住宅に欠かせないのが水切り板金です。言葉だけ聞くと何のことか分からないという人もいるでしょう。この水切り板金があるとないのではメンテナンスにも大きな違いが生まれます。住宅の基礎を守るためにも重要な水切り板金ですが、その役割を知ると付けていなかったのが悔やまれるかもしれません。
そこで、水切り板金の役割や費用、メンテナンスを解説していきます。
水切り板金とは
住宅には土台となる基礎という部分があります。この基礎が雨水に濡れてしまうとさまざまなデメリットが生じてしまいがちです。水切り板金は基礎の上に配置することで、基礎が雨に濡れるのを防ぐ効果があります。
基本的にコンクリートで出来ている基礎は雨水を吸水しやすくなります。基礎に直接雨水が当たるというよりかは、外壁からの零れ落ちる水滴が基礎を濡らし続けていくものです。
長時間の雨や梅雨時期、台風、豪雨など、雨水が絶え間なく続くときなどは基礎が濡れてしまい、床下にも湿気がこもりっぱなしになってしまうでしょう。
こうなるとシロアリなどの被害が出始めるので注意が必要です。
水切り板金は雨水を基礎から離れた場所に排水し、基礎が直接濡れない効果が見られます。
水切りの役割
水切りの主な役割は3つあります。
1.住宅基礎の腐敗や雨漏りを防ぐ
2.シロアリの発生を防ぐ
3.雨だれによる外壁汚れを防ぐ
それぞれの特徴をみていきましょう。
住宅基礎の腐食や雨漏りを防ぐ
住宅の基礎はコンクリートで生成されており、丈夫なのですが、その反面に雨水を吸水しやすいものです。基礎は外壁よりも下部になりますので、直接雨水が当たらないものです。
ただ、屋根と違って太陽光が当たるものでもなく、濡れてしまうと乾きにくいものでもあります。
基礎は乾きにくいので、湿気がこもりやすくなりますし、住宅の腐食が進んでしまう恐れがあります。腐食から割れなども起きてしまい、雨漏りのリスクも出始めてしまうでしょう。
そこで、水切りを使用することで住宅の基礎を濡らさないようにできますし、腐食や雨漏りを未然に防ぐ効果があるのです。
シロアリの発生を防ぐ
基礎が雨水を吸水してしまうと湿気が上がりますが、怖いのはシロアリの発生です。シロアリは湿気を好み、外壁や基礎、床下などの隙間に大量発生してしまいます。
シロアリは住宅のあらゆる部分を食べてしまうので、住居の耐久度の低下だけでなく、視界に入るほど浸食してきます。放置するのは危険ですし、修繕費用も大幅に上がってしまうのでデメリットしかありません。
水切りを設置することで湿気を抑えてシロアリなどの害虫発生も防げます。
雨だれによる外壁汚れを防ぐ
住宅の外観を悪くするのが雨だれによる汚れです。水切りがないと雨水が切れなくなり、外壁の汚れが落ちづらくなってしまいます。
雨だれの汚れは特に落ちづらい場合があるので、掃除の時間も余計にかかるものですし、塗装費用もかかってしまいます。
水切り板金をメンテナンスする目安
水切り板金の重要性が分かったところで、今度は現在使用している水切り板金をメンテナンスする目安をみていきましょう。
錆や色褪せ
水切り板金に錆や色褪せができてくると、修理する目安となります。しっかりと汚れを落としてから塗装するようにしましょう。色褪せなどは塗装するだけでも十分効果が戻ります。
ただ、錆などは残してしまうと余計に浸透してしまいがちです。錆を発見したらまずはやすりなどで錆をしっかりと除去しなければなりません。
錆も時間が経過している場合は浸食しているので穴が開いているケースがあります。そうなると除去できなくなるので、費用はかかりますが水切りの交換も検討するようにしましょう。
凹みなどの変形
水切り板金も経年劣化があり、凹みなども生じてしまいます。軽い凹み程度なら放置しても問題ないですが、明らかな変形になると雨水が排水できずに基礎を濡らしてしまう恐れがあります。
変形や凹みがある場合、キズが発生していることも多々あります。何かをぶつけてしまったり、モノを落としてしまった場合など、凹みと同時にキズもついてしまいがちです。
キズから水が伝い漏れすることもあるので、早急に業者に相談するようにしましょう。
破損
小さなキズではなく、明らかに破損してしまった場合は業者に修理依頼をかけます。水切りの素材にもよりますが、金属製になると錆も浮き出てしまいます。ヒビ割れの可能性もありますし、早めの点検修理が安心できます。
水切りは凸部分になりますので、車などにもぶつかる可能性がないとは言い切れません。破損個所から基礎に雨水が浸透してしまう恐れがありますので、早急な対策を講じるようにしましょう。
水切り板金のメンテナンス費用
水きり板金のメンテナンスには下記3点が主な方法です。
・塗装
・部分修繕
・交換
水きり板金のメンテナンスにかかる一般的な費用の相場をみていきましょう。
・塗装
塗装は比較的簡単にできますので、1mあたり300〜800円と安くなっており、他のメンテナンス方法に比べても安価です。
ただし、住宅は外周で長くなるので、一般的な住宅だと20m以上でしょうから6,000円 ̄20,000円前後にはなりそうです。
ここに人件費が加算されますので、総額は20,000円~50,000円くらいになるでしょう。
・部分修繕
水切りの一部交換や凹みなどの破損を補修する場合、一度綺麗に修理してからパテで埋めて補修します。凹みやキズを補修してから色合いを揃えて塗装し、艶もだしていきます。一部の修繕とはいえ、水切り板金は専門的な技術を擁するので、修繕費用は高くなるでしょう。
