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ガルバリウム鋼板の特徴、メリット・デメリット、費用について

「ガルバリウム鋼板にはどんな特徴があるの?」
「ガルバリウム鋼板のメリット、デメリットを知りたい」
という要望をお持ちの方も多いかと思います。

ガルバリウム鋼板は特殊な加工を施した素材です。耐久性の高さから外壁や屋根などによく使われています。
ただ、たくさんの魅力がある一方、その性能について過度に謳うような情報もあるため、新たに採用したりメンテナンスしたりする際には注意が必要です。

今回はガルバリウム鋼板の特徴や施工費用に加えて、メリット・デメリットを解説するのでぜひご覧ください。

ガルバリウム鋼板とは

ガルバリウム鋼板は1972年にアメリカで誕生した素材です。耐久性に優れているため日本でも多くの建物で使われ始め、屋根や外壁で需要が多いです。

ガルバリウム鋼板の特徴

ガルバリウム鋼板はアルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%で構成されたメッキ鋼板です。強度と加工のしやすさを両立した素材で、建築材料の一つとして使われています。メッキに使われているアルミニウムは錆びにくく、熱に強いです。亜鉛は深い傷から鋼板を守る役目を果たしています。

ガルバリウム鋼板の費用

外壁をガルバリウム鋼板にする際の材料費は、目安4,300〜5,300円/㎡です。さらに足場代や人件費などを含めた施工費用は、10,000円/㎡前後になります。正確な費用は依頼する業者によるため、事前に業者へ見積もりを依頼して確認しましょう。

ガルバリウム鋼板はデリケートな素材のため、慎重に扱う必要があります。具体的には、他の金属から遠ざけたり(触れると錆びてしまうため)、湿気を逃したりと手間が必要で、そのため他の建材より施工費用が高くなります。

ガルバリウム鋼板のメンテナンス費用

ガルバリウム鋼金をより長く使うためには、定期的に塗装する必要があります。費用相場はウレタン塗料が1,500〜2,200円/㎡、シリコン塗料が2,500〜3,200円/㎡、フッ素塗料が3,500〜4,000円/㎡です。

また上記の費用に加えて、洗浄が100〜200円/㎡、足場代が700〜800円/㎡ほどかかります。屋根は足場代が外壁よりかさむため、費用が高めです。外壁塗装だけにすれば費用は抑えられますが、いずれ屋根も塗装が必要になるため、一度で済ませてしまうと良いです。

(費用はすべて目安です。実際の価格は業者に確認してください)

建築士

ガルバリウム鋼板のメリット

ガルバリウム鋼板のメリットを3つ解説します。

1. 錆びにくい

ガルバリウム鋼板は金属の素材にもかかわらず、錆びにくいというメリットがあります。錆に強いアルミニウムを主原料としたメッキを施しているため水や酸性雨に強いです。

さらにガルバリウム鋼板は隙間が少ないため、防水性が高いというメリットもあります。窯業系のサイディングやALCの外壁よりも水が染み込みにくく、雨漏りを防ぎます。

2. 耐用年数が長い

ガルバリウム鋼板は耐用年数が目安20〜25年と長いです。錆びてしまったり、穴が空いたりしなければ、40年以上保つ場合もあります。

ただ、ガルバリウム鋼板は消耗品のため交換が必要になります。また耐久性を維持するためには、定期的な塗装が必要です。期間は10〜15年を目安にすると良いでしょう。ただ、色あせが目立ってきたり傷や穴などが生じたりした際にも、塗料の機能が落ちてきてしまっている可能性が高いため、塗り替えを検討しましょう。

3. 耐震性が高い

建物は軽いほど耐震性が高まります。ガルバリウム鋼板は軽い素材のため、耐震性の面でも優れています。

屋根の葺き替えでは、カバー工法などによく使われます。これは古い屋根材の上に新しい屋根材をかぶせる方法で、工事費用を抑えながら屋根の補強ができます。屋根材が二重になるため通常の屋根材だと重くなり耐震性が犠牲になりやすいため、比較的軽量なガルバリウム鋼板が採用されやすいです。

