屋根のリフォームで人気の立平葺の特徴やメリットを解説! 

住宅の購入やリフォームを考えている人にとって、屋根の立平葺きという言葉を聞いたことがあるものでしょう。立平葺はコスパに優れた屋根材で使用されているものです。ただ、住宅の購入やリフォームというのはそう何度もある経験するものでもありません。

いくらコスパに優れているとはいえ、知識がないと何かと不安になる人ものです。そこで、立平葺きの特徴やメリット、デメリットを解説していきます。

立平葺きの特徴

立平葺きとは金属屋根の中でも、縦に1枚の板を葺いている屋根を指します。金属なので重たいイメージを持つ人もいますが、瓦やスレートなどの他の屋根材に比べて軽量なのが特徴といえるでしょう。

立平葺きは金属の中でもガルバリウム鋼板が多用されており、屋根材の中ではかなり軽い方に入ります。工期も早くて作業性に優れており、立平葺きではガルバリウム鋼板を用いているのが主流です。

立平葺きは軽量なので住宅全体の負荷を軽減し、地震での倒壊するリスクを抑えられます。立平葺きはガルバリウム鋼板を縦に葺いているので水はけもよく、雨水を排水しやすい特徴も見られます。

ガルバリウム鋼板とは

立平葺きに使用されるガルバリウム鋼板とは、「55%アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板」のことで、アルミニウムと亜鉛、シリコンを含む鋼板です。厚みが薄くて、軽量なのが特徴といえます。

また、カラーバリエーションも選べるので、高級感のある黒やダークグレー、洋風なオレンジやレッド、ちょっと近未来的な要素もみえるシルバーなど、お好みで変えられます。

さらに、ガルバリウム鋼板は軽量なので耐震性に優れており、柔らかくて加工しやすい屋根材といえるでしょう。

ガルバリウム鋼板は縦葺きだけでなく、横葺きや折版葺きにも使用できます。瓦にこだわりたい人には瓦調葺きがあり、本物の瓦よりも軽量でデザイン性に優れた屋根を演出します。

立平葺きと瓦棒の違い

従来のリフォームではトタン屋根で使用される瓦棒葺きというやり方が主流でした。立平葺きとよく似た外観なので素人目にはほとんど違いが分からないものです。立平葺きと瓦棒葺きの違いをみていきましょう。

垂木に心木を打ち込んで固定

従来のトタン屋根には垂木に心木を打ち込んでおり、これで屋根を固定しています。立平葺きも同じように凸部がありますが、こちらは木材ではなくて金属を折り曲げています。

瓦棒葺きと立平葺きの大きな違いは屋根に木材を使用しているかいないかです。凸部に心木を打ち込んでいると強い接合部というイメージを抱きますが、金属屋根のガルバリウム鋼板では加工しやすくて折り曲げられますので、こちらも接合部は強くなります。

雨水が侵入しやすい

瓦棒葺きで使用する心木は釘を打って固定しますが、キャップの側面にも釘打ちが必要なため、どうしても雨水が侵入するリスクがありました。

しかも心木の腐食が進むと屋根材も損傷してしまい、台風などの突風が吹くと屋根がめくれてしまい、甚大な被害となるケースもあるものです。

瓦棒葺きはメンテナンスも塗装である程度維持可能であり、コストパフォーマンスにも優れています。ただ、防水効果という面では立平葺きの方が優れています。塗装だけではメンテンナンスできない場合、張り替えなどの処置も検討しないといけません。

そこで屋根の修繕が必要となった場合、瓦棒から立平葺きにリフォームすることも多くみられます。

折版屋根との違い

縦葺きの屋根には折版屋根があります。金属の屋根を折り曲げた加工をしており、工場や倉庫、自転車置き場の屋根などで見かけることもあるでしょう。

大型の屋根材で傾き方向にはつなぎ目もなく、重量もあって分厚いのが特徴です。一般の住居では軽量で薄めの金属屋根材が使用されますが、折版屋根は大型建築物に使用されます。

折版屋根は工事が短期間で終わり、つなぎ目がないので雨漏りも起こりづらく、比較的工費も抑えられます。

 

立平葺きの種類

立平葺きは縦に屋根を葺いていくので、排水的な機能は瓦棒葺きよりも防水効果が高いのが特徴です。立平葺きにはハゼ葺きと嵌合式の2種類があるので、それぞれの違いをみていきましょう。

ハゼ葺き

板金を折り曲げてつないだ部分をハゼといいますが、板金を加工するので釘が不要です。屋根材の接合部からの雨漏りリスクが減少します。手ガチャという専用の工具を使ってハゼ部を折りたたんでいく作業になります。

手作業になるので施工に時間がかかるデメリットがあります。

嵌合式

ハゼ葺きは折り込んでいく作業が必要となるものの、嵌合式はひし形同士の板金の横端を重ねてはめ込んでいきます。屋根上で手作業となる工具も不要ですので、ハゼ葺きよりも工期が短縮できるメリットがあります。

立平葺きのメリット

立平葺きのメリットは下記になります。

・高い防水性

・メンテナンス性に優れている

・耐用年数の長さ

・短工期でコスパ抜群

・かまぼこ屋根にも使用可能

・軽量で耐震効果が高い

それぞれのメリットをみていきましょう。

高い防水性

立平葺きは一枚の屋根材を縦に葺いているので、雨水がそのまま流れ落ちて滞留しないメリットがあります。また、心木を使用していないことから腐食などのリスクも減り、同じ縦葺きの瓦棒葺きよりも防水効果が高くなります。

