採光性とコスパに優れたガラス瓦! 天窓との違いや特徴、メリット、デメリットなどを解説

注文住宅やリフォームを検討するときに、自然の光を取り入れたいと考えている人も少なくありません。太陽光というのは思いのほか明るいもので、屋根に天窓やガラス瓦を使用している住宅は照明を点けるよりも気持ちのいい光を堪能することができます。

天窓とガラス瓦はそれぞれ特徴があって、お互いにメリットが存在しています。どちらがいいかというのは好みや住宅のタイプによって変わるものでしょう。ただ、ガラス瓦のほうがリフォームには向いているといえます。

そこで、ガラス瓦の特徴やメリットとデメリット、そして天窓との違いを解説していきます。

ガラス瓦とはどんなものなの?

ガラス瓦といっても、どのようなものなのかイメージしづらいものです。ガラス瓦は言葉通りのもので、瓦がガラスで作られています。ガラスだとすぐに割れそうと不安に駆られることもあるでしょうが、実際に耐久性は粘土瓦よりも優れています。

窓ガラスなどのイメージがあるでしょうが、もともとガラスには耐熱性があり、頑丈なものです。雨漏りのリスクもなく、防水性もあるので天候に左右されずに使用することができます。

瓦屋根があるタイプの住宅には新築やリフォームに関わらず、簡単な工事で設置可能です。下地ユニットを取り付けて施工するだけですので、工事費用を抑えられる特長があります。ガラス瓦は透過率が高く、天窓と同じように太陽光を室内に取り入れられるでしょう。

ガラス瓦のメリット

ガラス素材を使用しているガラス瓦ですが、使用する上でのメリットを6つ紹介していきます。

採光性能が高い

ガラス瓦は高い透過率を誇り、彩光性能に優れています。自然の光を取り込めますので、最初は室内の明るさに驚く人が多く見られがちです。住宅以外の屋内にいるときでも、窓から差し込む陽の光に、ポカポカと暖かさを感じて気持ち良さを感じた人も多いといえるでしょう。

ガラス瓦にすることで、この光をふんだんに取り込めますし、自然な明るさの中で生活できるのは余計なストレスを生みません。

オリジナルのレイアウトが可能

ガラス瓦では光のレイアウトを思い通りに決められます。ガラス瓦はそれほど高価なものではありませんので、複数枚設置しても天窓よりもはるかにコストを抑えられます。ガラス瓦をオリジナルの形に並べることで、独特の彩光レイアウトを演出してくれるでしょう。

たとえばL字形やコの字形、縦や横に並べることも可能ですし、斜めでも問題ありません。ブロック崩しのゲームのようなデザインも可能です。

また、天井に和紙模様の素材を設置することで和らいだ光を取り込めますし、和室にもぴったりの空間を演出できます。さらに、ステンドグラスを設置すれば海外の美術館のようなアートな雰囲気を醸し出せるでしょう。

ガラス瓦を使用することで、自由気ままにレイアウトを決められるのはオシャレな空間を演出する上でも大きなメリットといえます。

天窓と違って部屋の中が見えない

天窓を使用する場合、外の天候もハッキリと視認できますが、その分だけ外から見られることも懸念されます。たとえば周囲に高いマンションやビルがある場合、ベランダや窓からこちらの天窓の中を視認することも可能です。

もちろん、相手側に見る気持ちがなかったとしても、お互いにいい気はしません。特に見られても気にしない人もいるでしょうが、子どもや女性にとってプライバシーの領域に入ってこられるのは余分なストレスを生んでしまいます。

その点、ガラス瓦は外から部屋の中が見えません。これはガラスの裏側に凹凸があって光が屈折しているためであり、陽の光を取り入れながら部屋の中でも安心して生活できます。

天窓よりも工事が容易でコストを抑えられる

リフォームでの天窓は大規模工事になりがちです。取り付けにかかる工事は費用も高くなってしまいます。ところが、ガラス瓦は専用の下地ユニットを設置し、そこにガラス瓦を取り付けるだけで完了です。

天窓など大掛かりな工事の場合、どうしても天候に左右されがちといえます。雨天時には工期が遅れる心配もありますが、ガラス瓦は面積によってはわずか1日で工事が完了します。事前に天候を確認して工事に着手できますので、天窓に比べて大幅に工期短縮できますから、工事費用も抑えられるメリットが生じます。

天窓より雨漏りが少ない

屋根に穴をあけて工事するのが天窓ですので、雨漏りはまさに天敵といえます。どうしてもつなぎ目となる部分には雨水が差し込みますので、そこから伝い漏れが生じてしまいがちです。

それに対して瓦ガラスは屋根に取り付けるだけの工事になりますから、雨漏りの心配はありません。特に下地ユニットとガラス瓦が二段で防水機能を働いているので、屋根の劣化は別として、天窓よりも雨漏りが断然少なくなるでしょう。

結露の心配がなく、雨音も気にならない

窓ガラスには結露による住宅の劣化が懸念されるものです。ガラス瓦は外気に放置されて裏表の温湿度が同一になりますから結露を抑えられます。ガラス瓦は高い位置にあるので結露による掃除をする必要がありませんし、カビなどの心配もありません。