部分的な補修でも10,000円〜40,000円程度はかかります。
・交換
破損が激しい場合や凹みが大きいときなど、一部の修繕では対応できないので外壁の水切り全体を交換する必要があります。住宅の広さにもよりますが、水切り板金を全交換すると50,000円〜100,000円の費用がかかります。
メンテナンスの中でも金額が一番大きくなってしまいますので、部分補修か全交換かは業者に相談するようにしましょう。
メンテナンスは塗装がおすすめ
水切りのメンテナンスは費用も抑えられる塗装がおすすめです。塗装が剥がれると紫外線や錆による劣化を招いてしまいます。塗装メンテを行うことで、水切りの劣化を防ぐ効果が見込めます。
ただ、水切りに使用されている素材によっては塗装ができません。塗装ができない水切り素材には「ステンレス」「銅」「アルミニウム」があります。塗装が全くできない訳ではありませんが、これらの素材は塗装しても剥がれやすいので効果が見込めないのでやめておきましょう。
外壁塗装と合わせるとコスト削減
後述しますが、水切りには基礎の上部以外にもあります。屋根の軒先にも水切りがあり、こちらは外壁から雨漏りを防ぐ効果があります。そのため、足場を組まないと塗装ができない水切りの場合、まとめて塗装を行えば足場代や人件費を抑えられます。
足場代だけでも数万円程度はしますので、まとめたほうがお得といえるでしょう。
また、外壁の色合いに合わせて塗装できます。
水切り板金をメンテナンスする際の注意点
水切り板金をメンテナンスする場合の注意点をみていきましょう。
水切りは住宅の中でも非常に重要な部分
自宅の修繕は自分で行いたいという人も珍しくありません。ホームセンターではさまざまな工具や部品が販売されており、AmazonなどのECサイトでもプロ仕様の商品が数多くラインナップされているものです。
業者に依頼するよりもはるかに安価で済みますし、時間と労力はかかりますがDIYで修理したほうがコスパにすぐれています。
ただし、水切りというのは基礎を守るためのものです。住宅の中でも非常に重要な部分であり、確かな技術で修理する必要があります。もしもDIYで失敗でもすれば余計に雨漏りがひどくなりますし、その部分を修理する際に削って除去する作業が入るのでコストも増えてしまいます。
水切り部分をメンテナンスする場合、まずは業者に見積もりを出すようにしていきましょう。
業者の選定は相見積もりが重要
水切り板金はどの工務店やリフォーム業者でも担当可能です。それだけにどの業者に依頼すればいいのか悩むものでしょう。コストだけを見ればホームページや広告で簡単に判断できるものです。
ただ、塗装などを掲載している場合だと、1mあたりの金額しか載せていないので、実際に見積もりをする際に余計な費用を取られたり、人件費が思った以上に上乗せされているなど、悪徳業者もいるものです。
そこで重要なのが口コミやSNSの評判、そして点検後の相見積もりです。点検時にこの程度の凹みなら修理は不要と連絡してくれる業者などは信頼感が持てます。
点検するだけして、後から別の場所も修理が必要と訴えてくる業者もいるので、事前に相見積もりを出してもらって検討し、信頼できる業者を選定するようにしましょう。
基礎部分以外の水切り
水切りは基礎部分を守る以外にも住宅には存在しています。それが軒先水切りです。軒先は屋根から流れ落ちる雨水を内部に浸水しないようにするために重要な部分となります。
実際に屋根は雨水にさらされている部分なので、少量の雨でも流れてくるものです。軒先水切りの重要な要素をみていきましょう。
屋根からの雨水を防ぐ
軒先水切りの役割は屋根からの雨漏りを侵入させないように排水されることです。屋根には雨樋が設置されており、ここに流れ落ちた雨水が地面に排水されるようになっています。
軒先水切りがないと綺麗に流れ落ちず、雨水が屋根の内部に浸水してしまい、屋根材の劣化や住宅への雨漏りとなってしまいます。
一度雨漏りが始まると腐食の恐れがあるので、軒先水切りは非常に重要といえるでしょう。
強風時の煽りを防ぐ
屋根は台風などの強風時の影響で煽りを受けやすい部分です。強風時にはニュースで屋根が飛ばされている映像を見ることもありますが、軒先水切りは板金で固定しますから風による影響を抑えることが可能です。
軒先水切りは屋根が強風の煽りを受けて飛ばないための役割も担っています。
軒先水切りの費用
軒先水切りは1mあたり1,600円~3,000円程度になります。屋根にはその他にも板金があり、ケラバ板金や棟板金、谷板金などと合わせて修繕することがあるでしょう。また、足場が必要になりますので、足場代も必要です。
全体的なコストを削減するなら人件費や足場を抑えられるように、外壁の塗装や基礎部分の水切り塗装も含めて工事を依頼するほうがコストパフォーマンスに優れています。
業者に水切り板金の点検を依頼する際に、屋根部分も同時に点検してもらって見積もりを出してもらうようにしましょう。
まとめ
水切り板金は住宅の基礎を守るためにも重要な部分であり、雨水の侵入を防いでいます。水切り板金には「住宅基礎の腐敗や雨漏りを防ぐ」「シロアリの発生を防ぐ」「雨だれによる外壁汚れを防ぐ」といった効果がみられます。
水切り板金には色褪せ・錆や凹み、破損などの症状がみられたら修理し、塗装や交換などのメンテナンスを実施して住居を守るようにしましょう。