築20年以上の古い家に住んでいると、手放すかリフォームするか検討するものです。もちろん、せっかくの住宅を手放したくないという人が多いでしょうし、リフォームにもメリットがあります。
しかし、一概にリフォームといっても予算も必要ですし、古いので何かと注意する点も出てきます。そこで古い家をリフォームするメリットや注意点をここで解説していきます。
木造住宅の耐用年数は22年?
木造住宅に長年住んでいると、いつまで住めるものなのか心配になる人もいるものでしょう。築30年以上の住宅もありますが、いざ自分が古い家に住み続けるとなると不安になってしまうものです。
一般的に木造住宅の耐用年数は22年といわれていますが、その理由やそれ以上住めないのか次にみていきます。
税務上の法定耐用年数
木造住宅が築22年と設定されているのは減価償却を指しています。この期間を過ぎると資産価値は税務上でゼロとなります。22年という数字は覚えやすいようで忘れてしまうものですから、一般的に築20年で頭に入れておけば大丈夫でしょう。
この20年というのは住みだしてからではなく、新築から数えて22年となります。まだ中古物件を探している人でローンを組む予定だと、耐用年数がローンの審査に影響を及ぼすこともあります。
実際はもっと住める
築22年とはいえ、これはあくまでも税務上の話ですから実際にはもっと長い期間住むことは可能です。昭和から平成初期に渡って建てられた住宅でも、問題なく古い家に暮らせている人だってたくさんいます。
住宅以外でも、自動車の走行距離10万キロや家電の10年目というのは一種の買い替え時期と判断する人も多いでしょう、しかしながら、10万キロを超えて走行している自動車もたくさんあります。
住宅も築22年を超えたからといって手放すものではありません。もとより家は人生で最も高価な買い物です。買い替えなんて簡単にできるものではないので、築22年以降となった古い家にも住み続けていかなくてはいけません。
リフォームが大事
とはいえ、何もせずにずっと古い家に住み続けるというのも難しいものです。自動車ではエンジンオイルやバッテリー、タイヤの交換があるように、住宅でも最低限のメンテナンスは必須といえます。
築22年以上も住み続けるには定期的なメンテナンスが大切です。そこで、住宅が劣化しないように、リフォームを検討することも視野に入れておくことが重要となります。
リフォームは住宅の屋根や外壁など、紫外線や風雨の影響で劣化しやすい場所から取り組むようにしましょう。
古い家をリフォームするメリット
リフォームは主にメンテナンスなどの修繕や改築、増築を行います。古い家をリフォームするメリットをまずはみていきましょう。
住み慣れた場所から引っ越さなくていい
一番のメリットは住み慣れた家にそのまま居続けられることです。家というのはだれでも愛着があるものですし、家族や子どもの成長といった思い出があります。また、住所が変われば職場の交通手段や通勤時間、子どもの学校なども変わる影響があります。
今とそれほど変わらない中での環境というのは、精神的にも落ち着いて生活できるのがメリットといえるでしょう。
コストが新築よりも抑えられる
新たに住宅を購入しようものなら当然ながら高額の費用、もしくは長いローンを支払う必要があります。現在住んでいるのが親から受け継いだ土地で、結婚を機に新築を購入する人もいるでしょうが、圧倒的に古い家をリフォームする方が安く済みます。
特にリフォームは部分的なメンテナンスを実施できるので、劣化しているポイントのみ費用をかけることができます。
面倒な手続きがなくて準備に時間がかからない
建て替えともなると、建築確認申請や登記手続きが必要となります。手続きには所定の金額に加え、時間もとられてしまいますが、メンテナンス的なリフォームだとその心配もありません。
しかも、新築を購入する場合には物件を探すことから始めるものです。それはそれで楽しい時間でもありますが、希望の物件を探すのも一苦労です。こちらも購入までの時間をかなり費やしてしまいますが、リフォームだと打ち合わせや見積もりで新築に比べて時間はかかりません。
工期が短縮できて仮住まいが不要なケースも
建て替え工事では解体作業も入ります。さらに更地になりますから、そこに住むことができません。住人も仮住まいが必要となるので、その分出費も増えてしまいます。
一方リフォームでは必要な部分のみに限定できるので、古い家であっても建て替えに比べて工期を短縮できるメリットがあります。リフォーム内容によっては一時的に退居しなくてはなりませんが、基本的にそのまま生活できるのが特徴です。
耐震性や省エネを向上させられる
古い家というのは新築に比べて耐震性が心配になります。特に建てられた時期の耐震性だと大地震に対応できない恐れがあります。
また、防音性や断熱性も建てられた時期よりも向上させることが可能です。暖房や冷房が効きづらいといったケースもありますし、リフォームで省エネ化することができます。
古い家をリフォームする際の注意点
古い家をリフォームする上で注意することもあります。それぞれみていきましょう。
状況によってはコストがかかる
古い家というのは意外に劣化が進んでいることがあります。気付かないところで雨水が浸入してしまい、カビや腐食を引き起こしてしまう恐れも生じます。
