スレート屋根は多くの住宅で使用されている屋根材です。劣化しやすい屋根や外壁というのは住宅のリフォームでもしばしば取り上げられますし、心配になるものです。そこで、スレート屋根やスレートの種類、メンテナンスの施工方法など、気になる点を解説していきます。
スレート屋根とは
スレート屋根とは粘板岩(ねんばんがん)を使用した屋根材を指しています。スレート瓦や普及している商品名のカラーベストと呼ばれることもあります。広く屋根材として広まっているので、多くの人が見かけたことがあるでしょう。スレートは薄板形状で軽く、耐震性にも優れているので、屋根材として幅広く利用されています。
スレート屋根の特徴
スレート屋根は雨漏りに強いのが特徴です。これは2枚重ねという構造のおかげでもありますが、上側のスレートを伝ってくる雨水が下側のスレートに滑っていき、そのまま排出されていきます。
ただし、縁切りができていないと塗料の膜が雨水の逃げ道を塞いでしまい、排出されずに溜まってしまいますので、釘を伝って屋根裏に雨漏りを発生されてしまうのです。
スレート瓦が欠けたからといって安易にシーリング材を使って隙間を埋めてしまうと、雨漏りがひどくなってしまう恐れがあります。
スレートの隙間というのは雨水が入ってしまうものですが、逆に入り込んでも逃がす機能が備わっているのが特徴なのです。
スレートの種類
スレートの種類は主に「天然スレート」と「化粧スレート」の2種類から成り立っています。それぞれの違いを説明していきます。
天然スレート
天然スレートは天然石の粘板岩を薄く加工し、天然由来の自然な仕上がりで高級感を演出します。天然の素材を使って高級品のため、一般の住宅に使われることはほとんどありません。東京駅や海外の寺院や城といった付加価値が高いものに使われ、値段が高いのが特徴です。
化粧スレート
化粧スレートは広く一般的に使用されている屋根材となります。コスト面でも天然スレートよりも十分抑えられますし、品質も申し分ありません。カラーベストやコロニアルと呼ばれることも多くあります。これはケイミュー社のカラーベストが人気で、その商品名でもあるコロニアルを指しています。
スレートの施工方法の流れと施工例
リフォームではスレートの施工方法の流れや施工例が気になる人も多いでしょう。まずは一番多い塗装のメンテナンス方法を紹介していきます。
塗装でメンテナンス
スレート屋根は劣化すると大規模な工事が必要になることがあります。そこまで深刻とならないように手軽なメンテナンスが塗装による施工方法です。屋根は紫外線や風雨の被害を受けやすく、油膜が剥がれたまま放置すると屋根材が劣化してしまうことにつながります。塗装が剥がれて屋根が劣化すると、美観を保つこともできません。
定期的な塗装工事をすることで劣化を防げますし、住宅の美観を保てるでしょう。
塗装の流れと施工例
次にスレート屋根で塗装の流れをみていきます。
足場→ネットの設置→高圧洗浄→タスペーサー→下塗り→上塗り
・足場を組む
まず屋根の塗装には足場を組む必要があります。素人がDIYで屋根に上って塗装するのは危険です。
・養生ネットを張る
養生ネットは塗装の飛散や洗浄時の泥などが、隣家に飛ばないようにしないといけません。思わぬトラブルにつながる恐れがあるでしょう。
・高圧洗浄で汚れ除去
高圧洗浄は砂埃などの汚れやコケを落とすだけでなく、塗料が屋根材にしっかり密着しやすい効果があります。
・タスペーサーの設置
タスペーサーを使用せずに塗料後の縁切りをすることもありますが、作業の手間を考えるとタスペーサーを使用するほうが断然早くなります。
・塗装
次に下塗りです。これは2回行うことで上塗りの効果を上げられます。下塗りを2回行うと密着性も上がるので艶にも違いがでます。上塗りも2回行うようにして完成です。
塗装に必要なタスペーサーや縁切り
スレート屋根は2枚が重ねるようになっており、塗装するときに隙間をあけておきます。スレートの隙間があると雨水が侵入しそうなイメージがあるものです。実際には逆で、隙間が塗料で埋まってしまうとそこに雨水が逃げ道をなくして溜まってしまい、釘を伝って雨漏りの要因となってしまいます。
また、塗料で隙間を埋めてしまうと、屋根の湿気がこもってしまうので内部結露が生じてしまい、こちらも雨漏りに要因となりがちです。