建築士

ガルバリウム鋼板のデメリット

続けてガルバリウム鋼板のデメリットです。業者選びにも役立つので、押さえておいてください。

1. 傷つきやすい

ガルバリウム鋼板はメッキの塗膜が薄いため、傷つきやすいデメリットがあります。不慮の事故で傷がつき、中の金属が剥き出しになってしまった場合、そこから錆びてしまう危険性があるため、すぐにメンテナンスが必要です。

また、メーカーの保証内容がシビアという点も、デメリットとして挙げられます。強風や台風などで物が飛んでくるなどの想定外の出来事が起きたり、施工中の業者による瑕疵が生じて傷がついたりしても、保証されないケースもあります。

2. 見た目がシンプル

ガルバリウム鋼板は見た目がシンプルです。トタンに似ているため、装飾性にこだわりたい人などは「シンプルすぎて物足りない」と感じるかもしれません。

しかし加工しやすい素材でもあるため、アーチ状に丸みをつけて建物にアクセントをつけるなどのアレンジも可能です。また好みの色を選択できるため、色の組み合わせで理想の雰囲気に近づけられます。

建築士

誇大広告も多いので注意

ガルバリウム鋼金は、その耐久性の高さから「メンテナンス不要」と謳われていることもあり、注意が必要です。

金属にしては錆びにくく、耐久性にも優れる素材ですが、劣化はするので定期的なメンテナンスが欠かせません。また前述ですが、傷がつかないように注意したり、他の金属と触れさせないようにしたり、慎重に扱う必要があるデリケートな素材でもあります。

悪徳業者に引っかかって手抜き工事をされないよう、業者選びには注意しましょう。

ガルバリウム鋼板の特徴を知って効果的に活用しよう

ガルバリウム鋼板は鋼板に特殊なメッキを施した素材で、外壁材のみならず屋根材としても使われています。錆びにくく防水性に優れ、耐用年数が長いなど性能が優秀で、おおよそ10〜15年に一度のメンテナンスを忘れなければ、より長く保たせられることもあります。

一方で、傷に弱く、不慮の事故などに対する保証がないケースもあります。また耐久性の高さを全面的にアピールし、メンテナンス不要である旨を伝えてくる悪徳業者もいるため、業者選びには注意しましょう。

建築士

外壁塗装の必要性とは? 塗装を怠った場合のトラブルや必要ない建物も

「外壁塗装の必要性って?」
「外壁塗装しないとどんなトラブルが起きるの?」
など外壁塗装をしなければならない理由がよく分からない方も多いかと思います。

今回は、外壁塗装の必要性や外壁塗装をしなかった場合に起きるトラブルの例を解説します。外壁塗装の必要性を知ることで納得して依頼でき、結果的に建物を守ることにつながりますので、ぜひ最後までご覧ください。

外壁塗装の必要性を解説

目に見える不調がなくとも、定期的に外壁塗装をすることをおすすめします。外壁塗装の必要性が高い理由について、3つに分けて具体的に解説します。

1. 防水機能を維持する

外壁塗装は外壁の防水機能を高め、雨水の侵入を防ぎます。屋根のみならず外壁から雨水が入り込むことで、雨漏りを引き起こすことがあるのです。塗料の表面に作られる塗膜の層により防水性が保たれます。

ただ、塗料にはおおよその耐用年数があり、これを超えると防水を含めた様々な機能が落ちてしまいます。塗料の種類によりますが、10年前後を目処に塗り替えが必要です。

2. 美しい外観を維持する

外壁塗装をすることで、築年数が経過した家も、まるで新築のように美しくなります。一方で外壁塗装が剥がれた建物は見るたびに劣化が気にかかってしまったり、周囲の景観を損ねてしまったりするのです。

また外壁塗装をする際には、これまでと違った色を選ぶこともできます。好みや近所の建物とのバランスなどを考慮しながら、新たな色に挑戦してみるのも良いでしょう。外壁塗装は建物の雰囲気を一新できるという楽しみを秘めているのです。

3. 建物の劣化を防ぐ

外壁塗装は建物の経年劣化を防ぐ働きをしているため、定期的な塗り替えが欠かせません。塗料の塗膜が剥がれてしまうと、外壁材に直接ダメージが入ります。具体的には、湿気に弱い断熱材が腐食したり、土台や基礎部分にヒビが入ったりします。

