺きの特徴について解説しましたが、立平葺きとよく似たものに瓦棒葺き(かわらぼうぶき)というものがあります。名前だけ見ると瓦屋根の1種と勘違いしてしまいそうですが、立平葺きと同じ金属屋根の仲間です。

ただ、同じ種類といっても構造が全く違うため、ここからは立平葺きと瓦棒葺きの違いについて説明していきます。

瓦棒とは金属屋根同士を下地に固定していくために、一定間隔で敷かれた角材のことを指します。瓦棒屋根は昔から広く使われており、トタン屋根とも呼ばれています。瓦棒葺きはとても軽量な屋根ですので、耐震性に優れているうえにコストがかからないというメリットがあります。

しかし、瓦棒は木材ですので侵入してきた雨水によって腐食してしまったり、瓦棒を固定している釘が劣化してしまうとその都度メンテナンスが必要になるため、継ぎ目のできない立平葺きが最近では主流となっています。

立平葺きの種類

立平葺きの特徴でも伝えしましたが、立平葺きには縦方向に金属製の屋根材を葺く『縦葺き』と、金属製の屋根材を横方向に葺く『横葺き』があります。

また立平葺きは勘合式立平、縦ハゼ葺きとも呼ばれており、使用される金属は軽量で耐久性があるうえに、錆びにくいとされるガルバリウム鋼板が主流となっています。

立平葺きの場合、金属同士を結合させるにはハゼ式と嵌合式(かんごうしき)の方法があります。

昔からの方法であるハゼ式は結合させたい金属を組み合わせ、折り曲げながら結合していきます。一方の嵌合式は、屋根材に凹凸部をあらかじめ作っておき、凸部に凹部を上からはめ込んでいく方法となります。金属同士を折り込んでいくハゼ式よりも、はめ込んでいくだけの嵌合式のほうが、職人の手間も省け施工の期間も削減できるため、昨今ではハゼ式よりも嵌合式の需要が高まっています。

 

立平葺きのメリット

ここまで立平葺きの特徴や種類について説明してきました。ここからは実際に施工するにあたり、縦平葺きにどのようなメリットがあるのかについて、6つに分けて詳しく解説していきます。

 

低コストの実現性

立平葺きは瓦やスレートなどの屋根材に比べると比較的屋根材の素材が安く、安価で工事ができます。また立平葺きはガルバリウム鋼板など長尺の金属素材を一気に張っていくため、瓦やスレートよりも短い工期で施工を完了することが可能なため、工事にかかる諸経費等も安くなり、低コストが実現できます。

コストを抑えてリフォームを検討している人にはおすすめです。

短い工期で施工可能

瓦やスレートのような屋根材は職人が一枚一枚を固定して、貼り付けていく必要があります。そこで、立平葺きに使用されるガルバリウム鋼板のような屋根材は、長尺物が多いため現場での作業量が少なく済み、少人数の職人で工事を行えるメリットがあります。

また、ガルバリウム鋼板は現場で加工を行う必要がありませんので、施工性が良く工期を短くすることが可能です。

かまぼこ屋根にも適用

かまぼこ屋根は体育館などの広い建物に採用されていることが多く、立平葺きで施工されています。半円形のかまぼこ屋根に使用されるガルバリウム鋼板は、工場で円形に加工され、現場でルーフィングの上に貼って仕上げていきます。

半円形であるかまぼこ屋根のような場合、頂点部は勾配がない状態になるため雨漏りにつながる恐れがありますが、縦型の立平葺きを採用することで雨水の侵入を防ぎ、雨漏りリスクの軽減が期待できます。

思いのほか軽いので住宅の負担も減り、高い耐震性

一般的な瓦屋根と比べて、ガルバリウム鋼板といった金属屋根は薄く軽量であることが多いものです。屋根材が軽量であると住宅への負担が少なくなり、耐震性が高まります

瓦のような重量がある屋根材の場合、地震が発生したことで建物の倒壊リスクが高まるのですが、金属系の屋根にしておくことで重量を減らすことができ、リスク回避ができ安心です。

防水性に優れて雨漏りに強い

立平葺きは勘合式で貼り合わせているため、つなぎ目がない構造となっています。そのため隙間から雨水が入りこむリスクが低くなり、雨漏りも起きにくいとされています。排水性が高いのも大きな特徴といえるでしょう。

カバー工法でさらにコスト減

立平葺きは金属系の屋根材の中でもガルバリウム鋼板を採用することが多いため、住宅への負担が軽減できるので、カバー工法も可能です。カバー工法とは、現状設置してある屋根の上から新しい屋根材を張る工法のため、既存の屋根材の撤去が不要となり工期も短く費用を抑えられるメリットにも繋がります。

