屋根の雨漏りに悩んでいる人も多いものです。屋根材の下にはルーフィング材という防水シートが敷かれてあり、屋根からの雨漏りを防いでいます。
一般には新築でもほとんど馴染みがないものであり、リフォームでその存在を知る人も少なくありません。屋根からの雨もりで困っている人のために、ルーフィング材の特徴や種類、注意点などを解説していきます。
ルーフィング材の特徴
ルーフィング材がどのようなものか分からないという人のために、その特徴や性能をみていきましょう。
屋根からの雨漏り防止に必須
ルーフィング材とは屋根に使われる防水シートのことを指しています。ルーフィング材は野地板と屋根材の間に張り付け、瓦やスレートなどの種類に問わず屋根には必ず使用されています。
雨水が野地板にしみ込んでしまうとそこから雨漏りが浸透していき、屋根材の劣化だけでなく建物全体に影響を及ぼしてしまいがちです。
厚みはわずか1mm程度ですので、普段は屋根材に隠れて見えません。ただ、このルーフィング材がないと屋根は雨漏りしてしまいますが、逆に屋根が劣化してもルーフィング材があれば雨漏りを防いでくれます。
それだけに住宅の屋根部分にはルーフィング材がとても重要な役割を果たしています。
H3 ルーフィング材の性能
ルーフィング材の性能をそれぞれみていきましょう。
・防水機能
ルーフィング材を固定するのに釘やタッカーの針を使用します。その際にどうしても穴が開いてしまいますが、ルーフィング材の種類によってはその部分からの雨漏りを防ぐまとわり力が強くなって防水機能が強化されています。
また、釘や針を使わない粘着式のルーフィング材もあります。
・耐久性
先述しましたが、雨漏りに直結するのがルーフィング材です。品質の高いルーフィング材を使用するほど耐久性が優れます。常に風雨にさらされる屋根は、雨漏りしてしまうと住宅全体の耐久性も劣化し、価値も下がってしまいます。
ルーフィング材の種類
ルーフィング材には複数の種類があります。それぞれの特徴からなるメリットとデメリットを見ていきましょう。
透湿と非透湿
ルーフィング材には湿気を通す透視タイプと非透湿タイプがあります。日本は湿気が多いので湿気がこもると結露が発生しやすくなってしまいがちです。ただ、どちらにもメリットやデメリットが存在しているので、まずは違いをみていきましょう。
・透湿タイプ
室内の湿気を屋外へ放出させるので結露を抑える効果があります。湿気を排出して水を通さないことから、野地板も乾燥させることが可能です。
初期費用は高くて施工しづらいというデメリットもありますが、耐久性に優れて長持ちしますから、ランニングコストは抑えられるでしょう。
・非透湿タイプ
ほとんどの住宅で使用されているのが非透湿タイプのルーフィング材です。湿気を通さないので結露が溜まると野地板が腐食しやすくなります。初期費用は安く済みますが、その分耐久性は10年程度で劣化するアスファルトルーフィングが多用されており、定期的なメンテナンスが重要といえます。
屋根材と一緒にメンテナンスを考えている場合は、あえて非透湿タイプを選択するという考え方もあります。
アスファルトルーフィング
多くの住宅で利用されているのがアスファルトルーフィングです。関東大震災の頃から復興に使用されており、高い普及率を誇ります。「アスファルトルーフィング940」が最も使用されており、新築でも指定がないとこちらのルーフィング材を用いられます。
アスファルトルーフィングは1㎡当たり200円~と安価です。一般的に耐久年数は10年程度となり、ちょうど保証期間が切れるのと同年数でメンテナンスが必要となってきます。
使用頻度が高いので、リフォーム工事でも施工しやすい点はメリットとして含まれるでしょう。
改質アスファルトルーフィング
アスファルトルーフィングの中でも耐久性に優れたルーフィング材が改質アスファルトルーフィングです。原料自体は同一ながら、アスファルトルーフィングよりも倍に近い耐用年数が特徴です。