防水性に優れている屋根材は、屋根内部の湿気も抑えますし、雨漏りはおろか住宅の腐食や劣化を防ぐ効果があるでしょう。

メンテナンス性に優れている

瓦棒葺きだと心木を使用しているのでどうしても凸部に雨水が侵入してしまい、腐食などのリスクがあるので頻繁にメンテナンスや点検することもあるものです。

立平葺きになると屋根材は金属だけで使用されていますので、腐食の心配もありません。さらにガルバリウム鋼板は錆にくいのでメンテナンス性にも優れています。

耐用年数の長さと耐熱性

住宅の立地環境にもよりますが、立平葺きに使用されるガルバリウム鋼板は錆に強いので、高い耐久性をほこります。20年以上もの耐用年数も期待できるでしょう。

また、ガルバリウム鋼板は熱に強いアルミニウムが含まれていますので、高い耐熱性を誇ります。

短工期でコスパ抜群

立平葺きは瓦棒葺きよりも短工期で済みますし、ハゼ葺きから勘合式を使用するだけでも各段に工期を短縮できます。ガルバリウム鋼板は錆に強いだけでなく、単価も安いものですし、1枚の屋根材を使用するので瓦やスレート屋根よりも少なくて済みます。

そのため、人件費も抑えることができますので、工費も安くなるでしょう。また、軽量なガルバリウム鋼板はリフォームでも活躍できます。よほど損傷していない限りはカバー工法が使えるので、既存の屋根材を除去することなく張り替えが可能です。

かまぼこ屋根や緩やかな勾配にも使用可能

立平葺きの特徴としてかまぼこ形状の曲面な屋根にも使用できることが挙げられます。むしろ、かまぼこ屋根は立平葺きを使用していることが多く見られます。

一般的な屋根というのは勾配をつけて雨水のはけをよくしています。スレート屋根なら3寸、瓦屋根なら4寸以上の勾配が必要となりますが、立平葺きは2寸程度の緩やかな勾配でも使用可能で、雨漏りのリスクも心配ありません。

屋根の勾配が足りずに雨漏りしてしまう場合、立平葺きを採用することで雨漏りを対策することが可能となるでしょう。

軽量で耐震効果が高い

屋根は住宅の中でも一番上に配置されるものです。軽量であるほど住宅全体の負荷が軽減されます。金属屋根は一般的な瓦やスレート屋根と比較しても軽量であり、特にガルバリウム鋼板は優れています。

軽量であることは耐震性に効果がありますので、地震が多い日本でも安心できる屋根材といえるでしょう。屋根は重いほうが揺れも少なくなるイメージを持つ人もいますが、重量が増えてしまうと倒壊する恐れもありますので危険です。

住宅の負荷が少なくなるという点でも、軽量の屋根材である金属屋根材のガルバリウム鋼板を用いたほうが耐震効果も高くなります。

立平葺きのデメリット

メリットが多い立平葺きですが、デメリットになることもあります。

・複雑な形状の屋根には使用不可

・雨音が響く

・遮熱性が低い

・ある程度作業スペースが必要

それぞれの特徴をみていきましょう。

複雑な形状の屋根には使用不可

平葺きは基本的にはシンプルな形状の屋根に使用できますが、複雑な形状をしている屋根には使用できません。立平葺きで使用する屋根材は1枚の板になっていますので、複雑な形状の屋根になると、現場で切断するといった追加加工が必要になってきます。

余計な工費や工期もかかってしまいますので、平葺きに複雑な形状の屋根は向いていません。

屋根にこだわりがあるという人は、事前に立平葺きが可能かどうかリフォーム業者や工務店に確認するようにしましょう。

雨音が響く

金属屋根はもともと雨音が響きやすい特徴があります。その中でも平葺きは1枚の長い屋根材なので、余計に雨音が響きやすいのがデメリットに感じられます。

一方で瓦屋根は雨音を吸収するので室内も静かなものですが、平葺き屋根は雨音がうるさく感じてしまうでしょう。ただ、平葺きの弱点も断熱材や遮音シートを使用することで改善可能です。

断熱性・遮熱性が低い

アルミニウムを含んでいることから、耐熱性は優れていると先述しました。熱に強くて燃えづらいという反面、ガルバリウム鋼板は熱を伝えやすいという断熱性が低いデメリットがあります。

平葺きで使用する金属屋根は熱を吸収しやすいので、他の屋根材よりも室温が上がってしまいます。特に夏場はかなり暑くなってしまうので、エアコンなど光熱費が上がる恐れがあります。

ガルバリウム鋼板は薄い金属ですので、夏は暑いのに加えて冬は寒いといったデメリットが存在します。冷暖房などのコストがかさんでしまうのは手痛い出費といえるでしょう。

特に2023年からは電気料金が値上げのため、物価高に加えて多くの家庭では頭の痛い問題ともいえます。そこで対策となるのが断熱材や遮熱塗料でカバーする方法です。

またカバー工法をすることでも断熱性に優れた効果を発揮し、遮音性もあるので雨音も静かになるメリットが生まれます。

ある程度作業スペースが必要

平葺きで使用する金属屋根は長い1枚の板になりますので、作業スペースの確保も重要な課題となります。住宅が密集している地域やスペースが少ない立地などでは施工自体が非常に困難となるケースも見られます。

このような立地で屋根リフォームを平葺きで検討している場合、事前に作業スペースを確保できるように敷地外でも利用可能か調べないといけません。

まとめ

平葺き屋根は従来の縦葺きが主流だった瓦棒葺きよりも雨漏りのリスクが少ないのが特徴です。軽量で耐震効果が高いガルバリウム鋼板を使用しており、耐用年数も長くて緩やかな勾配の屋根にも適しています。

コスパ抜群の平葺きですが、複雑な形状の屋根に使用できず、雨音の響きや遮熱性などのデメリットも潜んでいます。ここで紹介した対策などを用いて屋根をリフォームしたい人は平葺き屋根を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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