築何十年と過ぎたお宅にお住いですと、そろそろリフォームを検討している人もいるのではないでしょうか。住宅のリフォーム工事には屋根、外壁、内装、ベランダなど様々な箇所があるものです。今回は住宅の要ともいえる屋根の葺き替えリフォーム工事の流れや費用相場、リフォームするべき時期など、葺き替え工事にスポットを当ててご紹介していきます。
屋根のリフォーム工事は3種類
住宅屋根をリフォームする際に主な施工方法は、「葺き替え」、「重ね葺き」、「塗装工事」の3種類に分けられます。ここからは、3種類ある各施工方法について紹介していきます。
・葺き替え
葺き替えリフォームは住宅についている既存の屋根材をすべて撤去して、新しい屋根材を設置する工事です。古くなった屋根材をすべて撤去するため、下地である野地板や防水シートも取り換えるので、屋根の機能が新しくなり住宅の寿命が延びます。
・重ね葺き(カバー工法)
重ね葺き(カバー工法)リフォームは住宅の既存の屋根を撤去せずに、上から屋根材を二重に設置する工事です。既存の屋根材を撤去せずに施工できるため、葺き替えよりも施工期間が短いうえに、費用も安くなります。
・塗装工事
塗装リフォームは、葺き替えや重ね葺き(カバー工法)などのように大掛かりな工事が必要でない屋根に施工する工事です。塗装を施すだけで形状は変わりませんが、屋根の色を変えることで住宅の見た目を一新することが出来ます。
屋根の葺き替え工事におけるメリット・デメリット
3種類の屋根リフォーム工事について説明してきました。ここからは屋根の葺き替えリフォームのメリットとデメリットについて紹介していきますので、特徴をしっかり理解してリフォームを検討する目安にしてください。
屋根の葺き替え工事のメリット
葺き替え工事の最大のメリットとしては、屋根材をすべて撤去するため、屋根材の下に敷かれた野地板や防水シートまで新しいものに交換できるという点です。下地まで新しくできることで、住宅自体の寿命を延ばせるため安心感があります。
また古い住宅ですと、屋根材によっては重量があるものもありますが、軽い屋根材に葺き替えを行うことで軽量化することが可能となり、住宅にかかる負荷を減らせます。
そのため耐震性が格段に上がり、地震に強い住宅に変えることが可能となります。
屋根の葺き替え工事のデメリット
重ね葺き(カバー工法)の施工であれば既存の屋根を撤去せずに使えますが、葺き替えリフォームの場合は全面撤去になります。既存の屋根材を撤去する費用と野地板や防水シートの交換に伴う費用が別途かかってしまうため、支払う金額が高くなりがちです。
また、屋根材すべてを撤去しなくてはならず、大掛かりな工事となってしまうために施工期間が長くなることもデメリットといえるでしょう。
葺き替え工事に使用される屋根材の種類
屋根に使用されている屋根材にはさまざまな種類と特徴があります。葺き替えリフォームをする際に、どの屋根材を使用すればいいか悩む人も多いでしょうから、ここからはメジャーな屋根材5種類の特徴について詳しく紹介していきます。
スレート屋根
スレート屋根に使用されるスレート瓦は一般的に「カラーベスト」と呼ばれるもので、昨今の日本の新築住宅において最も使用されている屋根材です。日本に古くからある和瓦に比べて軽量であることから、耐震性に優れた屋根材です。
種類も豊富で施工しやすい特徴がある反面、スレート屋根の主成分であるセメントに防水性がないため、他の屋根材よりも定期的にメンテナンスを行う必要があります。
また、凍害にも弱いので、北海道や東北といった寒冷地では使用できない場合があるため注意が必要です。
瓦屋根
瓦屋根は日本においては、古くから親しまれてきた屋根材です。昔から使用されてきた
和瓦は日本の気候に対応できるように作られているため、通気性が良く断熱効果も万全です。また他の屋根材よりも耐久性が非常に高いため、瓦自体のメンテナンスを必要としません。
一方で、他の屋根材よりも重量があるため耐震性はよいとはいえず、住宅に負荷がかかりやすいです。
また瓦自体の金額も高めですので葺き替えリフォーム工事の際は、費用が高くなる傾向にあります。
ガルバリウム屋根
ガルバリウム鋼板は、サビに強いアルミニウムが主成分となった金属板の屋根材です。
アルミニウムの特徴である、耐食性、耐熱性、熱反射性に加え、加工性も高いので、近年人気の屋根材となってきています。
金属系の屋根材の中では最も耐用年数が高いため、メンテナンス費用を抑えることできます。また、軽量なうえに安価で施工できることも人気の理由となっています。
一方で金属系であることから、防音性や断熱性については他の屋根材に比べ劣り、表面が傷つきやすいので注意が必要です。
ハイブリット屋根
災害の多い日本において、自然災害に強い屋根ということで作られたのがハイブリット屋根材です。ガルバリウム鋼板に石の粒を焼き付けるなどして作られたハイブリット屋根材は、軽量なうえに丈夫ですから、平均でも50年ほどの耐用年数を可能としています。
耐用年数が長いので、安心感はありますが、固定する部品は劣化しますから、細かい部分の定期的なメンテナンスは必要となります。
トタン屋根
一時期は非常に普及した金属屋根材であるトタン屋根ですが、最近では葺き替えで他の屋根材に変更されていることが多くなってきています。