ただ、アスファルトルーフィングよりも施工費用が高くなるデメリットもあります。屋根材の耐久性に合わせてどちらを使用するのか検討するようにしましょう。
透湿防水ルーフィング
透湿防水ルーフィングは湿気を逃がす性質を持っており、雨漏りを防ぐ防水効果があるだけでなく、湿気をこもらせずに速乾性に優れているのでカビや腐食を防ぐ効果が見られます。住宅全体の痛みを抑えるのが特徴です。また、耐用年数が約50年とアスファルトルーフィングと比べても各段の違いが見られます。
もちろん、その分だけ初期費用や施工に時間がかかってしまうデメリットもあります。
とはいえ、メンテナンスが少なくて済むので、ランニングコストは抑えられるでしょう。
高分子系ルーフィング
高分子系ルーフィングはアスファルトを使用しておらず、合成ゴムや塩化ビニルを原料としているルーフィング材です。アスファルトを使用せず伸縮性があるので破れにくく、軽くて丈夫なことから耐久性に優れています。
ただ、下地によっては使用できないこともあり、紫外線で劣化しやすく、費用の割に耐用年数が15~20年程度とデメリットもあります。
粘着層付きルーフィング
粘着層付きルーフィングは粘着シートになっているので、タッカーを使用しませんから雨漏りしづらいメリットがあります。粘着式なので密着性に優れており、耐用年数も約30年と長いのが特徴です。
剥がすのが容易なのでカバー工法にも使用されますが、湿気を逃がしづらいデメリットも見られます。
不織布ルーフィング
ルーフィングは基本紙ベースとなりますが、不織布ルーフィングは布ですべて作られており、丈夫で破れにくい面が評価されています。また、柔軟性に優れていることから、下地に合わせて使用できるメリットがあります。
布で作られているので高価となるのがデメリットといえるでしょう。
ルーフィング材に関する注意点
ルーフィング材は屋根の中でも重要な部分になります。ルーフィング材に関する注意点をみていきましょう。
屋根材に適したルーフィング材を選定
ルーフィング材は屋根材に適した商品を選定するようにしましょう。屋根材によっては使用できないルーフィング材もあります。また、屋根材との相性もありますので、業者にしっかりと相談するのがおすすめです。
耐用年数や耐久性に優れている
ルーフィング材で交換が必要になったときには、必ず屋根材を撤去しないといけません。瓦以外の屋根材は再利用できませんので、基本的にルーフィング材は屋根材よりも耐用年数が長いものを選定するようにしましょう。
住宅は外観的にも屋根材に目が行きがちですが、屋根材がどれだけ高耐久のものであっても、ルーフィング材に同程度の耐久性がないと雨漏りが発生したら工事で屋根を撤去することになってしまいます。
ルーフィング材は屋根材よりも耐用年数や耐久性に優れているものを選ぶことが大切です。
相見積もりで業者を選定する
ルーフィング材の交換にはしっかりと業者を選定する必要があります。新築でもルーフィング材を選定することはあまりありませんので、馴染みがない人も多いものです。自宅の屋根材に適したルーフィング材ではなく、耐久性や耐用年数に優れた部分のみを推して、料金の高い商品を推奨してくる業者もあり得ます。
素人では違いに判らないものですので、複数の業者で相見積もりを取ったほうが相場通りのルーフィング材なのか分かりやすくなります。
まとめ
ルーフィング材は屋根材の下に施工する防水シートのことを指しており、雨漏りを防ぐために必要なモノといえます。屋根材が劣化してもルーフィング材がしっかり機能していれば、住宅の雨漏りが発生しないほどです。
ルーフィング材は普段見えないところなので、素人では知識も乏しいものといえます。複数の種類があるルーフィング材は、屋根材よりも耐用年数や耐久性に優れた商品を選定しなければなりません。
ルーフィング材の劣化は自分で判断できないものなので、リフォームの際には複数の業者に相見積もりを取っておくほうが安心できるでしょう。