また、天窓は雨音が気になる人もいますが、ガラス瓦は天窓よりも厚みがあるので雨音が気にならないものといえます。

ガラス瓦のデメリット

ガラス瓦は使用してメリットばかりが目立つわけではありません。次にガラス瓦を使用する上で発生するデメリットとその対策を紹介していきます。

ガラスなので汚れが目立つ

ガラス瓦は外に設置されているので鳥のフンや飛ばされてきたゴミなどが室内から見えて気になる人もいるでしょう。透明度があるので一度気になると何度も見返してしまいます。

また、ゴミは雨や風に流されることもあるでしょうが、鳥のフンは着いてしまうとなかなか落ちません。さらに別の汚れが付着していきますので、定期的な清掃が必要となるでしょう。

夏場は暑くなり、冷房の効率が下がる

ガラス瓦は陽の光を取り込むので、夏場はどうしても日差しがあるので暑くなってしまいます。ガラス瓦の彩光面積や日差しの方角によって室内温度が変わってきます。冷房を付けてもいつもより体感的に冷えが悪いと感じてしまいます。

冷房代がかかるだけでなく、室内が暑くなって熱中症になる恐れがありますので注意が必要です。

対策としてブラインドやカーテンなど遮光できるタイプで遮熱し、室内温度を抑えるように気を付けましょう。

ガラス瓦がおすすめなタイプの人

ガラス瓦がおすすめなタイプの人を下記にまとめてみました。当てはまるなら天窓よりもガラス瓦がおすすめです。

大規模工事はしたくないが天窓がほしい

天窓には大掛かりな工事が必要です。コストを抑えて天窓を設置したい人はガラス瓦がおすすめです。

デザイン性に富んだ室内の明るさがほしい

ガラス瓦は室内も届く自然な光を自由にレイアウトできます。ただ明るいだけでなく、デザイン性を演出したい人にはガラス瓦が向いています。すべての部屋に設置しなくても、室内が暗い北側の部屋に取り付けるだけでも明るさが変わります。

天窓との大きな違い

ガラス瓦と天窓の大きな違いはどこにあるのかみていきましょう。

大規模工事

天窓は屋根に穴をあけなければなりませんし、工事が大がかりとなります。それに比べてガラス瓦は、下地ユニットを設置しておくだけで後はガラス瓦を取り付けて完了です。工期と工費で大きな違いが生まれます。

高いビルやマンションから室内が見える

天窓はガラス窓になるので、室内が丸見えになってしまいます。室内から視認性がいいのは開放的でメリットになりますが、外から見られるのはデメリットに感じるでしょう。特に高いビルやマンションが近隣にある住宅は注意が必要です。

レイアウトが固定で突出部が外観を損ね兼ねない

天窓は屋根の部分でそこだけ突出しています。外観を損ねる心配も出てきます。そのポイントがオシャレでいいという人もいれば、外から見ると目立ってしまうのが嫌だという人もいるでしょう。

ガラス瓦は既存の瓦と交換するだけなので、ほとんど外観を損ねません。むしろ、外から見てもオシャレに見える場合があります。

ガラス瓦の工費

ガラス瓦の工費をみていきましょう。ガラス瓦の費用は1枚当たり3,000~6,000となっており、同時に使用する下地ユニットと組み合わせた工事費になると、8枚程度で6~9万円程度といえます。

基本的に既存の瓦の多くをガラス瓦に変更することはありません。天窓のような高い工費を支払う恐れはないでしょう。また、リフォームの工賃が別途必要です。

野地板をカット

野地板は骨格となる部分に張る薄い板で、屋根の下地となる重要な部分です。屋根材を支えるだけでなく、ルーフィングといわれる防水シートにも関わります。野地板には3種類があります。

野地板には「バラ版」と呼ばれる杉板の野地板があり、従来の木造家屋では主流となっていました。乾燥しやすい上に防水機能に優れています。

また、「ベニヤ版」と呼ばれる野地合板では薄い板を重複して圧縮し、強度と防水性を高めています。現在では主流の野地板といえるでしょう。

さらに、耐火野地合板という耐火性に優れた野地板もあります。防火地域では使用が必須です。

野地板の種類によって別途工費が増すことがあるのでリフォーム業者に相談するようにしましょう。それに、止水処理では屋根の状態によってガラス瓦の工賃が変わってきます。

ガラス瓦の形状

ガラス瓦の形状には屋根に合わせた複数のタイプがあります。「和型」というタイプが3種類あり、関東地方や中部地方で使用される「53A型」、中国地方で使われる「53B型」、近畿地方で使用される「和56.60型」です。

さらに、たいらな形状をしている「平板HY型」、洋風粘土瓦の「洋S型」も使用されています。

ガラス瓦の形状は、規格やサイズで異なりますので、工務店やリフォーム業者に問い合わせるようにしましょう。

まとめ

ガラス瓦は彩光性能が高く、自然の光を室内に取り込める透過度のある瓦です。天窓と違って工事費を抑えられ、レイアウトも自由で外から室内を視認できないなど、多くのメリットを誇るのが特徴です。ガラス瓦には夏場に室内温度が高くなるデメリットもありますが、ブラインドやロールカーテンを設置するなどで対策が十分可能となっています。

住宅のリフォームで天窓を設置したい人にとって、コスト面でお悩みならガラス瓦を検討してみるのもおすすめです。

 

 

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