カバー工法にはリフォームに最適です。

優れたメンテナンス性

立平葺きは垂木と呼ばれる木材を使用しないため、雨水等による腐食が起こりにくく、メンテナンスの頻度が少なく済むこともメリットの1つです。

またガルバリウム鋼板は錆びの広がりを防ぐ効果を持っているため、金属屋根特有の弱点である錆びに対して強く、定期的なメンテナンスにより20年以上の耐用年数が期待できます。

立平葺きのデメリット

ここまで立平葺きのメリットについて紹介してきましたが、デメリットも同じように存在します。リフォームなどではしっかりとデメリットも踏まえた上で検討することが大切です。ここからは立平葺きのデメリットについて詳しく紹介していきます。

雨音がどうしても響いてうるさく感じてしまう

立平葺きは瓦やスレートといったほかの屋根材に比べて、雨音や風音を大きく感じやすいものです。その理由ですが、立平葺きに使用されるガルバリウム鋼板の薄さに関係しているからといえます。ガルバリウム鋼板の薄さは重量軽減等のメリットの1つでもありますが、薄いがゆえに雨音などが非常に響きやすくなってしまうのです。

どうしても雨音が気になるような場合には、ガルバリウム鋼板を使用する際に遮音性の高い塗料を塗装することで、雨音を緩和することも検討するようにしましょう。

断熱性が低く室温の調整が難しい

立平葺きに使用されるガルバリウム鋼板のような金属屋根に共通する弱点の1つに、太陽光の光を多く吸収してしまうということがあります。太陽光の光をたくさん吸収することで住宅全体の断熱性が劣るため、室温を上手く調節できなくなってしまう恐れが出てきてしまいます。解決法としては、遮熱性の高い塗料やシートを利用して遮熱性を高めることで、熱の発生を抑制することが可能です。

複雑な形状の屋根にはコスト増大も

メリットでも紹介しましたが、かまぼこ屋根などの半円形の屋根にも採用できる立平葺きですが、あまりに複雑な形状の屋根には向いていない場合もあります。

屋根にこだわりがある場合など、ご自身のイメージ通りに仕上げたい場合は、現場での加工が必要になってきます。その場合、費用が通常よりもかかってしまいますので、追加工事費用の上乗せで、コスト増大も視野に入れるようにしておくとよいでしょう。

基本的に使用するのはシンプルな屋根がベストであること考えておいたほうが無難です。

ある程度の作業スペースが必要

立平葺きで使用されることの多いガルバリウム鋼板は、工場で加工されて現場に運ばれるのです。ガルバリウム鋼板は長い一枚の金属屋根材であるために、現場での作業スペースが他の屋根材よりも必要になってきます。

施工する住宅が密集地帯の場合ですと、作業スペースが確保できず施工が困難になってしまう場合もあり得ます。そのため、作業スペースが確保できない場合は、事前に屋根材を保管して置ける敷地外の場所があるかどうかを調べておくようにしましょう。

立平葺きのリフォームで注意すること

立平葺きは体育館や工場などの大きな建物で採用されることが多かったものですが、ガルバリウム鋼板などの金属系屋根の有効性が知れ渡るとともに、一般住宅でも立平葺きによるリフォームが取り入れられています。

しかし一般住宅に立平葺きの工事を採用するには、いくつかの注意するポイントがあります。ここからは立平葺きで注意すべきことを紹介していきます。

住宅リフォームの歴史は浅い

先ほども述べましたが、立平葺きは昔から大型建造物の屋根施工に広く採用されてきました。しかし金属系屋根の普及により一般住宅にも採用されるようになってきたものの、立平葺き工事を行える専門業者は少ないのが現状です。

立平葺きのリフォーム工事には事前準備が非常に大切で、施工予定の住宅を入念に下調べする必要があります。ガルバリウム鋼板などの金属系屋根材は長い一枚板のようになっているため、採寸や必要な量、屋根材の保管場所の確保などどれか一つでも間違えてしまうと、施工が行えなくなってしまうのです。

このように立平葺きを取り扱うには、経験豊富な専門業者に入念な下調べをしてもらう必要があります。

相見積もりを取って業者を選定

無料診断などを行っている専門業者もありますので、一社だけで決めるのではなく数社に相見積もりを取るようにしましょう。リフォームを検討している場合は特に見積もりを複数社にとってもらうことが大切です。見積もりが極端に高額になる会社も問題ですが、あまりに低い金額の場合も怪しいものです。後戻りできない状態に持っていき、追加費用が発生する旨を告げられる悪徳業者に引っ掛からないように注意しましょう。

まとめ

今回は立平葺きについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。立平葺きは歴史のある屋根施工の1つで大型建造物に広く使用されてきましたが、最近では一般住宅にも用いられるようになった屋根施工の1つです。

軽量で耐震性が高いうえに、他の屋根材に比べ施工費用安価な立平葺きは、金属系屋根の中でも  需要が高まっています。

 

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