建物自体を守るためには、見た目に関わらず、塗料の耐用年数によって定期的に塗り替えることが大切です。

建築士

外壁塗装の必要性が低い家もある

外壁塗装の必要性が低い家もあります。まれに悪徳業者が「外壁塗装をするべきです」などと必要以上にあおってくるケースもあるため、あらかじめ知識を身につけておくと安心です。

1. タイルの外壁

外壁がタイルでできている家は外壁塗装の必要が低いです。タイル自体が耐久性に優れており劣化しにくい素材です。また変色しにくいため、美観保持の視点からも安心感ある素材といえます。一方、タイルを保護したり艶を出したりするために、クリア塗装を施すこともできます。

ただし、中には「タイルにも必ず塗装が必要」と営業してくる業者もあるので注意してください。万が一色の付いた塗装をしてしまうと、メンテナンスの手間がかかってしまうため避けましょう。

2. レンガの外壁

外壁がレンガでできている場合には、外壁塗装は必要ありません。レンガは経年劣化による色合いの変化を楽しめる優れた素材です。味わい深いだけではなく耐久性に優れており、長ければ50年くらいは保ちます。

ただ、レンガは定期的なメンテナンスの手間がかからない反面、外壁の雰囲気を変えにくいという難点があります。また基本的にメンテナンスフリーではありますが、地震などにより破損した場合には修繕しなくてはなりません。

3. おおよそ10年以内のサイディング

サイディングは新築してから10年前後の間はメンテナンス不要です。業者からもメンテナンスが要らない旨を伝えられ、保証がつくケースもあります。塗膜が維持されている間は防水性が保たれるので、雨風にさらされても安心です。

ただし、サイディング外壁の防水機能を保つためには、10年に1度くらいのメンテナンスが欠かせません。よく使われている窯業系のサイディングは吸水性が高いため、建物自体の劣化を引き起こしかねません。次に利用される頻度の高い金属系のサイディングも錆びやすいため、メンテナンスが重要になります。

建築士

必要な外壁塗装をしなかった場合のトラブル

外壁塗装をしなかった場合には、想像以上にさまざまなトラブルを招きます。外壁塗装以外の工事費用が発生したり、健康被害を招いたりする危険性があるのです。ここでは定期的な外壁塗装をしなかった場合に発生するトラブルを具体的に解説します。 

雨漏り

雨漏りというと天井からのイメージがあるかもしれませんが、外壁からも起こり得るのです。外壁塗装が年月の経過とともに剥がれて防水機能を失うと、外壁材の劣化した箇所から雨漏りしてしまいます。

また屋根も塗装が必要であり、必要な塗装をしていない場合には、屋根材が劣化して雨漏りを引き起こしかねません。屋根材の交換工事になると費用が100〜200万円と高額になってしまう恐れもあるため、外壁と併せて定期的に塗り替えるのがおすすめです。

断熱材の劣化

外壁のみならず建物の内部にまで雨水が入り込んでしまうと、断熱材の交換が必要になる場合もあります。周囲の解体工事の費用も併せて60〜200万円程度かかると考えておきましょう。

また雨水の染み込んだ断熱材を放置しておくと、人体への健康被害、たとえばアトピーやぜんそくなどのアレルギー症状を引き起こす恐れがあります。断熱材に吸収された水分を流し出すことは難しいため、工事が必要になります。

構造体の劣化

構造体は建物を支えている土台であり、雨漏りによって劣化します。構造体によく使われるコンクリートは吸水性があるため、防水機能を高めるため塗装が施されており、この塗装のメンテナンスが必要です。

もし構造体の劣化を放置すると、建物自体が傾いたり倒壊したりする恐れがあります。修繕工事の費用は劣化の程度によります。

建築士

外壁塗装の必要性を理解して、定期的なメンテナンスを心がけよう

外壁塗装は外観を美しく維持するだけではなく、建物自体を保護する役割を果たしています。日々雨風や紫外線にさらされることで塗料の機能が衰えてくるため、少なくとも10年を目処に塗り替える必要があるのです。

もし定期的な外壁塗装を怠ってしまうと大規模な工事が必要になり、より負担が大きくなります。大切な建物を守るためにも、経済的な負荷をかけないためにも、ぜひ適切なタイミングでのメンテナンスを心がけていきましょう。

建築士