耐用年数は10年ほどで他の屋根材より短いため、最近ではあまり使われなくなってきた屋根材ですが、塗装を定期的に行えば寿命を延ばすこともできます。しかし、定期的なメンテナンスを怠れば、葺き替えが必要になる時期が早まりますので注意が必要です。
屋根の葺き替え工事の費用の相場
屋根の葺き替えリフォーム工事を行う際に、最も気になるのが施工費用ではないでしょうか。
既存の屋根材をすべて撤去するため他の施工方法よりも高額になってしまう葺き替えリフォーム工事は、一般的に70~250万円ほどかかるといわれています。屋根材の葺き替え工事以外にも、足場の設置や不要になった屋根材の処理費用など多くの工程費用が必要となるでしょう。
古い住宅の場合、アスベスト入りの屋根材が使用されている場合もありますので、そのような時も追加で費用がかかります。
また、新しく使用する屋根材によって相場費用は異なります。メジャーな屋根材の相場費用はこちらを参照してください。
新しく使用する屋根材 | かかる費用相場 |
瓦屋根材 | 約70~250万円 |
スレート屋根材 | 約70~200万円 |
ガルバリウム鋼板 | 約80~210万円 |
主な屋根材の耐用年数について
各屋根材の耐用年数については以下の通りとなります。
瓦屋根材(セメント瓦、粘土瓦、洋瓦) | 20~70年 |
スレート屋根材 | 10~35年 |
ガルバリウム鋼板 | 20~40年 |
瓦屋根は非常に耐久性が高いことから耐用年数も他の屋根材に比べ長いです。劣化に応じてですが、10~20年周期で塗装工事などの細かなメンテナンスは必要になります。
現在使用されているスレート屋根材の耐用年数は10~35年ほどですが、2006年以前に使用されていたアスベストを含んだスレート屋根ですと、耐久性が高いため寿命も長めです。しかしアスベストを含んだ屋根材の場合、葺き替えにおける費用が高くなったり、そもそも葺き替えができない場合もあります。その場合は、重ね葺き(カバー工法)での施工となります。
ガルバリウム鋼板は金属屋根の1種で軽量であることが魅力で、耐用年数は20~40年となっています。軽量であることから既存の住宅の耐震性を向上させるリフォームとして、瓦屋根からガルバリウム鋼板に吹き替える人が増えています。
屋根の葺き替えリフォーム工事の施工の流れ
ここからは劣化が見受けられたり、耐用年数が近づいてきたなど、実際に葺き替えリフォーム工事を行う際の施工手順についてご紹介していきます。
① 瓦おろし作業
既存の屋根に使用されている瓦や屋根材を取り外す作業です。瓦を1枚ずつ手作業で取り外していきます。
② 野地板の張替え作業
既存の屋根材を取り外した後は、野地板のチェックをします。痛みや腐食が酷い場合には、野地板を新しいものに取り換える作業を行います。
③ 防水シート張り作業
野地板を交換したら、防水性を高めるための防水シートを屋根全体に張っていきます。隙間ができないように注意しながら丁寧に作業していきます。
④ 役物の貼り付け作業
屋根材のつなぎ目や軒先など、屋根の本体以外の役物を取り付ける作業を行います。
⑤ 新しい屋根材の取り付け作業
役物を取り付けたら屋根材本体を取り付けていきます。葺き替えリフォーム工事において重要な作業となります。
⑥ 棟の取り付け作業
屋根材を屋根前面に取り付けた後は、棟役物を取り付ける作業に入ります。棟の取り付け作業が終わったら、葺き替えリフォーム工事における全ての工程が終了となります。
施工業者を選ぶ際のポイント
屋根材の耐用年数が近づいて劣化が見られる場合に、業者から葺き替え工事を勧められることもあるでしょう。しかし本当に必要な施工なのかは素人目には判断がつかず、悩まれる人も少なくありません。
本当はまだ葺き替えが必要ではいのに業者にいわれるがまま不必要な工事をしてしまったり、工事品質が悪く数年で劣化症状がでてきてしまうなど、悪質な業者に騙されてしまう人も多いものです。
ここからは信頼できる業者選びのポイントを紹介します。
経験豊富な専門業者
屋根の葺き替えリフォームはしっかりとした専門知識を持ち、葺き替えリフォームを何度も経験している専門業者でないと、屋根材本来の力を発揮できなくなってしまいます。
今までのリフォーム事例を見せてもらい、経験豊富な業者を選ぶようにしましょう。
相見積もりで比較
見積書が費用の内訳までしっかり記載されているかは大事なポイントとなります。そのうえで複数社に相見積もりを取っておけば、見積書の比較ができますので、大幅な値下げと言いつつ工事がずさんだったなんて事に巻き込まれにくくなりますので、相見積もりは必ず取っておきましょう。
まとめ
今回は屋根材リフォームの1つである、葺き替えリフォーム工事について掘り下げて紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。
住宅の要部分ともいえる屋根の葺き替えリフォーム工事は、既存の屋根を一新できるうえに、住宅全体の寿命も伸ばすことができる大事なメンテナンスの1つです。
この記事をぜひ参考にして、屋根材の特徴をしっかりと理解し、納得できる屋根の葺き替えリフォーム工事を行うようにしていきましょう。