特に土台や柱といった構造部分に損傷が見られると大掛かりな工事となりがちです。このような場合は建て替えのほうが安いこともあるので、専門業者に診断してもらうようにしましょう。
また、構造部分が劣化していると、耐震性のメンテナンスができないこともあるので注意が必要です。シロアリの発生によって住宅の床が被害を受けていることもあります。これによってリフォーム中に余計な費用がかかる恐れもあります。
間取りが変更できないこともある
古い家をリフォームする場合、子ども部屋を新たに作ろうとして間取りを変更したい人もいるでしょう。リフォームでは建物の構造によっては耐震性の影響で間取りを好きなように変更できない恐れがあるので事前に確認が必要です。
建築確認申請が必要になることも
リフォームによっては建築確認申請が必要となります。4号建築物のリフォームでは建築確認申請は不要となりますが、木造住宅でも3階建て以上になると必要です。
屋根や外壁工事にも必要となってきますので、事前にリフォーム業者に相談するようにしましょう。
古い家のリフォームにかかる費用
古い家のリフォーム費用の相場をそれぞれみていきましょう。
キッチン周り
古い家でも人気になっているリフォームはキッチン周りです。オール電化への切り替えなど実用性も高くて、システムキッチンに憧れる人も多く見られます。
費用はキッチンの種類や広さにもよりますが、あまり少ない変更だと30万円から50万円、高くて100万円前後となるでしょう。
トイレやお風呂
キッチンに次いで生活に欠かせないのはトイレとお風呂です。両者とも壁紙やタイルの張り替えの他、トイレはウォシュレットの取り付けがありますし、お風呂は追い焚き機能の増設でリフォーム工事もできます。
費用はトイレが15万円~50万円程度、お風呂は20万円前後で可能ですが、配管工事があれば50万円程度は見込んだほうがいいでしょう。
リビング
リビングはフローリングや壁紙の張り替えの他に、リビングの間取りを広くする工事もあります。張り替えは10万円から20万円程度になりますが、リビングの拡張工事は100万円程度を見込みます。
屋根と外壁塗装
古い家では長い間放置されていた屋根や外壁にダメージが残っているものです。風や雨、紫外線に排ガスなど、周囲の環境によって劣化の状況も変わってきます。屋根や外壁のリフォームには塗装が一般的です。
塗装は足場を組む必要がありますが、屋根や外壁のリフォームを同時に行うことで足場代を抑えられます。屋根や外壁の塗装は合わせて80万円から120万円程度といえます。塗料の種類によっても異なりますかし、家の大きさでも金額に違いが生まれます。
また、塗装ではリフォームできないほど劣化している場合、カバー工法や葺き替えをしなければなりません。カバー工法だと外壁が150万円程度で、屋根では200万円前後となっています。
しかし、外壁の張り替えや屋根の葺き替えともなると、それ以上のお金が必要になるので注意が必要です。
また、これら以外のリフォームもあり、耐震性の補強や断熱材の使用、バリアフリーの改善など、将来を見越して別途工事を依頼するならよりコストもかかっていきます。
古い家もリフォームで有効活用できる
古い家もリフォームすることによってさまざまな支援を受けることが可能です。リフォームで有効活用できる制度などをみていきましょう。
国や自治体の支援制度
国や自治体では住宅リフォームの支援制度を行っています。たとえば、省エネやバリアフリーなど、補助金を受けられることもあるので、早めの申請が必要です。もちろん、補助金を受けるには各要件をクリアしないといけないので、リフォーム業者に相談するようにしましょう。
前年に補正予算案が可決されたときに概要が分かりますので、ニュースや新聞をチェックしておき、キャンペーンなども有効に活用するようにできます、補助金は申請が上限に達すると受付終了することがあるので、常に国や自治体のホームページなどをチェックしておきましょう。
確定申告で減税できる
リフォームには省エネや耐震の他に、長期優良住宅などの要件をクリアした場合、確定申告をすることで所得税や固定資産税の減税が適用されます。
条件のクリアはリフォーム業者に相談するといいので、年末調整の提出期限までに忘れないようにしましょう。
また、確定申告による減税措置は上記の補助金と組み合わせることも可能なので、古い家もリフォームで有効活用することが可能です。
優良業者に相談しよう
古い家というのはさまざまな業者の目に留まります。中には飛び込み営業で外壁や室内の劣化を指摘して契約をこじつけようとする業者もいるでしょう。
リフォームは安い契約ではありませんので、失敗したくないものです。悪徳業者に惑わされないように、複数のリフォーム業者に相見積もりを取っておき、しっかりと見積もりについて説明できる優良業者を選定することが大切です。
あまりに安い業者にも注意するようにしましょう。
まとめ
築22年が基準となる法定耐用年数ですが、古い家でもそれ以上でも住み続けることは可能です。ただ、家は住み続けることで何かと劣化してくるものですので、長く住むには古い家もリフォームでメンテナンスをすることが重要です。
リフォームは補助金や減税措置といった有効活用できますので、まずは優良のリフォーム業者に相談してみるようにしましょう。