そこで、スレートの隙間を空けるのがタスペーサーや縁切りとなります。従来は縁切りで職人さんが手作業で隙間を空けていましたが、現在はタスペーサーを設置して人工的に隙間を作ります。これにより人の手作業によるバラつきがなくなり、均一に隙間を空けられるようになりました。
塗装のメリット
スレート屋根の施工で塗装工事をするメリットは、屋根材の劣化を防ぎ、住宅の美観と雨漏りの予防を維持できます。塗装が剥がれたまま放置してしまうと、先述したように大掛かりな工事が必要となってしまいます。葺き替え工事になるとリフォーム費用もかさみ、工期も長くなってしまいます。
定期的な塗装工事を入れることで、このような事態を未然に防げますし、スレート屋根を長持ちさせられますので、さまざまな面で効果を期待できるでしょう。
塗装のデメリット
基本的に塗装によるデメリットはほとんどありませんが、定期的なメンテナンスが必要と言うことは、それなりに費用もかかってしまいます。さらに、他のメンテナンスよりも耐用年数が短いのがデメリットに感じる場合もあります。
また、塗料は種類が多すぎて何を使用していいのか分からないという人もいるでしょう。業者に任せっぱなしだと不安と感じるものです。築年数や屋根材の種類、土地や周囲の環境によって塗料を選択しないといけません。タスペーサーを使用しないなど、信頼できる業者を探さないと、思った以上に出費がかさむケースがあります。
実際に築年数が長くて損傷が激しい場合は、塗装では対応できないこともあります。
損傷が激しいときはカバー工法と葺き替え工事
スレート屋根の損傷が激しい場合、カバー工法と葺き替え工事によるメンテナンスが必要です。
・「カバー工法」
カバー工法は現状付いてあるスレート屋根に、上から重ねるので「重ね葺き」や「重ね張り」などともいわれます。屋根材がそのまま2重になるので防音性も上がり、間に断熱材を敷けば断熱性の効果もさらに上がります。「カバールーフ工法」と呼ばれることもあり、上に重ねる材料にはカルバリウム鋼板が使用されます。
既存の屋根材を残したまま工事するので、屋根を撤去しないで済みます。また、工期も短くて済みますし、費用を抑えられるので屋根を撤去しないで済むならカバー工法で工事するのがおすすめです。
・「葺き替え工事」
スレート屋根の損傷が激しい場合は、葺き替え工事も視野にいれます。こちらはカバー工法とは違い、既存の屋根材を撤去します。大規模な工事となり、廃材も増えますので費用がかさみます。
あまりに損傷が激しい場合、野地板まで葺き替える工事となりますので、費用も増えるだけでなく、一時的に退出しないとならないケースがあります。
葺き替え工事は大掛かりな工事となりますので、費用面でも厳しいというご家庭では、まずは塗装メンテナンスをしっかりと行うようにしましょう。
まずは点検から始める
スレート屋根の葺き替え工事になると高額の費用が心配という人もいるでしょう。まずは点検してもらうことから始めたほうが無難です。どのような住宅でも5年目くらいからは点検したほうがいいので、専門業者に依頼するようにしましょう。
10年目から点検するのもいいのですが、住まいの環境によってはすでに劣化が進んでいる可能性があります。早めのメンテナンスでしっかりと予防したほうがいいので、年1回ずつ点検してもらうようにし、塗装工事をしたほうが費用も安く済みます。
5年程度でコケや割れが発生している可能性もありますので、まずは点検から始めましょう。
そのためにも信頼できる業者を探さなくてはなりません。相見積もりを出してもらって判断するのもいいですし、評判や口コミなども考慮して信頼できる業者を選定しましょう。
まとめ
スレート屋根は平板が主流となっており、さまざまなカラーもある人気の屋根材です。2枚のスレートが雨水の逃げ道を作り、雨漏りに強くて軽量のため耐震効果が見られるのも特長です。
リフォームにおけるスレート屋根の施工は塗装工事が主流であり、早めのメンテナンスで大規模な工事を防ぐことが可能です。どうしてもスレートの損傷が激しい場合はカバー工法や葺き替え工事を検討するようにしましょう。
まずは信頼できる業者を選定して点検を依頼し、メンテナンス費用を抑えるのが得策です。